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2024年07月20日 10:56 更新

急増するAIによる児童ポルノ、「規制するべき」が7割以上に。流通防止を担うべきなのは?

昨今、児童ポルノ問題の中でも大きなトピックとなっているのが、生成AIによるコンテンツの急増。実際にAIによって実在する子どもに酷似した画像が作られ売買されるという事象などが起きています。そこで、チャイルド・ファンド・ジャパンが実施した調査をもとに、AIによる児童の性的なコンテンツの規制に対する人々の意見をご紹介します。

全国の15~79歳の男女1,200人に調査

アジアを中心に貧困の中で暮らす子どもたちへの支援活動を行う認定NPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンでは、児童ポルノ等に関する国民の意識を把握し、今後の政府等への政策提言の参考とするために、全国15~79歳の男女を対象に「児童ポルノについての国民意識調査」を実施しました。本記事ではその調査の中から、現在急増している、生成AIによる児童の性的なコンテンツの規制について、人々の意見をお伝えします。

闇サイト
※画像はイメージです

AIが作成する性的コンテンツ、「規制するべき」が7割以上

現在の児童ポルノ禁止法では、AIによるコンテンツは実在のモデルがいる・いないにかかわらず、規制の対象外です(※)。そのため、AIで作成した実物そっくりの児童性暴力のコンテンツなどが法の抜け道を通り、販売されている現状があります。

AIが作成する性的表現が含まれるコンテンツなどを法令で規制することについて、意見を尋ねたところ、「規制対象とするべきである」と回答した人は全体の44.8%でした。さらに、「どちらかというと規制対象とするべき」と回答した人は27.2%。したがって、これらを合わせた7割超の人が「規制するべき」と考えていることがわかります。

それに対し、「規制するべきではない」あるいは「どちらかというと規制するべきではない」を選んだ人は合計7.1%と、1割に満たない結果でした。なお、「分からない」と回答した人も約2割ほどいました。

「AIが作成する性的表現の含まれるコンテンツ」の規制に関する意識
AIが作成するコンテンツ等を規制の対象とすることについて、どのように思いますか。
―チャイルド・ファンド・ジャパン「児童ポルノについての国民意識調査」より

※現行の児童ポルノ禁止法では、「児童ポルノ」は写真、動画などのことで、18歳未満の児童の姿を描写、もしくは実写したものを指します。規制の対象となっているのは以下の3つです。
➀児童による性交などの姿
②他人が児童の性器を触る、またはその反対の行為をしている児童の姿であって、性欲を興奮・刺激させるもの
③衣服を着けないか、または衣服の一部を着けない児童の姿であって、児童の性的な部位が露出・強調されているものであり、性欲を興奮・刺激させるもの

規制するべき理由、「児童ポルノの流通を助長」が6割以上

前問でAIが作成する性的表現が含まれるコンテンツを規制するべきと回答した人を対象に、その理由を聞いてみると、最も多かったのが「児童ポルノの流通の助長し、悪影響があると思うから」で、全体の62.1%を占めました。次いで「小児性愛者への刺激を与えるから」56.0%、「児童の権利を害するものとして、影響はあると思うから」52.6%が続いています。

規制の対象とするべきだと思う理由をお知らせください。
規制の対象とするべきだと思う理由をお知らせください。
―チャイルド・ファンド・ジャパン「児童ポルノについての国民意識調査」より

流通防止の役割を担うべきなのは「サイト管理者」が7割

さらに、AIが作成する性的表現が含まれるコンテンツを規制するべきと回答した人を対象に、こうしたコンテンツの流通防止の役割を主に担うべきなのは誰かを聞いたところ、「サイトを実際に管理、運営しているコンテンツプロバイダー(サイト管理者)」が最も高く、70.3%で特に高い割合を示しました。

そのほか、「法務省や警察庁など法の整備や取り締まりを行う行政機関」40.7%、「インターネットサービスプロバイダー」38.1%、「総務省など通信関係企業を監督する行政機関」38.1%などとなっています。

実際に「場」を提供しているサイト管理者が、まずもって何らかの策を講じるべきだと考える人が多いことがわかります。

AIが作成するこのようなコンテンツ等の流通を防止するために、その役割が大きいのは誰だと思いますか。
―チャイルド・ファンド・ジャパン「児童ポルノについての国民意識調査」より

まとめ

世界的にも問題となっているAIの児童ポルノ

生成AIを使った児童ポルノは世界的にも急増し各国でも問題となっています。日本においてもAIによる児童の性的画像などが実際に流通していて、実在する子役などの写真を用いてAIに学習させ、実物と酷似した画像が作られるといったことも起きています。AIが作成したコンテンツが実際の性的虐待などの事件を助長する可能性も懸念されます。しかしながら、こうした事態に対して法律が追い付いていないというのが現状です。

現在は流通防止策の実施をサイト管理者などに求めるしかない状況ですが、法改正を検討する時期に来ているという声も上がっているようです。児童ポルノの売買は闇サイトなどで行われるため一般の目には触れにくいですが、この現状を多くの人が認識し、子どもを守るためにどうするべきか、考えていくことが必要だと思われます。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■児童ポルノについての国民意識調査/チャイルド・ファンド・ジャパン
調査対象:全国の15歳~79歳の男女
調査時期:2023年7⽉30⽇〜8月13⽇
回答数:1,200

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