えびす子どもクリニック 戎寬先生|地域の子どものかかりつけ医を目指して
えびす子どもクリニックは、北九州市の西鉄バス「一枝」停留所から徒歩1分の立地にあり、住宅街にあるクリニックです。クリニックには地域に住むご家族が、子どもの診療や、予防接種、乳幼児健診のために訪れています。今回は、戎先生にクリニックの雰囲気や診療のモットーについて、お話をお聞きしました。
総合診療で子どもの体と心の健康を守る
小児科は子どもの体や心の病気のすべてを診る科です。そのため、ほとんどの症状や病気は小児科で対応できます。当院はすべてのアレルギー疾患を治療しています。気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など複数のアレルギーを持つ子が、それぞれの診療科を受診するのはとても大変でしょう。皮膚や耳、目の病気ついても任せてください。たいていの問題は当院で解決できます。もし耳鼻科や皮膚科などで診てもらう必要があれば紹介します。当院は、子どものすべてを見る子どものかかりつけ医でありたいと考えています。
乳幼児健診で子育て支援をする
当院の乳幼児健診は、育児支援に配慮しています。個別健診では医師やスタッフみんなが子育て支援マインドを持って健診をすれば、親御さんはお子さんの心配ごとだけでなく、子育ての心配ごとなど何でも相談できると思われるでしょう。ちなみに、北九州市は乳幼児健診の個別健診を始めた最初の都市です。” 健診検討委員会を立ち上げ、私も中心メンバーの一人としてシステムの構築に尽力しました。
ペリネイタルビジットの実践
お母さんが産前または産後の早いうちから、小児科医を受診して、かかりつけ医を見つけることをペリネイタルビジットといいます。アメリカ発祥の保健事業ですが、北九州市と連携してペリネイタルビジットに取り組んでいます。産後のお母さんであれば、「赤ちゃんへの気持ち質問票」で赤ちゃんへ愛着形成を、「お母さんへのアンケート」でお母さんの気持を把握して産後うつのリスクを、そして「育児支援チェックリスト」で育児環境のリスクを評価します。特に、はじめての育児だと、親御さんが戸惑うことが多いので、赤ちゃんのお世話に関する相談にも丁寧に応じています。
病児保育で子育ての支援をする
働いている保護者が安心して仕事に取り組めるように、子どもが病気の時もゆっくり楽しく過ごせるようにと保育士・看護師・医師が共同して、その日一日を楽しく過ごして、「帰りは笑顔でお迎え!」をモットーに運営しています。
子どもと親御さんにじっくり向き合う
戎先生は子どもの診察のときでも、人見知りの始まった赤ちゃんの夜泣きに困っていたり、イヤイヤ期の子どもをよく叱っていたり、赤ちゃんが生まれ上の子の甘えとヤキモチに困っていたり、育児の不安や疑問を抱えていたりする母さんを見かけた時は、子どもの病気の説明よりお母さんへのアドバイスをすることの方が、大切なことがあると思っています。
「来てよかったな」と思える診療
来院された親御さんには、「来てよかったな」と思ってもらえるような診療を大切にしています。育児のダメ出しをして落ち込ませてしまうのではなく、親御さんが頑張っていることを認めたり、褒めるように努めています。特に、乳幼児健診は丁寧に時間をかけて行っています。医師である私も、一組の親御さんとお子さんの対応に15~20分かけますし、その後の看護師の対応も含めると、トータルで1時間ほどかけています。
手作りのリーフレットで健康教育
日々の診療では、親御さんの育児に関する疑問に答えたり。相談に乗ったりすることもよくあります。そのため、当院では、親御さんの育児に関する悩みや心配事を基に、手作りの冊子を作成しています。一度説明を受けただけだと、時間が経つと忘れやすいので、説明する時に重要な箇所をマーカーを引いていますが、「見返したときに思い出しやすい」と好評です。また、赤ちゃんの予防接種スケジュールは複雑なので、次回の予防接種の日程をシールで提示しています。
今までの診療で中で印象に残っているお子さんはおられますか?
ヘルペス脳炎の小学生の女の子です。重症で危険な状態でしたが、当時、特効薬としてアシクロビルの注射薬が認可されていました。九州がんセンターに連絡して、車で薬を取りに行って投与したことで、幸い一命を取り止めました。病変が言語中枢のある左側頭葉であったため、後遺症として失語症が残りました。その後の経過は知らなかったのですが、ある日、結婚式の招待状が届きました。その後、言語訓練をがんばり歯科衛生士になったとのことで嬉しい気持ちになりましたね。
抗生物質やワクチンに関する正しい知識を持とう
近年は大分少なくなりましたが、子どもが風邪を引いた時に、何となく抗生物質を処方する医師がいます。風邪の原因のほとんどはウイルスなので、細菌に効果がある抗生物質は、必ずしも必要ではありません。体の免疫細胞の7割は腸内で作られていますが、抗生物質を使うと腸内細菌も死んでしまうので、腸内フローラが乱れる原因になります。また、むやみに抗生物質を使うと、耐性菌が出現しやすくなり、必要な時に薬が効かなくなる恐れもあります。親御さんは子どもが風邪を引いても、安易に抗生物質を求めないことが大切です。
子宮頸がんワクチンを接種しよう
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種は、世界的に行われているのにもかかわらず、日本の接種は遅れていました。WHOからも批判を受けたことで、定期接種が再開され、女性であれば、小学6年生から公費で接種を受けられるようになりました。HPVワクチンは、セクシャルデビューする前に受けるのが最善です。最近では、小学校でもHPVワクチンについて教えているので、小学高学年の女の子でも接種の必要性を理解できています。海外では、男子にもHPVワクチンの接種をする国もありますが、日本でも任意の接種が始まっています。子宮頸がんにかかるリスクを下げるためにも、必ずワクチン接種をしてください。
えびす子どもクリニック
■電話番号:093-581-0333
■診療時間:
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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8:15-11:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
11:45-12:30 | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | ● |
13:00-15:00 | ー | ※ | ※ | ー | ※ | ※★ |
15:30-18:00 | ● | ● | ● | ー | ● | ー |
・健診の様子は、ホームページの「乳児健診」に写真を掲載しています。
■休診:日曜・祝日・木曜午後・第2・4土曜
■HP:https://www.ebiskids.com/
■駐車場:20台完備
(取材・文:株式会社メディコレ)