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2024年07月28日 10:52 更新

小学校低学年以下の子どもの多くが、安全教育を受けずに海や川へ<水難事故に関する調査>

毎年この時期、海や川といった自然水域では溺水(できすい)事故が多く発生しています。水難事故に遭わないためには、やはり事前の教育が欠かせなくなってきます。そこで今回は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」の一環として実施された「『海のそなえ』水難事故に関する調査」から、水難事故に関する教育の実態について見ていきます。

15歳~70歳までの男女、1万人以上に調査

一般社団法人うみらい環境財団は、日本ライフセービング協会、日本水難救済会とともに、日本財団が企画・統括する「海のそなえプロジェクト」の取り組みの一つとして、水難事故に関する3つの調査を行いました。その1つが「国民の水域利用と水難事故に関する意識調査」です。15~70歳の男女、11,829人を対象に、自然水域に関する知識、技能、行動、溺れ(おぼれ)の経験などを聞いています。今回はこの中からとくに、水難事故に関する「教育」に着目してお伝えします。

砂浜 海水浴
※画像はイメージです

はじめて海や川に行ったのはいつ?「小学生以下」が7割以上

まず、はじめて海や川といった自然水域に行ったときの年齢を尋ねた結果を確認しておきましょう。最も多かった回答が「小学校」で38%、次いで「小学校入学前」が34%、「中学校」が10%でした。7割以上の人が小学生以下ではじめて自然水域に行った経験を持っていることがわかります。

また、自然水域の場所で分けたデータをみると、とくに「海岸(海水浴場等)」や「河川」において、小学生以ではじめて行った人が多くなりました。

はじめて自然水域に行った時期
はじめて自然水域に行った時期
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより

はじめて海や川に行ったとき、安全教育を受けていたか?

はじめて自然水域に行った際に、安全教育を学んでいたかどうかを尋ねた設問では、学年が低いほど、学んでいない人が多いという結果となりました。

「小学校入学前」にはじめて自然水域に行った人では、91%が「安全教育を学んでいない」と回答しています。「小学校低学年」になると割合は減りますが、それでも62%の人は学んでいませんでした。小学校低学年以下の多くの子どもは安全教育を受けないまま、自然水域に行っていることがわかります。

実際、溺れの経験をした時期は小学校低学年が最多というデータも。【参照:約5人に1人が過去に溺れた経験あり!その当時「プールで25m以上泳げた」人が約半数という事実】低年齢での安全教育の充実が必要だといえます。

はじめて自然水域に行った時の安全教育の経験有無
はじめて自然水域に行った時の安全教育の経験有無
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより

学校で安全教育を受けなかった人が3割を超える

では、学校での安全教育の実施状況はどうなっているのでしょうか? 学校の水泳学習において、溺れないための安全教育を学んだ経験があるかを聞いた設問では、「ある」と回答した人が65.1%、「ない」と回答した人が34.9%でした。学校の水泳学習で安全教育を受けなかった人も、決して少なくないことがわかります。

学校教育での水泳実習,安全教育の経験有無
学校教育での水泳実習,安全教育の経験有無
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより

学校で受けた安全教育、「着衣泳」が最多

では、学校の安全教育では具体的にどんなことを教わるのでしょうか?「学校」、さらに「アクティビティ」、「スイミングスクール」の3つの場所における、安全教育の内容を尋ねた結果がこちらです。

まず、「学校」で学んだ安全教育として最も多かった回答は、洋服を着たまま泳ぐ「着衣泳」で39%でした。学校の安全教育では、アクシデントが起きたあとの対応のための教育に時間を使っているという印象を受けます。水難事故に遭わないための教育でもある「適格な状況判断」は25%、「危険個所の把握」は23%でした。

一方で、「アクティビティ」や「スイミングスクール」では、「適格な状況判断」や「危険個所の把握」「ライフジャケットの着用」の教育を行っている場合が、「学校」と比べて多いことがわかりました。

安全教育の内容
安全教育の内容
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより

まとめ

幼い子どもたちにも安全教育の機会を

今回の調査では、はじめて海や川に行った年齢は小学生以下が多くを占めることがわかりました。その一方で、とくに小学校低学年以下の幼い子どもにおいて、多くが安全教育を受けていないという実態が明らかに。大人がしっかり見守ることは大前提ですが、本人が知識を持っているのといないのとでは、万一の時の行動にも大きな違いが出るかもしれません。子どもの水難事故のリスクを少しでも抑えるために、小さなころから安全教育を受ける機会をもっと増やしていくことが求められます。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■「海のそなえ」水難事故に関する調査/海のそなえプロジェクト
【調査2:国民の水域利用と水難事故に関する意識調査】
調査対象:一般利用者(国民)、都道府県均等割り、15~70歳の男女
調査時期:2024年5⽉2⽇〜16⽇
回答数:11,829人

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