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2024年06月12日 11:36 更新

付き合う前には「ママ気をつけたほうがいいよ」と忠告してくれた娘が、「彼しかいない」と言ってくれた。新山千春さんインタビュー【3】

新山千春さんはマッチングアプリで出会った恋人と2023年に結婚。シングルマザーの恋愛に、子どもはーー。新山さんと彼、そして娘・もあさんとの関係について、赤裸々に話してくれました。

「ママ、気をつけたほうがいいよ! 慎重にね!!」

ーーパートナーの男性との出会いは、マッチングアプリでマッチしたことがきっかけだったそうですが、お互いの第一印象はいかがでしたか?

新山千春さん(以下、新山) 最初はお互いが日本人であることもわからなかったので、英語でメールでのやりとりを続けていました。彼はサンフランシスコで、私は日本。ビデオ通話を毎日するなど、連絡を取り続けて、お互いの性格が少しずつわかっていきましたね。
 あるとき、私の友達がL.A.で結婚式を挙げることになって、参列のために渡米しました。サンフランシスコとL.A.は飛行機で1時間くらいの距離なので、彼とも「会えたらいいよね」なんて話をしていましたが、私がサンフランシスコに行く時間はなくて。でも、彼がL.A.に来てくれて、空港で会うことになったんですよ。

ーーそのときにはもう、「私、恋しているな」という感じで……?

新山 実は空港で彼と会う前、私はミラーを持っていなくて、友達にミラーを借りてリップを塗り直したんですけど、「そんな千春、初めて見た! なんか乙女になってる!」と友達に驚かれて、「たしかに!」と思いました(笑)。
 それまで、日本で友達が紹介してくれた男性と会うときにはそんなことしなかったなって。離婚してから彼と出会うまで一度も恋愛をしなかったですし、「男性から可愛く見られたい」という気持ちはなかったから、ここで初めてそんな自分に気づきました。一生懸命リップを塗って少しでも可愛く見られたいなんてーー「恋してる」ってことだったんでしょうね。

ーー恋のはじまり、ステキですね! 

新山 さらに「ちょっともう1回トイレに行ってヘアスタイル直してくるわ!」みたいなこともして(笑)。とてもよく覚えています。

ーー彼もわざわざL.A.に会いに来るなんて、すでに新山さんに惹かれていたんでしょうね。そうして久しぶりの恋が始まったわけですが、一人娘であるもあさんとの関係性に変化はありませんでしたか?

新山 マッチングアプリに登録するときには、もあに相談してから始めたんです。いまの旦那さんとマッチしたとき、「こういう人なんだけど」と写真を見せたら、「実物はもっとおじさんかもよ? 会ってみたらちがう人だったりってこともあるんじゃない!? ママ気をつけたほうがいいよ!」なんて言われました(笑)。
 でも私が「えー、わからないじゃん。ビデオ通話してみようかな?」なんて言って通話をすると、もあはビデオ通話中の画面を覗いて「ちゃんと写真と同じだ……」と。すると今度は「絶対にサンフランシスコに彼女がいるから! ママ、本気にならないように気をつけたほうがいいよ」と忠告をしてくれたり(笑)。

「別れたら傷つくやつだ……」本気の気持ちに気づいて

ーーまるで、しっかり者の友達みたいですね(笑)。

新山 そうなんですよ。私の母親、つまりおばあちゃんも交えて恋バナをしたりもして、もあや母親とそういうやりとりをすることもそれまでなかったのでそれも新鮮で、「もし仮に彼とうまくいかなくても、いまがこんなに楽しいからいいや」と思えましたね。

ーー親子三代で恋バナなんて楽しそうです。

新山 私が彼と付き合うようになってからは、もあは「ママ恋してるじゃーん!」なんて茶化しつつ、「私も気になっている子がいるんだけど」と話してくれるようになりました。それまでよりもお互いなんでも話せる関係性になれたような気がしています。
 それと恋愛をしてよかったと思えたのは、まず自分自身が変わったことかもしれません。がんばりすぎていない日常に、幸せを見出せるようになったと思います。もあにも「なんだか優しくなったね」と言われました。

新山 特にシングルマザーの方々って、人生のなかで傷ついたり辛い思いをされている方も多いと思います。色々な人生経験していると思うんですよね。私も離婚を経てからは、ちょっとやそっと傷ついたところで、きっと芯までは揺るがないから大丈夫だろう、というところがありました。だからこの恋愛では、そういったことも含めて楽しめるかどうか、余裕を持てるかどうか、ジャッジができました。

ーー大人ですね。

新山 いえいえ、それまでの経験が強くさせてくれたのかな。でもやっぱり、好きになっていけばいくほど「うわあ……別れたら傷つくやつだ……」と思うようになって、その気持ちを彼に話したらすごく怒られたことがあります。

ーーなぜでしょう?

新山 「なんでいまから別れのことを考えるの?」って。それはそうですよね。そのときは仲良くお付き合いしているのに、なんで?って。
 たぶん、私は一度離婚を経験しているからか、「最悪別れることになったら、感情が大変だろうな」とか、別れがどんな傷になるのかを想定することで自分を守る、というクセがついてしまったように思います。

アメリカ旅行中に娘の高熱が下がらなくなって

新山 彼には「そういうことは言わなくていいと思う。いま付き合っていて楽しいんだから、楽しめばいいじゃない。もうそういうことは思わないでほしい」と言われました。
 彼がそんなふうに言ってくれたことに対してホッとしつつ、「ごめんね。私が悪かったね」と反省しましたが、傷つくことを想定してしまうのはもしかしたら「シングルあるある」かもしれないですね。

ーー40代という年齢も、そう思わせるのはないでしょうか。20代のころよりも傷を負ったときの治癒力が遅くなりますよね。

新山 そうなんですよね。虫に刺されても跡が残るし、いろいろな傷の治りに、時間がかかりますもんね(苦笑)。心も強くなっている部分とすごく繊細になっている部分、両方あるから、「私、大丈夫かな? あまり深追いしないほうがいいんじゃないかな? このくらいの距離感を保ったほうが、傷つかないんじゃないかな?」と慎重になっていました。

ーーそもそも新山さんはアメリカと日本の遠距離恋愛でしたが、その壁はどうやって乗り越えましたか?

新山 遠距離については、最初から会えないことが当たり前だったので、たまに彼が日本に帰ってきて会えたときが本当にうれしくて。「一緒にいられる時間を大事にしよう」と思えるのがよかったのかもしれません。

ーー結婚の決め手はなんでしたか?

新山 2022年の冬、娘・もあがL.A.にダンス留学した際に私と彼も合流し、みんなで観光も楽しみながらダンスを応援しようと旅行の計画をたてました。でも、現地でもあが高熱を出してしまったんです。
 解熱剤を飲めば熱はいったん下がるけれど、またガツンと上がってしまう、という状態が何日か続いて本当に心配でした。現地の友達も協力してくれて、薬局でいろんな薬を教えてくれたのですがなかなか症状が回復せず……苦しむもあの姿に、彼が「病院に行こう!」と、受診の手配をしてくれました。
 病院にも付き添ってくれて、お医者さんとも丁寧にやりとりしてくれて、本当にありがたかったです。適切な処方をしてもらえたおかげで、体調はみるみる良くなっていきました。
 本当なら観光旅行のはずだったのに、彼は嫌な顔をひとつせずにずっと一緒にいてくれて、もあのために尽くしてくれた。「旅行はまた今度行けばいいだけだから。体調がよくなることがいちばん大切だから」とさらっと言ってくれたんですね。彼がそうやって動いてくれなかったら、どうなっていたかわかりません。

「ママを理解して、私のことも大事にしてくれる人は、彼しかいない」

ーーその旅行に彼がいてくれて本当に良かったですよね。

新山 命を救われた気分でした。私はもう無我夢中で、すっぴんに崩れかけのお団子ヘアで看病していたので、そんな姿も全部見せたことも家族になった感じがしたんです。キレイに取り繕った姿とは真逆の状態で向き合えたことで、身も心もすっぴんになれて、「これが家族だな」と思えました。もあも、彼に「助けてくれてありがとう」って。

ーー彼との結婚について考えていることを、もあさんに伝えたのはいつでしたか?

新山 その旅行から帰国して、もあに「彼から『結婚を意識している』と言ってもらっているんだけど、どうしよう、と思っているんだよね」と話しました。そうしたら、「彼しかいないと思うよ、ママには。日本にはいないと思うよ。ママのこともちゃんと理解しているし、私のことも大事にしてくれるし」と。その言葉は大きかったですね。娘がそう言うなら、間違いないと思いました。

ーーそれが決め手だったのですね。

新山 そうですね。いきなり「ママの彼氏だよ」と子どもに会わせるのではなく、出会いから相談していたし、すべてさらけ出していたのがよかったのかなと思います。急な報告だと、子どもの年齢によっては反発もするでしょうし、思春期の男の子ならなおさら受け入れがたいかもしれません。
 うちの場合は、もあが中学生にもなり、色々と理解してくれる年齢になっていましたし、じわじわと「ママが恋をしている」ということを受け入れてくれたのかなと思います。

ーー変に隠さなかったことが、よい方向に働いたんですね。

新山 それが私たちにとってのベストだったのかなと思います。

新山千春さん/タレント

1981年1月14日生まれ、青森県出身。第20回ホリプロタレントスカウトキャラバンの審査員特別賞の受賞をきっかけに芸能界入りし、1996年公開映画『お日柄もよくご愁傷さま』で女優デビュー。タレントとして活動する傍ら、2012年には連続テレビ小説『カーネーション』(NHK)にも出演するなどさまざまなドラマや映画で活躍。近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)にドッキリの仕掛け人として出演したことも話題に。2006年に長女を出産し、その後シングルに。2023年、マッチングアプリで知り合った14歳年下の一般男性との再婚を報告した。

(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)

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