「新山千春がマッチングアプリやってるよ~なんて拡散されたら…」それでもちゃんとした恋愛がしたくて。新山千春さんインタビュー【2】
長女が8歳のときに離婚を経験した新山千春さん。昨年、14歳年下の男性との再婚を発表すると、大きな話題となりました。それまでは「まったくそんな気がなかった」と話す新山さんに、出会いに向けて動き出したきっかけを聞きました。
■「どうやって恋愛モードに切り替えたの?」
ーー2014年から約10年間、娘・もあさんをシングルで育て、さまざまなメディアでシングルでの育児について発信されていました。同じ境遇の方からの声が届くこともありますか?
新山千春さん(以下、新山) シングルで子育てしている方から、SNS経由でメッセージをいただくことはありますね。
ーー具体的にはどんな声が届くのですか?
新山 たとえば、「子どもが2人いて、育児と仕事で毎日時間がなくて、子どもは言うことを聞いてくれなくて、すごくつらいなあと思うときがありますが、新山さんはどうやって乗り越えてきましたか?」とか。
2022年に、マッチングアプリで知り合った14歳年下の男性と交際していることを告白したときは、「どうやって恋愛モードに切り替えたんですか?」「新しい人と出会おうと思えたのはどうして?」とか、そういった質問をDMでたくさんいただきました。
ーーあの告白はとても話題となりましたよね。
新山 シングルマザーの方もやはり新しい恋に興味がある方が多いんだと実感しました。「どんなきっかけで、そういう気持ちになれるようになったんですか?」など。
ーー誰かが大きな声で教えてくれることじゃないですもんね。
新山 普通は聞きにくいじゃないですか。でも私には聞きやすいと思ってくれたみたいですね。うれしいです。
ーー実際、どんなきっかけがあったのですか?
新山 きっかけは、もあの成長とともに徐々に自分の時間ができたことです。小学校低学年のころは、自分の時間なんて全然ありませんでしたし、ほしいとも思わなかったんですが、いざ自分だけの時間が少しずつ出来てくると、気持ちにも余裕が生まれるというか。
子どもの成長と一緒に親子を取り巻く環境が変わるので、自分の気持ちも変化していきました。実は離婚後、まだそういった余裕を持てる段階ではないときに、男性からアプローチしていただいたこともあったんですが、そのときは一切、恋愛や再婚に対して前向きな気持ちになれませんでした。
■なかなか「恋愛スイッチ」が入らなかった
新山 でも子どもも大きくなって、まわりが結婚や再婚をしたり、子どもが生まれたり、という幸せな状況を見つつ、友達から「千春もがんばってきたんだから、そろそろいいと思うよ。出会ってみれば?」という声をかけてもらえたことが大きかったですね。
ーー出会いの機会として、マッチングアプリは最初から視野に入っていましたか?
新山 実はその言葉をかけてくれた友達が、海外のマッチングアプリに登録して、外国の方と結婚したんですよ。「そういう時代なのか」と思いまして。
ーーそうでしたか! 身近で幸せな例を目の当たりにしたんですね。
新山 それまで、マッチングアプリってちょっといかがわしいイメージがあったというか、前向きには捉えていませんでした。でも自分自身の危機管理がしっかりしていれば、惑わされずに出会いたい人と出会えて、進展できるのかもしれない、と思ったんです。それで友達に登録したことを報告すると「はやっ!」と言われました(笑)。
ーーすごい行動力ですね!
新山 このときに行動していなかったら、いまだに独身だったと思います(笑)。ただ、この仕事をさせてもらっている以上、ちょっと怖いなという気持ちもありました。「新山千春がマッチングアプリやってるよ~」なんてSNSで拡散されたらどうしよう、とか。だからプロフィールに載せる写真はいろいろ吟味して、結局、後ろ姿の写真にしましたね。
ーーリアルでの出会いは、選択肢から外していたんですか?
新山 うーん、友達が「いい人がいるから、ごはんだけでもいいから行ってみない?」と紹介してくれたことがあり、友達含めて4人でごはんを食べる、みたいなことも何度かあったんです。でも、夜は早く帰らなきゃいけないし、土日に「会いたい」と言われても私は土日は娘といたいので、デートなどの約束ができないんですよね。そうすると恋愛するスイッチが入らないんです。
しかも、そういうふうに知り合った男性が、周囲に「最近、新山千春とごはんを食べているんだよね」と言っていることが耳に入ってきまして。「ああ、ないな……悲しい……」と思いました。
■マッチングの条件は「平日の昼に会える人」
ーーそれは絶対「ない」ですよね。
新山 なんだか、この人は“芸能の仕事をしている私”しか見てないんじゃないか、と思ってしまいました。
ーーその点、海外のアプリなら、新山さんを知っている人のほうが少ないかもしれない。
新山 そうなんです。海外のアプリで出会う男性は私のことを知らないし、「どんな仕事をしているんですか?」というところからスタートします。理想的な環境で、友達もアプリでの出会いで結婚しているし……ということで、入口はすごく入りやすかったですね。
ーー再婚相手となった男性と出会うまで、何人くらいの方とやりとりしましたか?
新山 5~6人とマッチして連絡を取り合いましたが、やっぱり「一緒にBARで呑みませんか?」というお誘いが多くて……。本当に遅めの時間しか取れないのかもしれませんが、いかがわしさは一切感じずにちゃんと恋愛がしたかったので、自分のプロフィールに「平日にランチかお茶できる方」という条件を加えたんです。すると、大体の男性は「平日の昼は仕事をしているから、その時間は難しい」となって会えないんですよ。
ーーいまのパートナーはそんな条件に見事マッチしたんですね。
新山 はい。出会う方が絞られるなかで、いまの旦那さんはちょうどサンフランシスコから仕事の関係で日本に帰ってきたタイミングでマッチできたんです。もし友達からアプリを勧められたのがもう少し遅かったら、私が登録を迷っていたら……いまの旦那さんにも出会っていなかったと思います。
■新山千春さん/タレント
1981年1月14日生まれ、青森県出身。第20回ホリプロタレントスカウトキャラバンの審査員特別賞の受賞をきっかけに芸能界入りし、1996年公開映画『お日柄もよくご愁傷さま』で女優デビュー。タレントとして活動する傍ら、2012年には連続テレビ小説『カーネーション』(NHK)にも出演するなどさまざまなドラマや映画で活躍。近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)にドッキリの仕掛け人として出演したことも話題に。2006年に長女を出産し、その後シングルに。2023年、マッチングアプリで知り合った14歳年下の一般男性との再婚を報告した。
(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)