日本が子どもを産みやすい・育てやすい国に「近づいていない」と思う割合が過去最多に「夫婦の出産意識調査2024」
「異次元の少子化対策」として、今年の10月には児童手当の拡充も実施される予定ですが、当事者である子育て世代は現状をどう考えているのでしょうか? そこで本記事では、毎年実施されている公益財団法⼈ 1more Baby 応援団の「夫婦の出産意識調査2024」をもとに、今の日本の出産・育児の実情を見ていきます。
2013年から毎年実施している「夫婦の出産意識調査」
公益財団法⼈ 1more Baby 応援団は2013年から「夫婦の出産意識調査」を毎年実施しており、今回で12回目となります。全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下) の既婚者、合計2,961⼈を対象に、出産や子育てに対する意識を調査しています。
子どもを産み、育てやすい国に「近づいていると思わない」が8割近く
日本は子どもを「産みやすい」国に近づいているかを聞いた設問では、76.8%が「近づいていると思わない」と回答しました。また、「育てやすい」国に近づいているかについても、「近づいていると思わない」が78.1%となっています。どちらも8割近くを占めており、大多数の人が日本は子どもを産みにくく、育てにくい国だと感じていることわかります。
また、子どもが1人と2人以上の人で比較してみると、子どもを産みやすい国に近づいていると思わない人は「子ども1人」が77.9%、「子ども2人以上」が72.5%。育てやすい国に近づいていると思わない人は「子ども1人」が79.6%、「子ども2人以上」が75.1%となっていて、どちらも「子ども1人」の方が4ポイントほど高くなっています。
さらに2017年以降の推移を見ると、今回が最も「近づいていない」という回答が多くなったこともわかりました。
子どもを産み、育てやすい国に近づいていない理由は?
子どもを産みやすい・育てやすい国に「近づいていると思わない」と回答した人を対象に、そう思う理由を具体的に聞いてみると、最も多かった回答は「児童手当の金額が十分でない」で56.2%でした。次いで「育児と仕事の両立が難しいから」(53.1%)、「児童手当など子育て支援制度が続くか不安だから」(52.4%が)と、いずれも5割を超えて上位となりました。次いで、「保育園・学童保育などの整備が十分でないから」(49.4%)、「女性に子育ての負担が偏ったままだから」(49.2%)となっています。
やはり金銭面での問題が大きくのしかかっていることがわかります。子どもを産みやすい・育てやすい国に近づくためには、当事者が感じているこうした問題の解消が急務と言えます。
理想の子どもの数、平均1.74人
1つ目の設問で既婚男女の8割近くが、日本は子どもを産みにくく育てにくいと思っていることがわかりました。ここで、全員を対象に「理想の子どもの人数」を尋ねた設問の回答を見てみましょう。
その結果、全体平均では1.74人でした。これを現在の子どもの人数で分けてみると、子どもが1人いる人の「理想の子どもの人数」は平均1.67人、子どもが2人以上いる人で平均2.44人でした。また、現在子どもがいない人では平均0.87人と1人未満であり、「理想の子どもの人数」として「なし」を選択した人が55.7%と過半数を占めました。子どもがいない既婚者においては、半数以上の人が子どもを希望していないことがわかりました。
まとめ
結婚して子どもを持つことが当然だと考えられてきた頃から世の中も変化し、結婚、夫婦、家族のあり方も多様性が認められるようになった現在。子どもを持つ、持たないも選択次第であり、子どもがいるから幸せ、子どもがいない人生は不幸だ、といった見方もなくなってきているでしょう。その一方で、今回の調査からは、既婚者の多くが日本社会は子育て世帯に優しくないと思い、子どもを持つことにハードルを感じている現状が浮き彫りとなりました。出生率が過去最低を記録するなか、子育て中の人々がマイノリティー化し、一部で揶揄される現象も見受けられます。国の政策の充実が求められますが、社会全体が子育てに寛容な態度を示していかなければ、現在の「少子化問題」が大きく改善することはないように感じられます。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■夫婦の出産意識調査2024/公益財団法⼈1more Baby応援団
調査対象:全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下)の既婚者、合計2,961⼈
調査機関:事前調査 2024年3⽉27⽇(⽔)〜4⽉8⽇(⽉)、本調査 2024年4⽉1⽇(⽉)〜4⽉8⽇(⽉)