海の事故にあっている人は年間で約820人、子どもの溺れ事故は7歳と14歳に多い傾向<水難事故に関する調査>
夏場はマリンレジャーを楽しむ人が増えますが、毎年、水難事故が発生するのもこの時期です。そこで今回は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」の一環として行われた「『海のそなえ』水難事故に関する調査」から、海の事故の実態を見て行きます。
一般社団法人うみらい環境財団は、日本ライフセービング協会、日本水難救済会とともに、日本財団が企画・統括する「海のそなえプロジェクト」の取り組みの一つとして、水難事故に関する3つの調査を実施。その分析結果をサマリーとしてまとめ、公表しました。それによると、海の危険に対する人々の認識と現実にはギャップがあることが見えてきました。
海の事故による死者・行方不明者は年間で約240人
まず、海の事故がどのくらい発生しているのかについて、この10年(2014~2023年)で平均すると、年間に約820人がマリンレジャーで海浜事故にあっています。10年間の推移はほぼ横ばいと言えるでしょう。事故発生時の状況としては、いずれの年も「遊泳」と「釣り」が多いことがわかります。
また、海浜事故による死者・行方不明者の数は年間で約240人。こちらは2016年以降、減少傾向となっています。
レスキューの要因、「離岸流」や「泳力不足」
海での事故の原因としては、どんなことが考えられるのでしょうか? ライフセーバーの救助を必要とした要因を見てみると、「自然要因」で最も多かったのが「離岸流に流される」で46%でした。次いで「風に流される」31%、「沿岸流に流される」9%が続いています。「個人要因」では「泳力不足」が圧倒的に多く61%。次いで「疲労」18%、「パニック」12%となっています。
「風」の危険に対する認識に現実とのギャップ
では、人々は海の危険についてどう考えているのでしょうか? 「あなたが考える海に関する危険を評価してください」との問いに対し、「とても危険」との評価が最も多かったのは「サメ」で、66.3%でした。次いで「水深」が54.1%、「離岸流(沖に向かう流れ)」が53.0%となっています。
一方、注目したいのは、「風(沖向きの風)」を「とても危険」と評価した人が少なかったこと。実際にはレスキューが出動した事故の要因の第2位に「風に流される」が入っています。人々の認識と現実にギャップがあることがわかりました。
子どもの海の事故は7歳と14歳にピーク
最後に、子どもが溺れた事故の状況に関するデータを見てみましょう。
これは0~14歳までのデータとなりますが、年齢によって発生件数に違いがあり、7歳と14歳にピークがあることがわかります。場所としては、プールよりも海などの屋外で起きていることがほとんどのようです。
また、子どもの溺水(できすい)事故が発生する時期は、やはり夏場である7月と8月に集中しています。
加えて、こちらの海で事故にあった人を年齢別にしたデータを見ると、「10歳代」が最も多くなっています。
まとめ
似たような事故が毎年起きてしまう水難事故。海の危険に対する認識と現実にはずれがあることがわかりました。風や波といった自然の力を過小評価することは危険といえます。また、やはり子どもの事故が多いこともデータで示されました。多くの人が楽しんでいる海水浴場は一見危険がないようですが、海という大きな自然を前に過信は禁物。海のレジャーを楽しむためには、各家庭でしっかりその危険を認識しておくことが欠かせません。
(マイナビ子育て編集部)
出典
「海のそなえ」水難事故に関する調査/日本財団 海のそなえプロジェクト
https://uminosonae.uminohi.jp/report/