悪口を書く子も……。子どものLINEステータスメッセージ(ステメ)の実態 #親と子のネットリテラシー入門 Vol.27
私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。今回のテーマは、「LINEステータスメッセージ」についてです。
LINEのステータスメッセージとは
家族や友人と連絡を取るとき、LINEを使っている人は多いでしょう。短い文章で気軽にメッセージを送れますし、スタンプで感情も表現できます。写真や動画をやり取りするときも、LINEならスマホから選択してすぐに共有できます。子どもたちは、LINEオープンチャットやLINE VOOMも積極的に楽しんでいるようです。
NTTドコモ モバイル社会研究所が2021年11月に行った調査では、小学生低学年の約2割がLINEを利用しています。小学校高学年になると男子が約3割、女子が約5割の利用率、そして中学生では男子の約8割、女子の約9割がLINEを使っています。他のSNSも利用していますが、コミュニケーションツールとしてはやはりメインのSNSと言えます。
LINEには、「プロフィール」が設定できます。自分の顔などを設定するプロフィール画像や、プロフィール画面の背景、BGMも設定できます。ここに、「ステータスメッセージ」という機能があるのをご存知でしょうか。
ステータスメッセージとは、自分のプロフィールに設定できるメッセージを指します。プロフィール画面や「友だちリスト」画面で名前の下に表示されるメッセージです。以前は「ひと言」という機能でしたが、現在は「ステータスメッセージ」や「ステメ」と呼ばれています。
ステータスメッセージでは、自分の気持ちや状況を友だちに伝えられます。「推しが大好き」、「ダイエット継続中」などのメッセージを書いておくと、友だちが見てくれるかもしれません。育児中のママさんには、旧姓や子どもの名前を記入している人もいますね。緊急時には「無事です」などの安否を伝えることもできます。
ステータスメッセージは短い文章しか入れられないように見えますが、実は最大500文字まで入力できます。プロフィール画面で「>」をタップすると、続きを全画面で見られます。大人はあまり長い文章を設定している人がいないかもしれませんが、もし文末が「…」で途切れている人がいたら、プロフィール画面を開いて見てください。全文が表示されますね。「こんな機能があったんだ!」と驚くかもしれません。
子どもたちは、このステータスメッセージを活用しています。そこで、子どものステータスメッセージ事情をお話します。
子どもたちはどんなステメを設定してる?
大人と違って、子どもたちはLINEのステータスメッセージを頻繁に更新します。なかには、「1日5回」という中学生もいました。1日といっても、この中学生の場合は夜の時間帯だけでこの回数です。いったい、どんなことを書いているのでしょうか。
近況
「テストしんど」「毎日眠い」など、ごく普通に近況を説明するタイプです。大人とそれほど変わりませんね。
ポエム
「信じていれば叶うよね」などのポエム風の文章を記入します。自作のものもあれば、どこかで見かけたポエムを記入していることもあるでしょう。
名言や格言
好きな名言や格言などを記入します。マンガやアニメの主人公が話した言葉を引用していることもあります。TikTokには「ステメにどうぞ」と、明言や格言を投稿している人も。英文もよく使われます。
好きな曲の歌詞
ポエムと似ていますが、好きなアーティストや芸能人の楽曲の歌詞の一部を引用します。歌詞だとは書いていないことが多く、本当にそう考えて書いたのか混乱することもあります。
暗号
暗号のように、読み手に解読させるパターンです。数字の羅列もよく行われます。好きな人の出席番号や背番号、思い出の日時などを数字にすることもあり、その場合は「ハート=2190」のように記載します。また、ポケベル打ちで「愛してる」を「114106」と表現したり、韓国語を使ってメッセージを書く子もいます。
病み系
「LINE低浮上」「返信遅いです」とLINEを見ていないアピールをします。本当に見ていないのではなく、すぐ返事をしないことで気を引きたいのだと思います。「涙が止まらない」「助けて」など、自分が窮地に陥っていることを匂わせる子もいます。通話などで話を聞いてもらいたいからかもしれません。
悪口
「あいつマジうざい」「みんなに嫌われているの知らないの?」などの悪口を書き込みます。相手が誰かを明言しないことがほとんどなので、読んだ人は「自分のことかも」と気にしてしまいます。
ステメは我が子のSOSのヒントになるかも
ステータスメッセージで自分らしさを表現するのは良いことなのですが、我が子が「病み系」や「悪口」を書いている場合には気を付けた方がいいでしょう。我が子からのSOSかもしれません。
「病み系」を書いている場合、ただ寂しいといった感情の場合もありますが、学校で友人関係のトラブルがあったり、親子関係で悩んでいる可能性があります。さりげなく声をかけてあげると良さそうです。
「悪口」が残されている場合、誰かを攻撃しているかもしれません。相手を特定していなくても、「メンバー外れてほしいよ」などと、おそらく部活でのトラブルを示唆している場合もあり、相手は自分だとわかる場合もあります。友だちとのトラブルがないか、「いじめ」に繋がる行為をしていないか、子どもと話し合うことも大切です。また、「ゴミ」や「クズ」など、強い言葉を使っていることもありますので、その場合は注意しておいた方がいいでしょう。
私の取材では、ステータスメッセージを使ってケンカしている中学生がいました。お互いに誰宛てとは書いていないのですが、明らかに自分のことだとしてステータスメッセージで反論し、それを読んだ相手もステータスメッセージで言い返していました。ステータスメッセージは誰でも見られます。たとえブロックしても、相手はプロフィール画面からステータスメッセージを読めます。二人が繋がっている友だちからも見られるため、スクリーンショットを撮って拡散されてしまうかもしれません。みんなが見ている場で口喧嘩している状態です。
子どもはステータスメッセージを友人に向けて書いているため、親が口を出すと反発するかもしれません。しかし、閉じた空間のLINEではステータスメッセージが唯一のヒントです。ステータスメッセージを読むと、子どもの気持ちを垣間見れるかもしれません。LINEを始めたばかりのころや学年が上がったときなどはトラブルが起きやすいので、特に注意が必要です。
また、Instagramを使っている子の場合は、DMの「ノート」という機能が同じような役割を果たしています。Instagramの場合はサブアカウントで行っていることが多いため、把握することが難しいのですが、もし見られる状態ならノートも見ておくと安心です。
まとめ
LINEはとても便利なツールですが、テキストのやり取りなので誤解を生むこともあります。また、リアルでのもめ事がLINEにも引き継がれることも多いです。ステータスメッセージの見守りで、トラブルを早めに見つけましょう。
(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)