0歳からの子どもクリニック 坂井みのり先生｜育児中の女性医師が子育ての悩みに寄り添う

「0歳からのこどもクリニック」のある建物には産婦人科クリニックがあり、連携した医療を提供しています。坂井先生は、新生児医療の専門医でもあり、産婦人科で生まれた赤ちゃんの診療も行っています。

当院は同じ建物にある「あおのウィメンズクリニック」と連携を行っており、0ヵ月からの赤ちゃんの診療を行っています。出産後のお母さんは、赤ちゃんのワクチンが始まる2ヵ月のあいだ、小児科医と接する機会がなく、子育ての不安を誰にも相談できずに悩む方が多いです。連携先の産婦人科クリニックは、もともと私が妊婦健診を受けたり、小児科医として赤ちゃんの1ヵ月健診のお手伝いをしていた施設です。出産後のお母さんが、赤ちゃんと一緒に継続した診療を受けられることを目指して、同じ建物に開業しました。

育児支援の一環として、赤ちゃんのトラブルに関する外来を開設しています。外来には、ねんね外来・母乳外来のほか、発達相談や育児相談があります。最近、新しくできたのが貧血外来です。あまり知られていませんが、生後6ヵ月～１歳頃はママ由来の鉄分が枯渇し、赤ちゃんが貧血を起こしやすい時期です。外来では、針を刺さずにヘモグロビン測定できる機械を用いてスクリーニングを行い、貧血が疑われる場合は採血を行い診断をつけたり、栄養指導などのフォローアップを行ったりしています。赤ちゃんの貧血は成長や発達にも影響を与えますが、専門外来があるクリニックは少ないので、一度相談していただければと思います。

保育士資格を持つ受付スタッフがおり、必要に応じて診療に同席します。子供が多い御家庭が多く、ご兄弟を連れて来られる親御さんもいらっしゃいます。兄弟間の年の差が小さいと、親御さんが赤ちゃんをあやしながら上の子の病状の説明をしたり、兄弟のどちらかがぐずってしまい、医師の話をよく聞けなかったということになりかねません。診療中は、必要な時に保育士が間に入り、お子様の年齢に合わせて接することで、しっかり診療できるように努めています。

小児科では、親御さんから子どもの病状を聞くことも多いですが、坂井先生は子どもと対話することを重視しています。

子どもの患者さんの声を聞くことを大切にしています。乳幼児だと親御さんとお話することも多いですが、ある程度会話のキャッチボールができるようになれば、子どもと向かい合って話しています。「前回は泣いちゃったけど、今回は大丈夫だったね」という風に、継続的に子どもを診ていると、表情や言動で成長をみることができます。小児医療では親御さんの気持ちも大切ですが、子どもも一緒に笑顔にしていきたいですね。

育児について理解のある小児科医は多いですが、実体験として語られる方はそう多くはありません。毎日3度の食事を作り、家族のサポートをし、自分も仕事をしながら家の中を回しつつ、育児もしている男性医師は少ないでしょう。育児や家事の負担は女性にかかりやすく、同性だからこそ分かる育児の大変さがあります。私自身もクリニックで働きながら子どもを育てているので、お母さん方のご苦労を肌で感じながら、相談に応じています。

子ども達の診療を通して感じるのは、育児不安を抱えている親御さんが多いことです。子どもの病気の治療に加えて、親御さんの悩みや疑問に対してひとつひとつ丁寧に答えていくと、皆さんの表情が明るくなられます。子どもの健やかな成長には、ご家族の生活が穏やかで安心できることが大切です。小児科は子どもの病気の治療をするだけでなく、子育てを相談できる場であるべきと考えています。お子様が病気じゃなくても、相談に来てもらえるようなクリニックでありたいですね。

子育てで悩んでいることがあれば、まずは小児科に相談してみてください。親御さんの中には、「こんな事で相談してもいいのかな」と迷われる方もいますが、1人で抱え込まずに、軽い気持ちで相談していただければと思います。私自身は小児科医で、子どもの事をよく分かっているつもりでしたが、いざ出産して赤ちゃんの世話をしてみると、戸惑いの連続でした。当クリニックが、親御さん達の相談の場でありたいと考えています。

（取材・文：株式会社メディコレ）