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2023年03月27日 16:00 更新

いなみ小児科 稲見誠先生|小児医療を通じて地域の子育てを助けたい

いなみ小児科の院長を務める稲見 誠先生は、子どもの診療に加え、病児保育や産後ケアなどの育児支援を行っています。クリニックは学芸駅から徒歩7分の場所にあり、病気の子どもの治療や産後ケアを求めてお母さんが訪れています。今回は、稲見先生に施設の雰囲気や診療のモットーについてお話を伺いました。

地域医療を通じた育児支援

いなみ小児科は、世田谷区で初めて産後ケアに取り組んでいる小児科です。産後ケアは産婦人科で行われていることが多いですが、小児科医が行うことで発達状況などについて専門的な視点から赤ちゃんの健康を見守ることができます。

二診体制で待ち時間削減も

クリニックには2~3人の医師が常駐しており、二診体制を確保しています。複数の医師が診療を行っているので、患者さんの待ち時間も少なくなり、コミュニケーションをしっかり行いながら診療ができます。
博士号を持つ開業医もいますが、一度大学を離れた後に自己研鑽を怠ると、新しい診療から遅れを取ることもあります。当クリニックは大学病院の先生も来ているので、小児診療に関する情報交換をはじめ医師としてお互いに切磋琢磨をすることができます。

病児保育に対応

最初の育児支援として始めたのが病児保育です。保育サービスの1つで、病気で熱を出した子どもを施設で預かります。出産後、仕事復帰した親御さんが一番困るのは、小さい子どもが病気になった時です。急な休みは取りづらいことも多く、かと言って高いお金を払ってシッターさんを頼むのも大変です。
世田谷区で病児保育を行っていた母子保健院が閉鎖になったことをきっかけに区役所からのお話があり、クリニックを移転して病児保育をすることにしました。

育児支援と産後ケアへの取り組み

病児保育の次に始めたのが、「ひょっこりひろば」と産後ケアです。広場は子どもと親御さんが自由に遊びに来られる場です。出産後の女性はホルモンバランスや生活の変化により、落ち込みやすくなります。家の中で1人で黙々と子育てしていると、精神的に参ってしまうこともあるでしょう。気軽に広場へ足を運んでいただき、子どもを持つ親御さんと知り合いになったり、助産師に質問していただければと思います。
産後ケアはアロマリラクゼーションを行ったり、赤ちゃんをお預かりしてお母さんにお食事を提供したり、仮眠や休息を取っていただいたりしています。
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※「ひょっこりひろば」は世田谷区民の方が対象で、初回ご利用の際に登録料500円が必要です。

「もともと、会社勤めよりも自分の裁量でできる仕事に興味がありました。父も医師だったのもきっかけになりましたね。医師は人に喜ばれる仕事なので、やりがいを感じています。」(稲見先生)

親御さんの気持ちを認め、受け止める

子育てをしていると、時には誤った方法で赤ちゃんや子どもの世話をしてしまうこともあります。クリニックでは、子どもの患者さんや親御さんとの信頼関係を築くため、相手を否定せず、想いを受け止めながら診療を行っています。

受け止め、理解して、ねぎらう

診療で大切しているのは、患者さんやご家族とのコミュニケーションです。小さい子どもの患者さんの場合、親御さんとお話することも多いです。例えば、親御さんがお話される内容ややり方に間違いがあっても、「それはダメだよ」とすぐに否定はしません。
まずは親御さんの言うことを受け止め、相手の気持ちを理解して「大変だったね」とねぎらうことで、信頼関係が生まれると考えています。クリニックには若い先生もいますが、この点はきちんと教育しています。

エビデンスに基づいた治療を提供する

毎日の診療では標準治療を提供することを重視しています。小児科に限らず開業医の中には、古い知識を基に診療する人も少なからずいます。例えば、今でも子どもが風邪の時に一律に抗生物質を処方する例があります。昔は風邪で体力が落ち肺炎にかかる子もいましたが、今の子は栄養状態が良いので、抗生物質の処方はほぼ不要です。

当院は大学病院の先生も来られているので、新しい知識をアップデートしながら、エビデンスのある治療を行っています。血液検査やレントゲン検査にも対応しているので、入院が不要な病気なら何でも対応でき、必要な場合は、地域内にある大きめの病院に紹介もしています。

「昔は近所のおじさんやおばさんが子どもの面倒を見たり、叱ったりしながら、地域全体で子育てをしていました。現代は社会とのつながりが薄く、子育てで孤立化しやすい時代なので、クリニックが子育て支援できればと考えています。」(稲見先生)

つい最近、お母さんが子どもの通院に来られて、2人目の赤ちゃんを妊娠をしていると話されました。その時に「産後ケアなどの育児サポートがあるから、もう1人産む決心ができました」とおっしゃっていたんです。本当にすごく嬉しかったです。
育児支援は採算が取れる事業ではなく、手厚くすればするほど赤字になるので、診療の収益から補填しています。それでも、こうやって親御さんや子ども達の笑顔を見れるのが何より嬉しいです。

1人で悩まないで周りに頼ろう

子どもを育てる親御さんの多くは遠慮がちです。育児で分からないことがあれば、まずは質問したり相談したりしましょう。近年はインターネットで情報があふれているので、親御さん達が混乱しているケースも多いです。子どもの病気や症状のことであれば、「信頼できる医者はこの先生」と決めて、色々相談してみてください。世の中の情報には誤ったものもあるので、惑わされないようにすることが大切です。

いなみ小児科

■住所:世田谷区下馬3-10-7
■電話番号:03-3421-4885
■診療時間:
診療時間
9:00-12:30
14:00-15:00 ★※
15:30-19:00

★土曜日の診療時間は9:00-12:30および13:30-15:00です(予防接種・乳児健診は13:30-14:30)
※平日14:00-15:00は予防接種・乳児健診の時間となります
■休診:日曜、祝日
■HP:http://www.inami-shounika.jp/
■駐車場(4台)、駐輪場あり

(取材・文:株式会社メディコレ

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