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2026年07月05日 10:11 更新

「あなたが最初で良かった」と声をかけられた、職場初の育休。復職後に下した大きな決断とは?#男性育休、取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘している当人の声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は、外資系の新興の電力企業で、男女合わせた全社員の中で初めて育休を取得したパパのインタビューをお届けします!

パパが6ヶ月の育休を取得した尾島ファミリー

今回のパパ
尾島 晴樹さん(仮名)/33歳/TGオクトパスエナジー カスタマーサービス職 

●ご家族
妻:朴 智秀さん/33歳 育休中
長男:悠太くん/1歳3ヶ月
※ご本人を含めて家族全員の名前は仮名です。

●尾島家のパパ育休
2025年1月1日に長男が誕生。6月30日までの半年間、育休を取得する。2021年設立の環境にやさしいグリーンな電力を安価な価格で提供するTGオクトパスエナジー(東京ガスと英Octopus Energy Groupの合弁会社)の全社員の中で、第1号の育休取得者だった。消費者の問い合わせに回答する、カスタマーサービスの部署に所属。復職後、自らの意思でチームリーダーの職を退き、家庭と仕事の両立に奮闘している。妻の智秀さんは現在育休中。

尾島さんの休日のタイムスケジュール(現在)

■ 「あなたが最初でよかった」仲間の言葉に背中を押された

――尾島さんが育休を取得しようと決めた背景を教えてください。

尾島さん  大きな理由は、家族のサポート体制です。 妻が韓国出身で、私が沖縄出身ということもあり、お互いの両親が遠方に住んでいます。身近に頼れる親族がいないため、夫婦二人で乗り切るには私がいかに関われるかが重要でした。そのため、育休を取らないという選択肢は最初からなかったです。当初は1年間の取得も考えましたが、収入面などを考慮して最終的に半年間に決めました。

――周囲の反応はいかがでしたか?

尾島さん 実は、弊社は2021年に設立されたばかりの若い会社で、性別に関わらず私が第1号の育休取得者だったんです。上長には妻の妊娠が判明してすぐに報告し、育休を取得したいことも伝えましたが、とても喜んでプッシュしてくれました! 
そのほかのメンバーには、半年に一度の社内イベントで、業務の振り返りをした最後にサプライズとして育休取得を発表しました。そうしたら、会場がすごく盛り上がってくれて、たくさんの人がハグして祝福してくれました。

――同僚からの特に印象に残っている言葉はありますか?

尾島さん あるメンバーが言ってくれた「初めての育休取得者があなたでよかった」という言葉です。当時はチームリーダーという役職に就いていたので、責任ある立場の人間が率先して育休を取る姿を見せることで、後に続くメンバーの心理的なハードルを下げられると感じてくれたのかもしれません。また、男性の私が第一号となることで、性別を問わず誰もが当たり前に育休を取れる文化が広まっていく――。そんな期待を込めたエールだと捉え、非常に勇気づけられました。

――引き継ぎについてはどのように進められたのでしょうか。

尾島さん 私の所属する部署ではリーダーの選出に「公募制」を採用しており、不在中の代理リーダーを募った際も自ら「やりたい」と手を挙げてくれたメンバーが3名いました。その中から、私自身も候補者一人ひとりとコミュニケーションをとり、最終的には上司との面談を通じて後任が決まりました。

引き継ぎは細かい部分まで時間をかけて進めていきましたが、前向きな志のある仲間にお願いできたことで、自分が仕事から離れることの不安はほとんど感じることなく、未知の育児へのワクワク感に目を向けることができました。

「育休中の一コマ。オクトパスエナジーの公式キャラクター、タコのコンスタンティンと一緒に!」(尾島さん)

■24時間家族と過ごせた幸せな半年間

――お子さんは元旦生まれだそうですね。

尾島さん そうなんです。年明けの予定日だったのですが、大晦日の明け方に陣痛が始まり、病院へ行ってから24時間近くかかって生まれてきました。ずっと妻に付き添っていたので、元日の朝に無事に生まれた瞬間は一生忘れられない思い出です。

――退院後の夜中のお世話はどう分担されていたのですか?

尾島さん どちらが起きるかは当番制にしていました。しかし、同じ部屋で寝ているので、息子が泣くと結局2人とも目が覚めてしまうんですよね 。特に最初の1ヶ月は睡眠不足が辛かったですが、その大変さ以上に、毎日24時間家族と一緒にいられる幸せが勝っていました。

――国際結婚ならではの、育児スタイルの違いを感じる場面はありましたか?

尾島さん ほとんどありませんが、韓国の離乳食文化には驚かされたことがありました。韓国では離乳食の超初期から、鉄分補給のために牛肉を食べさせるのが一般的だそうです。「日本とは違うなぁ」と思いましたが、妻が韓国から取り寄せた、図鑑のように分厚い本を読み込みながら頑張って準備しているのを横で見ていたので、彼女の意思を尊重するようにしていました。

――そんな違いが! 面白いですね。それはそうと、生まれたての頃と復職時の生後6ヶ月では、赤ちゃんの様子も驚くほど違いますよね。

尾島さん 本当にそうですね。別人のようです。日ごとに刻々と成長していくので、その変化を一瞬も見逃さずにそばで見守れたことは、自分にとって本当に大切な思い出となりました。
ただ、復職後に少し寂しい思いもしたんです。復職してしばらく経った頃ですが、ある1週間、息子がものすごいスピードで成長したことがあって……。つかまり立ちを始めたと思ったら、次に気づいたときには自力で歩き始めていた。その「合間の変化」をリアルタイムで見られなかったのは、正直に言うと、とても切なかったです。

「生後9ヶ月のときに妻の韓国の実家に行きました。向こうのおじいちゃんやおばあちゃんにたくさん可愛がってもらったり、いとこにあたる妻の実兄の子どもとたくさん遊んだりしました!」(尾島さん)

■自ら選んだ「リーダーを外れる」という選択

――復職されてからの働き方について教えてください。

尾島さん 復職直後は、以前と同じチームリーダーに戻りました。実は、夏場は本来であれば落ち着いている時期(閑散期)のはずですが、ありがたいことに顧客数が伸びていたこともあって、現場は慌ただしい状態がずっと続いていて。そんな中で復職し、日々仕事と向き合っていたのですが、ある日ふと気づいたんです。家で息子と遊んでいる最中なのに、頭のどこかで仕事の悩みを持ち帰って考えてしまっている自分に……。
それに気づいたとき、強いショックを受けました。「こんなに可愛いわが子が目の前にいるのに、自分は100%向き合えていない」と。妻の負担も大きくなっていました。そこで当時の上長に正直な思いを伝え、チームリーダーを離れることを決心しました。

――自らの意思でリーダーを外れるというのは、勇気ある決断ですね。

尾島さん 職場が非常に柔軟で、個人の状況に合わせたキャリアを尊重してくれる環境だったからこそ、正直に打ち明けることができました。今の会社でなかったら、相談するのも躊躇していたかもしれません。今年の1月から一人のメンバーとして職務にあたっていますが、オンオフの切り替えが明確になり、心理的な負担は劇的に軽減されました。

「うちの子は生まれてからずっと成長曲線の上限ギリギリにいて、とっても重く、ミルクをあげるのが本当に大変だったのですが、妻が韓国のネットでオススメされていた授乳シートを見つけて使ってみたところ、手首や腕の負担が一気に減り、ミルクの時間が革命的に楽になりました!」(尾島さん)

■育児は一人でできるものではない

――最後に、これから出産や育休を控えている方へアドバイスをお願いします。

尾島さん  育児を経験して強く感じたのは、これは到底一人でできるものではないということです。SNSなどで「ワンオペ育児」を乗り切る動画などをよく見かけますが、実際に自分でやってみて「これを一人で抱え込むのは、肉体的にも精神的にも本当に過酷だ」と痛感しました。YouTubeなどの動画のように綺麗にこなせることばかりではないですし、「一人でもなんとかなる」と周りが勘違いしてはいけないな、と……。もちろん、皆さんがそのような意図で発信しているわけではないことはよくわかっています。
だけど、個人的にはやはり育児は複数人でやるべきものだと思います。なので、もし金銭的な事情が許されるのであれば、可能な限り長期間の育休を取得することをおすすめします 。きっと一緒にいる時間が長いほど、お互いの負担が偏ることなく、家族みんながハッピーに過ごせると思います!

「近所の公園での遊び姿です。季節の花や緑と一緒に、その時期ならではの景色を写真に残すようにしています」(尾島さん)

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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