1年以内で子どもを車内に残した人は2割、特に防止策を取っていない人は約8割に上る【子どもの車内置き去りの実態】
三洋貿易は、子どもの車内置き去り事故を防止する取り組みの一つとして、昨年に続き「子どもの車内置き去り実態調査2023」を実施しました。
今回は2023年5月末~6月初めに、幼稚園・保育園で送迎を担当する267名と、全国の小学生以下の子どもを乗せて車を運転するドライバー3,377名を対象に実施。車内置き去りの実態、危険性の認識、行動の変化などについてオンラインで調査を行いました。
<幼稚園・保育園の送迎バス編>
1.園児の車内置き去りに対する認識と実態
送迎バス担当者において、園児の車内放置による熱中症が毎年のように発生していることを知っているとした人は95.9%にのぼりました(昨年度95.5%)。
また、過去1年間に「子どもだけを送迎バスに残して車を離れたことがある」としたのはわずか1.5%で、昨年度の5.6%から減少し、施設側の意識の高まりが感じられる結果となりました。
2.認識と行動のギャップ
「車内に園児だけが残されることは、今後も発生すると思いますか」という質問に対しては、54.3%が「今後も発生する」(今後さらに増加+少しは増加+今と変わらないくらい発生)とし、「減る」(少しずつ減る+今後減っていく)の45.7%を上回りました。
「車内に園児だけ残されることは、なぜ起こると思いますか」という質問では、「送迎担当者や職員の意識が低いから」が昨年度から10.1ポイント減少し56.6%となりました。
また、「人手不足だから」「業務過多だから」「登園確認等のルールが形骸化しているから」は昨年度からそれほど大きな変化がなく、それぞれ49.1%、42.3%、41.9%となりました。
「あなたの勤務する園で、無意識のうちに車内に園児が取り残されることが発生すると思いますか」と尋ねると、「発生しないと思う」が76.0%、「発生すると思う」は24.0%にとどまり、自分の園では大丈夫と考える人が多くを占めることが明らかになりました。
3.送迎バスへの置き去り防止安全装置の設置義務化への認識
安全装置の設置義務化には「賛成」が84.3%と「反対」の3.7%を大きく上回りました(12.0%は「どちらでもない」)。
設置義務化で現場にどのような影響があるか聞いたところ、「保護者の安心感につながる」が64.0%、「園児の安全が守られる」は59.6%となりました。
また、職員や運転手の負担増を挙げた人も23.2%いました。設置が進み、使用体験が増えることで、これらの傾向にどのような変化があるかが注目されます。
置き去り防止装置について最も重要視していることでは、「子どもを確実に検知できるか」が51.7%を占め、車内の見回りを促す性能や価格といった他の理由を大きく上回って、重視しされていることが示されました。
<子どもを乗せる乗用車運転者編>
4.子どもの車内置き去りに対する認識
一般ドライバーでは、91.6%が子どもの車内放置による熱中症が毎年のように発生していることを「知っている」と回答しました(昨年度93.8%)。
5.子どもの車内置き去りに対する実態
1年以内に子どもを残したまま車を離れた(車内に子どもだけにした)と回答した人は20.4%で昨年度から微減となりました。
また、子どもを残して車を離れたとした人にそれを認識していたかを尋ねると、98.1%は認識していましたが、1.9%は認識していなかったとし、わずかながらも無意識の置き去りが発生していることが明らかになりました。
1年以内に子どもを残して車を離れたことがあるとした人にヒヤリとした経験を聞くと、多くが「特にヒヤリとしたことはない」「子どもに気になる様子・症状はなかった」でしたが、めまい、顔のほてり、頭痛・吐き気、体温が高いなどの症状を経験した人も5.1%いました。
1年以内に車内に子どもだけで残されているのを見たことがある人に、その際どのような対応をしたか尋ねると、「そのまま通り過ぎた」は71.5%と昨年度から16.6ポイント減少し、施設、警察、家の人に知らせるなどの対応をとった人は昨年度から増加しました。
熱中症の危険性の認知拡大とともに、対応をとる人が増えていることがうかがえました。
6.認識と行動のギャップ
「車内に子どもだけが残されることは、今後も発生すると思いますか」という質問に対し、80.8%が「今後も発生する」(今後さらに増加+少しは増加+今と変わらないくらい発生)と回答しました。
「車内に子どもだけ残されることは、なぜ起こると思いますか」と聞くと、「保護者の意識が低いから」が最多で60.5%(昨年度から11.1ポイント減)に。
「用事を済ませる間に子どもを見てくれる人がいないから」が35.9%、「他のことに気を取られて子どもが車内にいることを忘れてしまうから」が22.3%となりました。
こうした中、「子どもを無意識に車内に残してしまうことを防止するための対策を行っていますか」と質問すると、78.9%が「特に防止するために対策を行ったことはない」と回答しました。
無意識の置き去りが発生することはある程度認識しているものの、多くが対応を取れていない実態が明らかになりました。
7.車内への子ども置き去り検知システムへの認知
「子どもの車内置き去りを検知し、防止するシステムがあることを知っていますか」という質問に対しては、54.2%が「知っている」(「よく知っている」、「聞いたことがある」の計)、45.8%が「知らない」と回答しました。
「知っている」の割合は昨年度の20.7%から拡大するも、まだ余地があることがわかる結果となりました。
調査概要
<幼稚園・保育園の送迎バス編>
調査方法:オンライン定量調査
調査期間:2023年5月26日(金)~ 6月5日(月)
調査対象:幼稚園・保育園で送迎を担当する20~69歳 267名
<子どもを乗せる乗用車運転者編>
調査方法:オンライン定量調査(人口構成比に合わせてウェイトバック集計)
調査期間:2023年5月26日(金)~ 5月31日(水)
調査対象:小学生以下の子どもを乗せて自動車を運転する全国の20~69歳のドライバー 3377名
三洋貿易
https://www.sanyo-trading.co.jp/
(マイナビ子育て編集部)