子ども同士が同級生のママ友。今後まだまだ続く付き合いがしんどい〈子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、ママ友に関する人間関係のお悩みです。「子どもが同級生で町内会も一緒。今後の付き合いを考えるとモヤモヤする」というその訳は……。
お互いに気が合わないママ友。付き合いはまだまだ続きそうで……
子どもが幼稚園からずっと一緒のお母さんがいるんですが、あまり仲良くありません。
挨拶をするときもあれば、お互いに存在を感じていても挨拶をしないときもあります。話すことがあるときは、話すのですが、会話も続くこともありません。お互いに気が合わないと思います。学校での集まりがある際、そのお母さんがいると思うと苦痛です。
無視すればいいのですが、子どもも同級生で町内会も一緒です。この先、どのような付き合いをしていけばいいにか、モヤモヤしています。
(44歳・女性・専業主婦)
■相談者の家族構成:自分 44 歳、夫 42 歳、長男 11 歳、長女 8 歳
■お困り度:★★★★★☆☆☆☆☆
お子さんを育てていく中で、多くの方々と知り合うことになりますね。大人でも、知り合い始めは緊張してしますし、顔見知りになっても、合う・合わないといった部分が見えてきて、調整にエネルギーを使うことになります。
話が盛り上がったり、楽しくお付き合いができたりすると気持ちも楽になりますが、残念ながら波長の合わない人もいらっしゃるでしょう。それなのに、顔を合わせる機会が続いているというのは、そのたびにモヤモヤしてしまいますね。
今回のご相談の場合、一度受け止め方を変えてみることをおすすめします。
「会話は続かないし、挨拶もしないことすらある」という状態は、できれば仲良くお付き合いをしたいと思っている相手であれば気になりますし、良くないことのようですが、実はそうでもないという見方もできますよ。
気が合わない、話が盛り上がらない。実は、そういう関係性や距離感の相手がいるというのは、珍しいことでも困ったことでもありません。「そういうこともある、それはそれでいい」という理解をしてみてください。
「せっかく知り合ったのだから、顔を合わせたときは多少気を使ってでも世間話をする」「挨拶は毎回ちゃんとするべき」といった価値観はもちろん素晴らしいですが、そうではないドライな人もいるでしょう。
あるいは、そのお相手が好き嫌いが激しい人で、自分勝手に関係性に差をつけるような人なのかもしれません。その場合は残念ですが、いずれにしても、お互いにある程度は選び合っていいのです。
お子さんの手前、町内会でのお付き合いを大切にしようとする、相談者さんのお気持ちはとても誠実だと思います。しかし、子どもを通じた付き合いの上では、価値観が違う人や、今まで出会ったことがないような性格の人も出てきます。また、人と理解し合うことも、人を変えることも、そもそも難しいものです。
もし、そのお母さんともう少し親しくなりたいという気持ちをお持ちであれば、ダメ元で明るく話しかけてみてもいいですね。その反応を見て、やっぱり笑顔が見られないとか、早々に話を切り上げようとするのであれば、それがお相手の意志表示ですから、それ以上は期待したり求めたりする必要はありません。挨拶をする程度で十分でしょう。
お相手は、必ずしも相談者さんを嫌っているわけではない可能性も十分にありますから、ネガティブなイメージや気持ちを持たないようにしましょう。
本当はどう思っているのかも、どんな人なのかもわからない、でも、会えば挨拶をするという関係性を維持することはできます。そういう姿を見せることは、お子さんの社会性を育むお手本にもなるでしょう。
その方のためではなく、お子さんのため、ご自身の姿勢を示すためにも、可能であれば明るい声で挨拶はお続けになってくださいね。
(文:臨床心理士 大岡 みほ/うららか相談室)