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2021年08月17日 13:14 更新

【医師監修】着床出血はいつ来る? 性行為後の時期の目安

「着床出血」とは、受精卵が子宮に「着床」することで起こる出血で、「着床が起こる=妊娠が成立する」ということです。今回は、着床出血は性行為後、いつごろ来るのか、またどんな特徴があるのか解説します。

着床出血は性行為後、いつごろ来る?

着床出血や目安について知りたい女性 イラスト
(イラスト:いわたま)

着床によって起こるのが着床出血ですが、普通は性交以後、いったいいつごろ起こるものなのでしょうか。

着床出血は性行為後の「生理開始予定日、またはその数日前」から

着床出血は、「生理開始予定日、またはその数日前から」始まる可能性があります。
性行為から数えると「数日後」になります。

なぜなら、避妊なしでの性行為から精子が女性の体内に入り、卵子と受精して「受精卵」ができて、子宮内膜に着床するのがそのころだからです。

排卵と性行為、着床の関係

着床出血が起こるまでのできごとを順番に並べると、次のようになります。

(1)生理になる

(2)生理開始日から14日目ごろに「排卵」が起こる(生理周期が28日の人の場合)

(3)排卵日前後に性交があり、それによって卵子と精子が「受精」する

(4)受精後1週間ほどで受精卵(胚盤胞)が子宮に「着床」し始める

(5)1週間ほどかけて着床が完了する(受精卵が子宮内膜に完全に潜り込む)

着床出血は、上記の(4)~(5)のころにかけて起こる可能性があります。

排卵から受精、着床までの流れのイメージ
排卵⇒受精⇒着床までの流れ(イメージ)

着床出血の気になる特徴

性器からの出血のイメージ
Lazy dummy

起こる時期以外の着床出血の特徴も紹介しておきましょう。

生理よりも「少量でピンクや茶色」

着床出血は、一般的に下記のような特徴があることが多いとされています[*1]。

・通常、出血は少量

・おりものに血が混じりピンクや茶色になった感じ(鮮血だったとしてもごく少量)

・下着やトイレットペーパーに着く程度

生理との違い

生理と着床出血には、他にも下記のような違いがあると言われることがあります[*1]。

・着床出血により出血する期間は生理より短く、数時間~長くても3日間程度

・生理でみられるような、血の塊はない

下腹部の違和感などの症状を伴うことも

着床出血では、痛みは普通ほとんどなく、あったとしても「下腹部に軽い違和感」を覚える程度のようです[*1]。

下腹部の違和感のほかにも、「気分の浮き沈みが激しい」「頭痛」「吐き気」「乳房の変化」「腰痛」などの症状を感じる人もいます。

ただし、これらの症状が着床によるものなのか、「PMS(月経前症候群)」によるものなのか、症状だけから区別するのは困難です。

「着床出血なし」で妊娠することのほうが多い

なお、着床出血は万人にあるというわけではなく、着床出血なしで妊娠する人のほうが多いことも覚えておきましょう。

着床出血があるのは、妊娠した女性のなかでも8~25%程度しかいないとされています[*2]。

着床出血と間違うことのある出血

腹痛の女性
Lazy dummy

さて、着床出血らしきものがあったとき、気になるのが「これって本当に着床出血?」ということですよね。着床出血と同じころに起こることがあり、着床出血と勘違いする可能性がある別の原因にはどんなものがあるのでしょうか。

「生理」「異所性妊娠」「切迫流産」「性器の傷」など

まず、もっとも疑わしいのは「生理」です。ただ、着床出血は普通、生理ほど出血しないので、血液の量である程度区別はつくでしょう(普段から生理の出血量がかなり少ないなら、着床出血と見分けがつかない可能性はあります)。

また、受精卵が着床したことで起こる異常でも、出血することはあります。この異常には、「異所性妊娠」(子宮外妊娠。子宮内膜以外の場所に受精卵が着床してしまうこと)や「胞状奇胎」(胎盤の元になる絨毛細胞が異常に増殖してしまう病気)があり、これらであった場合にも妊娠初期から出血がみられることが多いとされています。

また、「切迫流産」(流産の危険がある状態のこと)や「流産」で出血することもあります。

他に、もともと性器に炎症や腫瘍があったり、傷ついたりすることでも出血はします。「子宮腟部びらん」(ただれ)」「ポリープ」「性行為で性器が傷ついた」「子宮頸がん」「子宮体がん」などの場合です。ちなみに生理以外の理由で出血することは「不正出血」と呼びます。

着床出血の見分け方

妊娠検査薬
Lazy dummy

赤ちゃんを待ち望んでいる人なら、その出血が着床によるものかどうかはとても気になりますよね。他の原因による出血と見分けるにはどうすれば良いのでしょうか。

妊娠検査薬を使ってみる

着床出血とその他の出血を見分ける簡単な方法は、適切な時期に妊娠検査薬を使ってみることです。妊娠検査薬で陽性なら「着床出血」、陰性なら「生理」または「不正出血」による出血の可能性が大きいでしょう。

ただし、妊娠検査薬はあまり早い時期に使用すると、「本当は陽性(妊娠している)なのに陰性と表示される可能性がある」ことには注意してください。そのため、「着床出血では?」と思う出血があったときにすぐ検査するより、生理開始予定日の1週間後以降に使用したほうが確実です。

早めに検査して陰性だった場合は、もう1週間待って再度陰性と判定されるか再検査することをおすすめします。くわしくは下記の記事も参照してください。

基礎体温をチェックする

また、「基礎体温で17日以上、高温期が続いている」場合も着床出血、つまり妊娠している可能性があります。この場合も適切な時期に妊娠検査薬を使ってみましょう。

ただし、もともと基礎体温が高温期と低温期にきれいに分かれていない女性も珍しくはありません。また、そもそも基礎体温をつけたことがない女性では、もともと高温期にどのくらいの体温になるのかがわかりません。

このように、「基礎体温から着床出血の可能性を知るのは難しい」場合も、やはり生理予定日を過ぎてから妊娠検査薬を使ってみることをおすすめします。

妊娠検査薬で陽性が出たら超音波検査を受ける

いずれの場合も、適切な時期に妊娠検査薬を使用して陽性が出たら、病院を受診して診察を受け、妊娠を確定してもらいましょう。

妊娠検査薬は、普通、妊娠した女性にしか出ない「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが尿中に検出されるかどうかで妊娠の可能性があるかどうかを判定しますが、異所性妊娠や胞状奇胎などの異常は感知できません。

これらの異常があったとしても、通常の妊娠同様、妊娠検査薬では陽性と判定されます。ですから、陽性が出たら産婦人科で超音波検査を受け、異所性妊娠などの異常がないか早めにチェックしてもらってください。

なお、さきほど紹介したように不正出血にはさまざまな原因があります。妊娠検査薬は陰性だし生理でもないはずなのに、「出血量が生理より多かったり、ひどい腹痛を伴う」ような場合も、放っておかずに早めに医療機関を受診して診察してもらうようにしてください。

まとめ

リラックスしている女性のイメージ
Lazy dummy

着床するとみられるという「着床出血」は、普通、性行為後のいつごろ来るものなのかを説明しました。

ポイントは、妊娠していても「着床出血は必ずあるというわけではない」こと。つまり、着床出血の有無から妊娠の可能性を知るのはちょっと難しいのです。かといって、着床のあるころは時期が早すぎるので妊娠検査薬を使うのもおすすめできません。

早く結果を知りたいとあまり焦らず、ゆったりした気持ちで、適切な時期になるのをもう少し待ってみましょう。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:窪 麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]American Pregnancy Association:What is Implantation Bleeding?
[*2]池ノ上克ほか「NEWエッセンシャル産科学・婦人科学」(医歯薬出版)p.327

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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