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2024年01月05日 10:31 更新

13年ぶりの妊娠・出産で生まれたのは双子! 想像していたよりもその生活は大変で…!? #男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は13年ぶりに赤ちゃんを授かったおうちのパパにインタビュー。しかも赤ちゃんは双子で……! 育休取得にあたってのさまざまな葛藤や双子育児の大変さ、思春期の長女さんとの関係など、盛りだくさんでお届けします!

双子の赤ちゃんが9カ月のタイミングで育休を取得した林家

今回のパパ

林 智一さん/44歳/株式会社 ナリス化粧品勤務
(※お名前は仮名です)

●ご家族
妻:早智さん/42歳/会社員 
長女:寧々ちゃん/14歳
長男:怜央くん/1歳 次女:心瑚ちゃん/1歳

●林家のパパ育休
2022年8月に第2子第3子となる、怜央くんと心瑚ちゃんが誕生。二人が9カ月になった2023年5月から智一さんが3カ月の育児休業を取得。1才になったタイミングで妻の早智さんも仕事に復帰した。

パパの育休取得中のタイムスケジュール

育児の手が圧倒的に足りない! でも、育休取得にはなかなか踏み切れず……

――林さんには双子のお子さんがいるとか?

智一さん はい。2022年生まれの男女の双子がいます。実は上にも娘がいて、もう中学生なんです。

――10年以上ぶりの妊娠・出産だったわけですね。育休は産後すぐからスタートしたのですか?

智一さん いえ。双子が9カ月になってからですね。実は当初、私たち夫婦の間で、僕が育休を取得する考えはまったくありませんでした。久しぶりとはいえ、育児自体が初めてではないわけですし、なんとかなるだろうと。ある意味楽観視していたんです。

しかし、双子が生まれてからしばらくたって、少しずつ生活が回らなくなってきました。とくに6カ月になって少しずつ動くようになってからは、もう大変! ミルクもおむつ替えも離乳食もすべてが×2ですし、寝かしつけのときに片方が泣くと、もう片方も起きてしまいます。なので、妻も僕も忙しいわ、睡眠時間が足りないわで、へとへとで……。明らかに手が足りていない状況でした。

――当時、早智さんから「育休を取得してほしい」と要望があったのですか?

智一さん いいえ。妻は「自分が育休を取得するから、あなたは働いて」というスタンスだったんです。それは妊娠中も生まれてからもずっとそうでした。

同じことで悩む方は多いと思うのですが、僕自身、自分のキャリアを考えると、育休を取得することが、とても不安だったんですね。弊社では男性の育休取得が推進されていて、実際取得者はかなり増えているのですが、自分のこととなると、管理職でメンバーに与える影響なども心配でしたし、なかなか踏み切れず……。妻も僕の仕事に対し、同じ不安を抱えていたと思います。

――そこから取得に進んだのはどういうきっかけだったのでしょう?

智一さん 当時は夫婦で話し合ってもいつも結論が出ないままでしたが、とにかく一度会社に相談してみようと。「今こういった状況なんですが、育休を取得するかどうか悩んでいて……」と、上司に相談を持ちかけました。自分が直面している家庭のマンパワー不足問題、それが育休取得で解決しそうなこと、一方で僕が育休を取得した場合の周囲への影響、今後のキャリアに対する不安など、かなりオープンに伝えたと思います。

――相談してみると、いかがでしたか?

智一さん ありがたいと言いますか、とても温かい反応が返ってきたんです。「仕事のことはすべて、自分(上司)や周りのメンバーでバックアップするから、 何も不安に思わなくていい。家庭に注力して」という風に言っていただいたんですね。

それまで育休を取得するかどうかずっと迷っていたんですけど、上司のこの言葉があったおかげで「取得しよう」と心が決まりました。

「双子なのでミルクも2人にあげないといけないのが大変。このクッション『ママ代行ミルク屋さん』は2人同時に授乳ができるのでとても便利でした」(智一さん)

長女の赤ちゃん時代は何もできてなかったと改めて気づく

――育休中はどのような生活でしたか?

智一さん 基本24時間営業みたいな感じの生活で、大変でしたね。双子たちが朝5時に起きて、18時には寝かせていましたが、夜中もだいたい1〜2回は起きていました。

――先ほど「一人が泣くと、もう一人も起きる」と話をされていましたが、一つの寝室で親子4人が寝ていたのでしょうか?

智一さん それも試しましたし、一人が二人の面倒を見て、もう一人はフリーになるパターンもやってみたんですけど、結局は部屋を分けて親一人が子一人を見るスタイルに落ち着きました。毎晩必ずつきっきりにならないといけないんですけど、我が家的にはこれが一番うまくまわりましたね。

――育休を取得して気づいたことはありますか?

智一さん 長女のときは自分がいかに育児をしてこなかったかを思い知らされました。長女が赤ん坊だった当時、僕は今の会社ではなく、別の会社に勤めていたんですが、仕事がすごく忙しくて、毎日終電で帰るような生活を送っていました。帰宅すると、妻も長女も寝ているんですね。平日は朝起きて少し顔を合わせるのみで、長女のお世話をするのは、基本的に土日だけ。それでも十分やっている気になっていましたが、今思うと全然でした。

双子のことは妻と二人三脚で育児をしているな! という実感があるのですが、それも育休を取得して、毎日朝から晩まで育児に取り組んだからだと思います。

――育休を取得してよかったことはどんなことですか?

智一さん いろいろありますね。仕事面で言えば、育休を取得する側の気持ちがよく理解できたことです。僕の部署にも産休・育休を取得するメンバーが多いので、その不安などをリアルに感じられたのは、今後のためにもよかったと思います。

育児の面で言えば、やはり双子の成長をしっかり見守ることができたことですね。ちょうど僕の育休がスタートしたくらいのころに、双子たちが寝返りできるようになったんですが、すぐズリバイが始まって、ハイハイ、つかまり立ち、伝い歩きと怒涛のような成長を育休を取得した3カ月の間に見せたんです。もちろん、双子なので一人一人の成長速度は同じではないんですが、毎日初めてできるようになることの連続に驚く毎日でした。

「僕の育休中に驚くべき成長を見せた2人。今ではこんなふうにジャングルジムに登ることもできるようになりました」(智一さん)

ママのリフレッシュタイムを作るため、週に一度はパパが子連れ帰省

――職場復帰後の今の生活はいかがですか?

智一さん 土日は育休中と同じようにがっつり育児に取り組む生活を送っています。平日の朝は双子たちの朝食と保育園準備が僕の担当です。帰りは妻が15時に仕事を上がって保育園に行き、今も18時には寝かしつけを始めます。僕が19時ごろに帰宅しようと帰っていると、妻から寝かしつけ中だから今は帰宅しないようにという連絡が来て、公園のベンチで一人スマホを眺める……なんてこともありました(苦笑)。

――わかります! パパが中途半端な時間に帰って来て、起こしてしまう問題ありますよね。

智一さん そうなんですよ。我が家の場合は犬もいるので、さらに大変です。ドアをバンと閉めたら犬がびっくりして吠えて、その鳴き声で双子が起きて泣いて……みたいなことがよく起こるので、家族みんなで注意しています。

――双子ちゃんの部屋を分けているのは今もですか?

智一さん 今もですね。僕の帰宅後に起きた場合は、僕がペアとなっている長男の世話をします。最近は夜中あまり起きないようになったので助かっているのですが、とはいえ、朝5時になると長男が僕を叩いて起こしてくるんです。「まんま、まんま!(ごはん、ごはん!)」って、真っ暗な部屋の中で(苦笑)。

――光景が目に浮かびます……!

智一さん 食べることが好きで、とても食欲旺盛なんです(笑)。こうして朝早く起こされるので、僕も夜22時半には寝るようにしてます。

――息抜きする時間はありますか?

智一さん 夫婦ともに一人の時間を作れるように意識していますね。妻の一人時間は週に一度僕が双子を連れて、顔見せを兼ねて僕の実家に帰ることで作っています。この日帰り帰省は育休中もしていました。この時間、妻には自分のことをやってストレス解消してほしいなと思っているんですが、あとで何をしていたかと話を聞くと、結局、日頃できない掃除や離乳食のストック作りなどをしてくれていることが多いです。これは僕も感じていることですが、本当に毎日やることが尽きません。

「双子育児をしていると、2人同じ時間に寝てくれるってことがレア! このベビーカーに乗せていると2人同時に眠るので、とてもありがたいです」(智一さん)

育児に奮闘する両親を見て、長女の態度に変化が!

――長女さんと双子ちゃんたちは仲良しなんですか?

智一さん 二人とも長女にめちゃめちゃ懐いていますよ。長女もとても可愛がってくれています。だけど、生まれてしばらくは、全然違いましたね。長女の態度は今と真逆でした。振り返ると、長女も戸惑ったんじゃないかな。長い間、一人っ子として生きてきて、親の愛情も時間も何もかもが自分一人のものだったのに、その状況が双子の登場で一変したのですから。とても寂しい思いをしたと思います。

――今は当時と全然違うとのことですが、長女さんの態度が変化したのはどうしてでしょう? 

智一さん 僕は自分が育休を取得したことが関係していると思うんです。自分も妻も仕事を大事にしてきたほうですし、長女は特に僕に対してそういう印象があったはずです。なので、そんな仕事人間の父ちゃんが育休を取得して、育児に奮闘することに驚いただろうし、そこまでして二人で双子を見ているけど、それでもすごくしんどそうで、夕方になると肉体労働を終えたばかりのような疲れた顔をしている。そんな両親の姿に彼女なりに思うところがあって、サポートしてくれるようになったんじゃないかな。

これが僕が育休を取らずに、妻に育児を任せきりの状態だったら、結果が全然違ったと思います。何もしない僕が長女に「弟と妹は赤ん坊なんだから、もっとお世話してあげな」なんて言ったら、どうでしょう? きっと納得せず、反発していたはずです。

――背中を見せることが大事だったってことですね。

智一さん そうですね。これも育休を取得したからこそ、気づけたことです。

「双子たちをとても可愛がってくれる長女(まん中)。妻の双子妊娠中は、臨月に管理入院をしたので、初めて父と娘2人で暮らしました」(智一さん)

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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