【医師監修】胸の張りは妊娠超初期だから? 生理前症状と見分ける方法
妊活中で妊娠検査薬が使えるタイミングをいまかいまかと待っている時、普段はない「胸の張り」を感じたら、妊娠超初期の症状と思うかもしれません。ここでは「胸の張り」から妊娠の可能性を知ることができるのか、生理前に起こるPMSと区別できるのかを考えてみます。
胸が張るのは妊娠超初期だから?
基礎体温などから排卵日の目星を付け、次の生理まで、妊娠したかどうか祈るような気持ちで待っているときは、いつもより体の変化に敏感になりますよね。
そんな時期に「胸の張り」があったら……妊娠検査薬を使うにはまだ早すぎる時期、これは妊娠の予兆と受け取っても良いのでしょうか?
妊娠超初期に「胸が張る」こともある!
妊娠すると、「プロゲステロン」と「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が増えます。これはお腹のなかで赤ちゃんを育てていくのに欠かせない変化ですが、これらのホルモンには産後に母乳が出るよう、乳房の準備を整える作用もあります。
具体的には、母乳を作る器官や乳首まで運ぶ器官が発達していきますが、そのために妊娠中には「胸が張る」と感じることがあるのです。
妊娠以外で胸が張ることもあるの?
妊娠によって胸が張るのはよくあることですが、それ以外の理由で胸が張ることもあるのでしょうか。
PMSで胸が張ることもある
「胸の張り」は、妊娠により起こる可能性もあれば、生理前にさまざまな不調を起こす「PMS(月経前症候群)」の症状のひとつとして現れることもあります。
PMSは、生理前に3~10日の間続く、精神的または身体的な症状で、生理の開始とともに軽くなるまたは治まるものをいいます。
妊娠初期に起こることがある症状
妊娠によって起こる症状には、「胸の張り」以外にどんなものがあるのでしょうか。
妊娠初期によくある症状
PMSでもよく起こる
ただし、さきほどあげた症状はいずれも、PMSが原因の場合にもよく起こる症状です。
これらの症状がPMSにより起こっていた場合は、生理の開始とともに症状が軽くなる、またはなくなります。
妊娠が原因の場合にも起こることはありますが、妊婦さん全員に見られるものではなく、また症状の程度も個人差が大きいので、こうした症状があるからといって「妊娠した!」と考えると早合点になる可能性があります。
なお、妊娠超初期には「着床出血」といって、生理予定日の数日前ごろから少量の性器出血がある人もいます。
※「妊娠超初期」:医学用語ではありませんが、生理前、つまり妊娠0週~3週までのことを指して使われることが多い言葉。妊娠超初期では、妊娠2週始めに「排卵」、その直後に「受精」、妊娠3週ごろに「受精卵の子宮への着床=妊娠の成立」が起こります(妊娠4週が生理開始予定日の週にあたります)。
「胸の張りが妊娠のせい」かどうか調べるには?
胸が張っているけれど、妊娠によるものかPMSによるものか調べたいときはどうすれば良いのでしょうか。
適切な時期に妊娠検査薬を使ってみよう
通常の妊娠検査薬は、生理開始予定日の1週間後(妊娠5週にあたる)からの使用が推奨されています。これより早い時期に検査をすると、「実際は妊娠しているのに検査結果が陰性になる」可能性があるからです。
妊娠が気になる場合は、できるだけ適切な時期に妊娠検査薬を使用し、陽性が出たら、医療機関で超音波検査を受けて、妊娠を確定してもらいましょう。
基礎体温では17日以上高温期が続くと可能性大!
普段から基礎体温を記録している人なら、その変化で妊娠の可能性に気づくこともできます。
もともと基礎体温が低温期と高温期の二相にわかれている人では、「高温期が17日以上続いている」場合は妊娠の可能性が高くなります。当てはまるなら、妊娠検査薬を使ってみましょう。
注意したい胸の張り
さきほど紹介したとおり、「胸の張り」を起こしているのがPMSなら、生理が始まるとともに症状が消えていくはずです。
もし、
・乳房の皮膚が赤く、痛みや熱を持っている
・しこりやえくぼのようなひきつれがある
・乳頭や乳輪部分に湿疹やただれがある
・乳頭から血の混じった分泌物が出る
・脇の下にしこりがある
・腕がむくんだりしびれたりする
といった症状がある場合は、乳がんでないか調べてもらうために、乳腺外科または外科の医療機関を受診しましょう。
また、40歳以上の場合は、マンモグラフィを使った乳がん検診を2年に1度受けるよう、国が推奨しています。該当する場合は、忘れずに受けるようにしましょう。
まとめ
妊活中、生理前にいつもは感じない「胸の張り」があったら、「これは妊娠超初期ということでは?」と期待してしまうのも無理はありません。でも、妊娠の可能性が高いかどうかは、「胸の張り」だけではわからないのです。待ちきれないかもしれませんが、落ち着いて妊娠検査薬で調べましょう。
また、生理前に限らず乳房に異変を感じた場合は、早めに医療機関でチェックしてもらうようにしましょう。定期的に検診を受けるのも忘れないようにしてくださいね。
(文:マイナビ子育て/監修:宋美玄先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます