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2023年12月04日 08:01 更新

パパが育休を取ったのは次男が生後3カ月のタイミング。その理由とは?#男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は出産後すぐではなく、妻が仕事復帰するタイミングでの男性育休の取得を選択したご夫婦にお話を聞きました。

妻の仕事復帰のタイミングで育休を取得した松木家

今回のパパ
松木貴広さん(外資系ガラス製造業)/35歳/コーニングジャパン株式会社

●ご家族
妻:真実さん/33歳/自営業(学習塾経営)
長男:誠一郎くん/6歳 次男:謙太郎くん/2歳

●松木家のパパ育休
2021年7月に第2子の次男の謙太郎くんが誕生。自営業を営む妻の仕事復帰に際し、サポートに専念するため、生後3カ月の11月から年明けの2023年1月にかけて、2カ月の育児休業を取得した。

松木さんのワンオペのDAYのタイムスケジュール

会社ではいい意味で育休に対する大きな反応がなかった

――貴広さんは真実さんの仕事復帰をサポートするために育休を取得されたそうですね?

貴広さん はい。共働きなので、次男の妊娠中に「産後はどういったプランで家事・育児と仕事を両立していくか」を夫婦で話し合ったのですが、両立に慣れるための期間が必要だよねという話になり、妻の復帰する時期に私が育休を取得してサポートするのがいいのでは? ということになったんです。

――真実さんは次男くんの出産後、どのくらいで仕事復帰されたのですか?

真実さん 次男が5カ月のタイミングでした。学習塾を経営していますが、個人事業主なので、育児休業給付金がもらえませんし、通っている生徒さんもいるので、できるだけ最短で仕事復帰する必要があったんです。

――貴広さんが会社に育休を取得したいと伝えたときは、どんな反応が返ってきましたか?

貴広さん 「おめでとう!」と祝福の言葉をかけてもらいましたが、それ以外はいい意味で大きな反応はありませんでした。もともと男性の育休取得者が管理職や現場の社員問わず増えていましたし、理由に関わらず1〜2週間の休暇を取得する社員もよくいるため、取得しやすい環境が整っていたと思います。

「夫は普段からめちゃめちゃいい父親です!」

――育休中、大変だったことはありますか?

貴広さん 長男のときは夜に泣いても交代で寝ることができたのですが、次男が深夜に大泣きすると長男も起きてしまい、2人とも世話することになるため、休息がとりにくかったですね。

――2人目だからこその大変さですね。家族全員で一緒に寝ていたんですか?

貴広さん いえ、部屋を2つに分けていました。大人が一人で眠る部屋と大人1人子ども2人で眠る部屋にしていたんです。子どもと眠るほうは大変でしたが、もう片方はゆっくり寝られるメリットがありました。

――深夜のお世話は日ごとの交代だったり?

真実さん 厳密に決めていたわけではなく「最近そっちが(夜のお世話を担当することが)続いたから、代わるよ」とかそんな感じです。そのころはもう完全ミルクに切り替えていたため、私が一人で寝る日は完全に夫におまかせでした。

授乳のことは最初、次男が母乳をあまりうまく飲めずに悩んだのですが、夫が「ストレス溜めてるぐらいなら、ミルクにしたらいいやん」と言ってくれて。「そっか!」と、その言葉のおかげで自分の心も軽くなり、完全ミルクに早めに移行しました。

長男のときは3カ月で哺乳びんを拒否して完全に母乳だけで育てましたが、すごく大変でしたし、ミルクにしたことで夜のお世話も夫に任せることができ、保育園の入園も早かったので、我が家としてはよい選択だったかなと思います。

――真実さんが一人で寝る日は長男くんが「ママと一緒がいいー!」なんてことには……?

真実さん ならなかったですね。私がいうのもなんですが、夫は普段からめちゃめちゃいい父親なんですよ! 子どもの変化によく気がつくし、遊びも真剣。育休中は虫好きな長男の幼稚園帰りに「公園で虫取りしよう」なんてこともよくありました。だから、長男も夫が大好きなんです。

――パートナーから「めちゃめちゃいい父親」というお墨付きをもらえるなんて、素晴らしいですね!

貴広さん ありがたいですね(照)。

真実さん 私はどちらかというと、子どもと遊ぶのも苦手だし、育児も適当。今「育休中に大変だったこと」というテーマで話をしていましたけど、普段、夫は息子たちのことが大好きすぎて、子育てに関するほとんどのことを大変だとは思ってないんじゃないかな?

貴広さん まあ、大抵のことはそうかも? ただ、育休に入るまでずっと真実が食事やおふろなど、2人のお世話をメインで対応してくれていたので、それはとても大変だったよな……と育休中にがっつり家庭のことと向き合って、改めて思いました。

「長男が手に乗せているのは以前飼っていた蚕! 長男はとにかく虫や生き物が大好きなので、育休中は公園にたくさん出かけました」(貴広さん)

ワンオペの日は、17時までに退社!

――復帰後のことについて教えてください。

貴広さん 妻の学習塾が週に2日、夕方から夜に開くのですが、その日は僕が保育園のお迎えから寝かしつけまで担当をしています。弊社にはフレックスタイム制度があるため、それを活用し、仕事の都合がつけば16:00、遅くとも17:00には退社して保育園に向かいます。

――週2日はパパのワンオペDAYになるのですね。貴広さんの職場は16時退社でも帰りにくい雰囲気は全然ないのですか?

貴広さん ええ。僕は今、課長の役職についていますが、上司である部長もお子さんのお迎えのために定時で帰って行くので、気兼ねなく帰れます。ただ、製造業である以上、トラブルは避けられません。なので、何か起きた場合は自分の育児が終わった後に自宅から対応する形をとっています。また、妻の仕事が休みの日は仕事に集中し、帰りが遅くなることももちろんあります。

――帰宅後のスケジュールはどのような感じですか?

貴広さん 小学生の長男が学童から帰って来るので迎えて、妻が作っておいてくれた夕食を食べます。一緒におふろに入って、レゴなどでちょっと遊んで、歯磨きして、20時くらいになったら遊びをやめて、寝室に3人で移動って感じです。そこから絵本を30分読み聞かせします。

――30分というと、結構長いですね!

貴広さん 5〜6冊読みますね。ゴロンと3人で横になって読んでいます。

――素敵! とても幸せな風景ですね!

「寝る前の読み聞かせタイムは、長男が小さいころからの習慣。最近は長男が一人でも本を読めるようになり、次男が読みたい本を僕のところに持って来てくれることが多いです」(貴広さん)

「1から10までわかっている」夫だから、育休を取ってほしかった

――家事の分担はどのようにされていますか?

真実さん 我が家は家事によって役割を決めています。私は掃除が苦手ですが、夫は得意なので掃除とゴミ出しは夫担当。食事は基本的に私の担当ですが、子どもの朝食は夫が作ってくれます。

貴広さん パンか温めたごはん、ソーセージ、卵、レンチンした野菜など、簡単なものです。

真実さん ほかの家事はだいたい私ができる範囲でしていますが、私が家事に集中したいときに子どもと遊んだり、公園に連れて行ってくれたり、寝かしつけを早めに済ませてくれたりなど、主に子どものことを担当してくれるので、ありがたいです。

夫の育休中は彼に家のことをだいぶお願いできたので、そこにリソースを割かれることなく、復帰に向けた準備を進めることができましたし、仕事復帰してからもすんなりとワークライフバランスが取れたと思います。

――期待以上の動きだったわけですね!

真実さん うーんと、夫にはもともと全幅の信頼を寄せていたので、育休がスタートする前に想定していた通りですかね(笑)。夫にお願いすると 、1から10まで取りこぼしなく、家事も育児もしてくれるだろうなとわかっているからこそ、育休を取得してもらえたら助かると考えていました。逆に言えば、普段は家事も育児もしない、子どもの横でスマホいじっていればオッケーみたいな人だったら「育休は取らないで稼いできて!」と伝えたかもしれません。

「息子たちとは潮だまり遊びにもよく行きます。ここではタコ・アメフラシ・カレイの幼魚などが採れます」(貴広さん)

男性育休を取得する一人一人がモデルケースに

――最後にこれからパパの育休を検討している方にメッセージをお願いします。

貴広さん 男性の育児休業取得に関しては、浸透してきてはいるものの、まだまだ収入の観点・復帰後のキャリアを考慮して、取得しない選択をする方も多いかと思います。ただ、収入に関しては公的補助がありますし、復帰後のキャリアパスも会社への相談次第でプラスになると思うんです。

コーニングジャパンでは「男性育休取得率60%」を目指しており、男性育休のことを前向きに捉えていますが、これからどんどん推進する企業が増えていくと思います。というのも、今後「男性が育休を取得できるかどうか」は、若い世代の求職者が企業を選ぶ一つの軸となるでしょうし、優秀な人たちが企業に集まるように、企業側も努力していくでしょう。だからこそ、社員は制度を活用し、一人一人が良いモデルケースとなれればいいんじゃないかと思います。そして何よりも、育休は人生におけるとても貴重な機会です。とにかく子育てを目一杯楽しんでもらえたら!

真実さん ぜひ、男性には育休を取ってほしいと思います。従来のように新生児のお世話をする期間だけではなく、我が家のようにママ側が復帰するときに取るのもおすすめです。それまで育児に専念していたところに仕事が入ってくるのは、どうしても無理があるというか、ママのストレスが大変だと思うので……。現代の共働き家庭には必須の選択かなと。あと、取得するなら、うちの夫のように家事も育児もしっかりやりましょう!

――今日は真実さんから貴広さんを褒める言葉をたくさんいただきましたね!

真実さん ちょっとしゃべりすぎました(笑)

貴広さん あはは。ほんま誰のインタビューや!(笑) 

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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