東京23区内で孤独死した高齢者が1年に4,200人以上、特に男性の70~74歳が多いことが明らかに
世界的に見ても高い高齢化率を示している日本。そこで問題になっているのが、独居高齢者の増加に伴う孤独死の増加です。全国的な統計データはまだないのが現状ですが、今回は東京都が行っている、自宅で亡くなった単身世帯の人の統計データをご紹介します。
東京23区内で孤独死した人の統計
東京都監察医務院とは、東京都23区内において死因が分からずに急に亡くなった人や事故などで亡くなった人の死因を明らかにし、その過程で得られた情報を公衆衛生、医学、司法などの領域で活用する東京都の機関です。東京都監察医務院では毎年「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」を発表しています。今回は現時点(2024年6月時点)で一番新しい、令和2年版の調査結果となります。
23区内の孤独死、約7割が65歳以上
東京23区における単身者の自宅死亡例、いわゆる孤独死は増えています。直近を見ても、平成30年(2018年)は5,513人、令和元年(2019年)は5,554人でしたが、令和2年(2020年)は6,096人と、6,000人を超えました。なお、6,096人のうち男性が4,206人、女性が1,890人です。
年代でみると、やはり多いのは高齢者。6,096人のうち65歳以上の高齢者は4,200人超となっており、全体の7割近くにあたります。
ここで、性別・年齢別にしたデータを見てみましょう。
際立っているのが男性の70~74歳です。800人を超えています。また、男性はここをピークに減少しているのも特徴です。一方の女性は85歳以上が最多となっています。女性の方が平均寿命が長いことが反映されていると考えらえます。
いずれにしても、やはり孤独死は主として高齢者の問題であることがわかります。
発見までの日数は「2~3日」が最多
次に、孤独死した人が発見されるまでの「死後経過日数」を見て行きます。男女別に示したものですが、男女とも死後2~3日で発見されたケースが最も多くなっています。男性の約6割、女性の7割以上は死後1週間以内に発見されており、長期間にわたって気付かれないケースはそれほど多くないようです。
とはいえ、男性の場合は31~90日、つまり発見まで1~3ヶ月かかった人も1割いました。
まとめ
少子化が毎年進む一方で高齢化も止まりません。「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人口は令和25年にピークをむかえ、その後は減少に転じるとされており、まだしばらくは増加傾向が続くと思われます。そうしたなか、今回の東京都の調査からは、東京23区だけでも1年に4,200人以上の高齢者が孤独死していることがわかりました。孤独死の実態を調査した全国的な統計データはまだありませんが、日本の高齢社会の大きな問題の一つといえるでしょう。
核家族化や晩婚化が進み、独居の高齢者が増加しているなか、自分の両親が夫婦二人、あるいはすでに一人暮らしをしている子育て世代も少なくないと思われます。定期的に様子をうかがうようにしたり、親が家族以外にどんな近所付き合いなどを持っているのかなど、確認しておくのも大切ですね。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)/東京都保健医療局