小学校1年生の息子が学校に行くのを嫌がる。登校前に必ず泣いてしまい……<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、子どもの登校に関するお悩みです。「小学1年生の息子が学校に行くのを嫌がるようになり、心配」というその訳は……。
登校前に必ず泣いてしまう息子。どうしたら楽しく学校に行ける?
小学校1年生の息子が、最近学校に行くのを嫌がるようになりました。朝起きるのも億劫そうで、登校する前には必ず泣いてしまいます。何か原因があるのか心配です。
どうしたら、息子が学校に行くのを楽しんでくれるようになるでしょうか?
(35歳・男性・情報IT/SE・プログラマー・システム)
■家族構成:自分35歳、妻32歳、長男6歳
■お困り度:★★★★☆☆☆☆☆☆
小学1年生で学校に行きたがらない様子を見てしまうと、親としてはとても心配してしまいますよね。
息子さんが学校に行くのを嫌がるのには、何か原因があるのかもしれません。
心理学的な視点でお伝えできるならば、「母子分離不安」というのが考えられます。
低学年の不登校に多い原因は「親から離れることへの不安」で、登校時間になると不安が高まって泣いてしまうことがあります。
小学校に入学してからの環境の変化が、心に負荷を与えているのです。
新しい人間関係や、勉強や生活習慣の訓練など、小学1年生は覚えることがたくさんあります。息子さんには、思っている以上の心理的負荷がかかってしまっているかもしれません。
まずは、泣いてしまっている息子さんを優しく抱きしめて「どうしたの? 大丈夫だよ」と声をかけてあげてください。
息子さんはまだ小学1年生。自分の気持ちをうまく表現することが難しいかもしれません。まずは安心感を与えて、ゆっくりと時間をかけて聞いてあげてください。
そして、「もしかして、それってこういうことなのかな?」などとうまく気持ちを導き、息子さんが思っていることを言葉にして伝えるようなサポートをしてあげるとよいでしょう。すると、子どもの中で霧が晴れたようにすっきりするケースもあります。
登校前の朝の忙しい時間帯なので親もイライラしてしまいがちです。
「なんで学校に行かないの! 早くしなさい!」とイライラをぶつけてしまうと、余計に息子さんは学校に行けなくなってしまいます。
「朝から優しく関わる余裕なんてない」という方は、仕事から帰ってきて夜の団欒の時間にでも良いので、抱きしめてあげるなどの温かい関りを持ってみてください。
心理学の世界では「安全基地」という言葉があります。それはまさに安全を保障するための基地のような存在なのです。
息子さんは毎日不安に立ち向かい、小学校という社会に出ていこうとしています。そこで傷ついた心を、家庭という安全基地に癒しに帰ってきます。
そこで温かい関わりに安心感を得ながら、また次の日に学校に向かっていきます。それを繰り返していくうちに、学校に対しての不安は少しずつ解消していくでしょう。
今は親子ともに、不安な気持ちでいっぱいなのかもしれません。しかし、怖がりすぎないでください。
この問題に家族全員で取り組んでいきましょう。親がどんと構えて、息子さんに「大丈夫だよ」と伝えてあげてください。
きっと息子さんは自分の不安を表現するようになり、学校に挑戦していくことでしょう。
(文:臨床心理士 石堂 達也/うららか相談室)