【厚い2人目の壁】「政府による経済的支援」によって2人目の出産に前向きになれた人は2割にとどまる
少子化の問題が叫ばれて久しいですが、2023年の出生率は過去最低を記録。2人目の出産をためらう、いわゆる「2人目の壁」も大きな課題となっています。今回は、公益財団法人 1more Baby 応援団の「夫婦の出産意識調査2024」をもとに、そんな「2人目の壁」の現状について見て行きます。
2013年から毎年実施している「夫婦の出産意識調査」
公益財団法⼈ 1more Baby 応援団は2013年から「夫婦の出産意識調査」を毎年実施しており、今回で12回目となります。全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下) の既婚者、合計2,961⼈を対象に、出産や子育てに対する意識を調査しています。
約8割が「2人目の壁がある」と回答
自分の家庭に「2人目の壁」は存在するかを聞いた設問では、実に78.9%の人が「存在する」と回答しています。この割合を経年変化でみると、2022年から上昇傾向になっていて、前回調査(2023年)からは0.3ポイント増えて過去最高を更新しています。国や自治体の各種支援策も行われてはいますが、それでも「2人目の壁」を取り除くほどの効果は発揮できていないというのが現状のようです。
「2人目の壁」の理由、トップは「家計の見通し」
次に「2人目の壁」が存在すると回答した人に、その具体的な理由を聞いてみると、最も多かった回答は「経済的な理由(子育てや教育など家計の見通し)」で73.4%の人がこれを選びました。次に多いのは「第一子の子育てで手いっぱいのとき」(45.3%)、「ゆとりのある時間、自由な時間が取りにくくなる」(43.3%)、「心理的な理由(とくに育児のストレスなど)」(43.3%)となっています。
「2人目の壁」には複数の要因が存在することがわかりますが、その中でもやはり大きいのがお金の問題ということのようです。子育てにかかるお金は長期的に考える必要もあるなかで、さらにもう1人育てる余裕が将来的にあるのか、不安に感じる人が多いのでしょう。
「子どもの生活費を控えている」約6割
調査対象者のうちで現在子どもを持っている2,120人に、「昨今の物価高の子育てへの影響」を聞いた設問では、81.7%の人が「子育て費用に不安を感じる」と回答しています。また、「子どもの生活費を控えている」と回答した人は59.2%でした。多くの親は子どもにかかわる費用はなるべく抑えたくないと思っているでしょうが、そこに手をつけなければならないほど、家計管理が厳しい現状がうかがえます。やはり物価高が子育て世帯に与える影響は大きいことがわかりました。
2人目以降を後押ししたのはパートナーの家事・育児参加
ここで、子どもを2人以上持っている人、いわば「2人目の壁」を感じなかったか、あるいは感じたけれども乗り越えた人に目を向けてみましょう。
「2人目以降の出産に対して、自分の気持ちが前向きになることができたサポートは何だったか」を聞いた結果、最も多かったのが「配偶者の家事や育児への参加」で27.5%、次いで「配偶者以外の家族による家事や育児のサポート」が25.0%で続いています。「第一子の幼稚園・保育園・学校」(20.0%)「児童⼿当、出産育児⼀時⾦などの政府による経済的⽀援」(19.8%)はほぼ同率でした。この回答結果から、経済的支援の拡充も必要ですが、それだけでなく家事・育児に対する周囲のサポート体制の整備も不可欠であることがうかがえます。
まとめ
厚い「2人目の壁」
2人目がほしいという気持ちがあっても、今の経済状況や支援制度では踏み切れない――「2人目の壁」を感じている子育て世代が過去最多を示した結果でした。また、2人以上子どものいる人が2人目以降の出産に前向きとなれたのは、身近な人のサポートが得られたからだということもわかりました。妊娠・出産は女性が担いますが、家事や育児は夫婦揃って行うもの。ましてや、家計のためにも夫婦共働きをするのであれば、パートナーの協力が得られない状況では2人以上の子育てはより難しいと感じられるでしょう。経済的支援はもちろん、仕事と子育ての両立をよりサポートする仕組みが求められています。やはり社会全体がもっと出産・育児を行っている夫婦に寄り添うものになっていく必要があるでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■夫婦の出産意識調査2024/公益財団法⼈1more Baby応援団
調査対象:全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下)の既婚者、合計2,961⼈
調査機関:事前調査 2024年3⽉27⽇(⽔)〜4⽉8⽇(⽉)、本調査 2024年4⽉1⽇(⽉)〜4⽉8⽇(⽉)