たいようファミリークリニック 古宮圭先生|輝きながら成長する子どもたちを地域の一員として見守りたい
"和歌山市新中島にある「たいようファミリークリニック」院長の古宮圭先生は、小児科と糖尿病の専門医として、病気や障害を抱えながら地域で生活する子どもたちを支えています。3児のママでもある古宮先生は、仕事でもプライベートでも、子どもの意思を尊重し見守る姿勢を大切にしています。
親子が元気になれるクリニックを目指して
「来院する方々が、気づかないうちに元気になっているような場所にしたいんです」と話す古宮先生。たいようファミリークリニックでは、小児科の一般外来はもちろん、慢性疾患を抱える子どもたちのための専門外来や、医学的根拠に基づいた学習支援を行う「たいよう教室」を併設しています。
病気や障害のある子どもを支える専門外来
当院では、1型糖尿病や夜尿症、発達障害などを診察する専門外来を設けています。とくに子どもの糖尿病を治療できる医療機関は限られているため、当院を頼って来院してくださるお子さんは多いですね。
1型糖尿病は4〜10歳頃に発症する病気で、発症後は継続的なインスリン注射が必要になります。お子さんたちには、インスリン注射の方法や、生活における注意点なども指導しなくてはなりません。
「注射は怖くないよ、こう注射すれば痛くないよ」といって大人の考えを押し付けるのではなく、「インスリン注射が怖い、面倒くさい」というお子さんの気持ちを受け止めることを大切にしています。
また、お子さん自身が治療に関する自己決定ができるよう支援しています。たとえば、インスリン注射にはいくつかの方法があるので、お子さんたちと相談しながら治療内容を決めるようにしていますね。
自身の経験を活かして不登校の子どもをサポート
発達障害や不登校のお子さんについては、カウンセリングや学習支援などのサポートを行っています。私の子どもが通級指導教室に通っていた経験があるため、とくに学校との連携を得意としていますね。
「学校に行ける健康状態なのか」「どのような配慮があれば学校に行けるのか」といったことを医学的に判断したうえで、地域の方々と連携しながらお子さんを支援することに力を入れています。
学校の先生たちには、一方的にこちらの意見を伝えるのではなく、よく話し合うことを意識しています。学校の先生が、クリニックまで出向いてくださることもありますよ。
子どもの気持ちに寄り添う医療カウンセリング
不登校のお子さんとのカウンセリングでは、「なぜ学校に行かなければならないと思うのか?」「どうして学校に行きたくないのか?」といったことについて考え、言葉にしてもらうよう促しています。
多くのお子さんは学校に行くことが当たり前だと思っていますが、せっかく学校に行きたくないという気持ちに気付いたのだから、しっかりと立ち止まって自分の気持ちに向き合って欲しいんです。
自分の気持ちを言語化できたら、お子さんと一緒に学校との向き合い方を考えていきます。学校に行きたいという気持ちがある場合には、リモート授業にしたり、まずは好きな科目の授業にだけ参加したりするなど、さまざまな選択肢をお子さんに提案するようにしていますね。
オーダーメイドの学習支援を提供
学習支援を始めようと思ったきっかけは、ひらがなに興味が持てないお子さんたちが、小学校低学年で不登校になるケースをみてきたことでした。
診療のなかで、1年生の1学期でひらがなに興味を持てなかったり、覚えられなかったりするお子さんたちは、不登校になるリスクが高いと感じていました。そこで、年長さんでひらがなに興味を持てないお子さんたちに対して、ひらがな教室をひらいてみたところ、その後の学校生活がスムーズにいくお子さんたちが出てきたんです。
「学習に対して、しんどさを抱えている子どもたちがたくさんいるのでは?」という思いから、本格的にクリニックでの学習支援をはじめました。
今では、退職した学校の先生たちが8名ほどクリニックに来てくださり、診療の隙間時間を使って計算や漢字を教えてくれているんですよ。
地域の大人として子育て支援に携わりたい
「医師というより、近所のお母さん的な立場で子育てに参加したいんです」と笑顔で話す古宮先生。子育て支援に関する豊富な知識を活かして、保護者のサポートにも力を入れています。
子どもを見守る姿勢を大切に
私の子育てモットーでもあるのですが、「大人が子どもに余計なことを言わない」ということを大切にしています。病気や障害を抱えるお子さんたちに対して、必要な診療やケアは提供しながらも、基本的には見守る姿勢でいたいと思っています。
親御さんたちに対しては、「子育てに正解はなく、試行錯誤して進んで行けばいいんだ」と気付いてもらえるような関わりを心がけていますね。
お子さんを心配するあまり、子育てに正解を求めたり、自分を責めたりしてしまう親御さんは多いものです。来院するママやパパには、「子どもを褒めるのと同じくらい、頑張っている自分を褒めてくださいね」と声をかけています。
地域全体で子どもを支えたい
医師に対しては、「気軽に意見を聞きにくい」「医師に言われたことは必ず守らなければならない」といったイメージをもつ人もいるでしょう。しかし、医療だけでは、子どもたちを助けることはできません。
保護者も医師も、立場は違えど子どもを支えるチームの一員として、支えあっていきたいと考えています。
子どもたちには、いろいろな人と関わりながら成長して欲しいので、私自身が地域の人たちとつながりをもつことを大切にしています。学童やデイサービス、学習塾などとの関わりもあるので、地域におすすめの先生がいれば、お子さんや親御さんに紹介することもありますよ。
来院されるお子さんや親御さんからは、たくさんのことを学ばせてもらっていますので、本当に感謝しています。クリニックに来てくれたお子さんが、元気になって成長していく姿を見られたときは、とても嬉しいですね。
とくに印象に残っているのは、7歳で1型糖尿病を発症したお子さんとの関わりです。彼女が妊娠したときには、親御さんよりも先に私に報告してくれたんですよ。
出産に向けた血糖コントロールにも携わらせてもらい、出産後は親子でクリニックに通ってくれていて、本当にありがたいなと思っています。
子育てする仲間として気軽に頼って欲しい
医師といっても、一緒に子育てを頑張る仲間なので、ママやパパにはもっと気軽に頼って欲しいです。私自身が患者さんや地域の方々から、アドバイスをもらったり助けてもらったりすることも多いので、お互いに支えあって一緒に成長していきたいですね。
クリニックにいらっしゃる皆さんには、受診するというより遊びに行くような感覚で、気軽に来院していただきたいです。
たいようファミリークリニック
■電話番号:073-476-5171
■診療時間:
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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8:45-12:00 | ● | ● | ● | ー | ● | ● |
14:00-15:30 | ● | ● | ● | ー | ● | ー |
16:00-18:00 | ● | ● | ▲ | ー | ● | ー |
▲:水曜日の午後診は16:00〜18:00
※予防接種、乳幼児健診、発達相談、カウンセリングは要予約
※Web予約の受付時間は午前7:30~午後17:30(水曜は~18:00)
※予防接種・慢性疾患などの受診予約についての電話相談は12:00〜14:00に実施
■休診日:土曜日午後、木曜日、日曜日、祝日
■HP:http://www.taiyo-kodomo.com/
(取材・文:株式会社メディコレ)