75%超の父親が「育児が大変、やめたい」と感じたことがある、生後2~3か月に精神的不調を経験した人も2割以上
共働き世帯が多いなか、家事や育児を夫婦で分担する家庭も増えています。男性が積極的に育児に関わるようになってきた今、子育て中の父親が抱く精神的な負担の実態にも目を向ける必要があることが、ある調査から見えてきました。
東京都豊島区では、男性育児支援事業を発展させていくことを目的に、直近2年以内に子育てを行った男性(※)に調査を実施しました。対象となった3,256世帯のうち、有効回答数1,557件となっています。調査項目は多岐にわたりますが、今回はその中から、子育てにおける精神的な負担感について尋ねた結果をお伝えします。
※2023年12月時点で2歳未満の子どもと同居し育てている豊島区在住の男性
75%超が育児に精神的負担を感じたことがある
子育て開始後~1歳の子育てで、精神的な負担(大変だ、つらい、やめたいといった気持ち)を感じたことがあるかを聞いた設問では、「まったくない」と回答した人は23.6%で、それ以外の75%超はなんらかの精神的負担を感じたことがありました。具体的に見ると、「少しだけ」31.3%、「ときどき」29.7%、「たいてい」10.1%、「いつも」5.4%です。「少しだけ」を除いても、45.2%と半数近くに上ります。
出産した母親がこの時期にメンタル面での変調をきたしやすいことはよく知られていますが、父親も同じように精神的に負荷がかかりやすいことが見て取れます。
23%が生後2~3か月に精神的な不調を経験
子どもの月齢に応じて精神的な不調を感じたことはあったかを尋ねた設問では、「~生後1か月」で22.4%、「生後2~3か月」で23.0%の人が精神的な不調を感じていたと回答しています。やはり、生後数か月のうちは赤ちゃんもより未熟なうえに親も世話に慣れておらず、ストレスも多いことから精神的な不調が現れやすいのでしょう。月齢が進んでいくと余裕が持てるようになるのか、精神的不調を感じる人は減っていくようです。
なお、「感じたことはない」と回答した人も多く、53.3%でした。
睡眠時間の変化、子どもが生まれた後で「5時間未満」が激増
育児に伴う心身の負担の中でも、まず挙げられるのは睡眠の問題でしょう。子どもが生まれる前と生まれた後での睡眠時間(最も少なかった時期のもの)を聞いた設問では、どういった回答になったのでしょうか。
子どもが生まれる前の睡眠時間は、「6~7時間未満」が37.6%で最多。次いで「5~6時間未満」で26.5%、「7~8時間未満」が23.2%でした。一方、子どもが生まれた後では、最も多かったのが「5~6時間未満」で35.6%、僅差で「5時間未満」が35.3%となっています。
子どもが生まれる前と後で睡眠時間が減っていることがわかります。とくに「5時間未満」と回答した人は、出産前と出産後を比べると、6.3⇒35.3で29ポイントと大きく増加。その一方で、「6~7時間未満」は37.6⇒19.7で17.9ポイント減、「7~8時間未満」は23.2⇒8.0で15.2ポイント減となっています。育児に関わる時間のために睡眠時間が少なくなっている状況がうかがえます。
まとめ
これまで父親が育児に対して感じる精神的負担については、あまり目が向けられてこなかったかもしれません。しかし、父親の家事・育児が当たり前となりつつあるなか、母親と同じように父親も精神的に追い詰められうることが、今回の調査によってわかりました。今後、育児をする男性の精神的な負担についても、もっと社会が目を向けていく必要がありそうです。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
調査対象:2023年12月末時点で2歳未満の子と同居し養育している豊島区在住の男性
調査時期:2024年2⽉1⽇〜3月31⽇
分析対象者数:1,557