2024年に流行するのは盛れないSNS。リアルな写真を共有する「BeReal」とは?#親と子のネットリテラシー入門 Vol.26
ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。
若者に人気急上昇中の「BeReal」(ビーリアル)とは
若者たちはいつもアプリのトレンドを追いかけています。特にSNSは大好きなカテゴリーのひとつ。友人との交流に、好きな芸能人の推し活に、コスメやゲームなどの情報収集にと、常にSNSを駆使して生活しています。
そんな若者に人気のSNSは何かご存知でしょうか。
若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」の「SNS利用率と利用しているSNS」(2022年版)によると、中学生、高校生、大学生の約98%がSNSを利用しており、利用しているSNSの1位はLINE、2位はInstagramです。3位は中学生がTikTok、高校生と大学生はX(旧Twitter)です。皆さんの予想通りかもしれませんね。
LINEは家族や同級生との連絡ツールとして欠かせません。Instagramはストーリーズを中心に友人とのコミュニケーション、Xは情報収集などに使われています。
そんな若者が注目しているSNSは何か、LINEリサーチが調査が行いました。
LINEリサーチ「今後(いまよりも)流行りそうなSNS」(2023年9月調べ)によると、15~24歳の若者が「今後(いまよりも)流行りそうなSNS」として挙げたSNSは、Instagramが1位(48.6%)、続いて2位がTikTok(37.2%)、3位がX(34.5%)となっています。そして、4位に「BeReal(ビーリアル)」(14.3%)が入っています。人気のSNSに次いでランクインしているBeRealとは、どんなSNSなのでしょうか。
「BeReal」は盛らないリアルなSNS
「BeReal」(ビーリアル)は、2020年にリリースされたアプリです。フランスで開発され、大学生を中心に人気となり、2022年にはデイリーアクティブユーザーが2,000万を超えたと公式サイトで発表されています。
BeRealのコンセプトは、「リアルを共有するSNS」です。従来のSNSのように、アプリで加工した写真を投稿したり、自分をよく見せたりすることが難しい仕組みになっています。
BeRealの基本的な使い方を説明しましょう。
●1日に1度、ランダムな時間に通知が来る
●通知が来たら2分以内に、インカメラとアウトカメラでほぼ同時に写真を撮って投稿(1日1回のみ)
●投稿するまで他のユーザーの投稿は見られない
●リアクションは自撮りなどで作るスタンプで行う
通知は早朝のときもあれば、昼間や深夜のときもあります。通知が来たら2分以内に撮影するため、メイクをしたり、綺麗な場所に移動したりといったことができません。2分を過ぎても投稿できますが「〇分遅れ」と表示されるため、「この人は時間通りに撮らなかった」とみんなに知られてしまいます。
また、スマホに保存している写真は投稿できません。BeRealのアプリで撮影した画像のみです。BeRealで撮影すると、左上に自撮り、大画面に背景が映ります。自分が今どんな様子でどんなところにいるのかが、ひとつの投稿に収められるのです。写真は入れ替えることもできるので、加工なしの自撮りをじっくり見られてしまいます。まさにリアルです。
投稿しなければ、友達の投稿が見られないのも珍しい仕掛けです。SNSをほぼ「見る専(見る専門)」として使っている人は若者にも多いのですが、BeRealではそれが許されません。
友達の投稿にはスタンプ(Realmoji)やコメントでリアクションできます。ただし、スタンプは自撮りなどで作成します。つまり、「いいね」スタンプは、いいねのポーズをした自撮りなどを撮影します。自分の顔でスタンプを作ることは恥ずかしいと思うかもしれませんが、これが実際にもらえるようになるとうれしいもの。本当に相手が「いいね」と言ってくれているような気持ちになれます。
通知が来たら1日1回だけ投稿できますが、2分以内に投稿すると、複数回投稿できるようになるボーナスがもらえます。例えば、サークルでイケてる集合写真を撮る予定がある場合、早朝に通知が来たらとりあえず天井と床を撮影して投稿しておけば、ここぞという時も投稿できるようになります。ただし、集合写真を撮る時間までに通知が来なければアウトです。
BeRealの人気はこうしたゲーム性が大きいのですが、ほかにも加工に疲れた若者が気楽に楽しめるという理由もあります。
ナイルが2023年11月10日に発表した「写真加工に関するアンケート調査」では、BeRealを使う理由で最も多かったのは「リアルな自分を見せられるから(42.4%)」、次いで「写真加工のプレッシャーから解放されるから(26.0%)」でした。
美顔加工を施してかわいくしていなくても、部屋が多少汚くても、「BeRealだから仕方ない」と割り切れます。ユーザーみんなが盛れないからです。加工が下手な人、映える写真が撮れない人もBeRealなら投稿できます。ありのままを共有することで、友人の知らない一面を見ることもできます。親しい友人とより深く付き合うために、BeRealでの交流が役立っているのです。
BeRealをお子さんが使うときの注意点は?
BeRealの動向を見てきた印象では、大学生が積極的に使っていて、だんだんと中高生にも広がってきているようです。
もしお子さんがBeRealを使いたいと言ったら、注意してほしいことがあります。
まず、BeRealは13歳以上でなければ利用できません(利用規約)。それ以下の場合は、保護者の同意が必要とされていますが、もし同意するのであれば、投稿をお互いに見られるようにするなどして投稿を注視しておくようにしましょう。
そして、親しい友人とだけ繋がるようにしましょう。BeRealには、「友達の友達」に公開する機能がありますが、アプリの特性上プライバシーが見られてしまうため、実際に親しい人とだけ交流することを約束します。
また、個人情報が映り込まないように写真を撮りましょう。自分の家がわかるような風景、名前や住所が入っているモノが映ってしまったら、あとから加工することはできないため、投稿前に撮り直すようにします。
BeRealの投稿には位置情報を付けることもできますが、オフにして投稿した方が安心です。また、オリジナルスタンプ「RealMoji」は自分の友人以外も見られるため、知らない人に見られても困らないようなスタンプを作成しましょう。
まとめ
ここまでBeRealを説明してきましたが、今までのSNSとは異なる点が多いため、どんなSNSなのか想像がつかない人もいるかと思います。もしお子さんが始めたいと言ったら、まずはお子さんと試してみるのもいいかもしれません。ある程度使い方がわかったところで、お子さんに友人と繋がることを許可してもいいと思います。
BeRealは親しい人と交流するためのSNSなので、使い方を間違えなければ危ない目に合いにくいと思います。リアルを共有する楽しさ、ぜひ親子で試してみてはいかがでしょうか?
(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)