「性教育は早めに」野々村友紀子さん×「脱毛はめちゃめちゃ調べて検討しました」益若つばささん 先輩ママに聞く【思春期の子ども】
子ども自身も戸惑う、大人になる過程での体の変化。高校3年生と高校1年生の娘を育てる野々村友紀子さんと、高校1年生の息子を育てる益若つばささんは、子どもの体の変化に直面したとき、どう対応してきたのでしょうか。気になるトピックについて聞きました。
子どものうちに「清潔感の保ち方」を教えている
ーー思春期の体の変化について、特に異性の子どもはわからないことに直面しがちです。私は息子が2人いるのですが、「男の子ってこんなニオイになるのか……」と驚くこともあります。
益若つばささん(以下、益若) ニオイについて、そうですよね。本人も気になると思うんですよ。なので私は息子に、「食べ物を意識すると体臭も変わるよ」という話をしています。
食べ盛りの男の子って炭水化物とかお肉ばっかり食べがちですけど、「食べ物が体を作っているから、脂質やタンパク質ばかりを食べずに、野菜もしっかり食べると汗のニオイが軽減されると思うよ」って。
最近の10代男子の中にはメイクもする子も多いと聞きますが、「女の子は、男子のおしゃれな格好やメイクなんて正直どうでもよくて、とにかく清潔感の有無を重視しているよ」「定期的に歯医者に行って歯磨きもしっかりして、お風呂もちゃんと入りましょう」ということも伝えています。
野々村友紀子さん(以下、野々村) 基本的なことだけど、大事よね。
ーー思春期に清潔感の保ち方を教えてくれるのはとてもありがたいですね。わからないまま大人になってしまう男性も少なからずいると思うので……。
益若 「思春期だから臭いのはしょうがない」と思って言わないでいると、大人になって社会に放り出されたときに困りますよね。急にエチケットとして求められることの多さに、戸惑ってしまうと思います。
息子はカップ麺なども好きなんですが「食べたいけど、べつにいま食べなくていいし。お米にしておこうかな」と添加物を気にして食べないこともありますね。
野々村 高1男子が添加物だなんて……そんなこと言います!? 寮生活で、普段から身の回りのことを自分でやらなきゃいけない、という環境にいるからですかね。
益若 それはあると思います。中1のときから寮生活なので、家事についても学習せざるを得なかったですし。自分で洗濯物を干さなきゃいけなかったから、部屋干しで臭くなる失敗を経て、「洗濯物同士の間隔を空けて干したほうがいい」とか学んでいました。
ーー野々村さんは、お子さんたちの自室の掃除はどうしていますか?
野々村 娘たちが自分でやっています。やっぱり汚いときもあって何か言いたくなっちゃうんですが、「自分だって汚かったしな」と、自分自身が中高生の頃どうだったかを頭の片隅に絶対に忘れないように置くようにしています。そうじゃないと注意してばかりのただただうるさいお母さんになっちゃいますからね。
「今日は黙っておこうかな」と思いながら「この前きれいだったとき、すごくよかったやん!」みたいなことをなるべく言うようにしています。そういう褒め方を、出演している育児番組『ハロー!ちびっこモンスター』(NHK Eテレ)で学んだんですよ。これは思春期の子どもにも効果があって、汚いときに「片付けなさい」ではなく、きれいなときに「きれいだね!」と言うようにしています。
大人だってそうですもんね。あとは、部屋の近くにスティック掃除機を置いたり、見える場所に道具を揃えています。どこかにしまい込むとやらなかったりするので。
娘のメイクがクレオパトラ並みに濃いときがある
野々村 身だしなみの話でいうと、うちは女の子2人なので、明らかにメイクがおかしいときに「そんなクレオパトラみたいなアイライン……ちょっと濃いよ……?」とか、そんなことを言っちゃうんですよねえ。
益若 それは言っていいと思います。わたしも親に散々言われていましたよ。「おまえは渋谷に行くときがいちばんダサい」って。
野々村 えーー、益若さんが!?
益若 自分ではいちばんおしゃれしているつもりなのに「いちばんダサい」って言われたのがショックで、「おしゃれになっていつか絶対見返してやる」という反骨精神で、がんばってカリスマへの道を(笑)、せっせと登って。親に褒められたかったという気持ちがありました。
うちの親、普段は何も言わないのに、ファッションセンスだけはめっちゃ指摘してきたんですよ。「メイクが変」「歩き方がおかしい」とか。当時はうるさいなあと思っていましたが、大人になったいまは、言ってもらえていてよかったと思っています。だから野々村さんがお子さまに指摘するのも、悪くないと思います。
野々村 でもそういうことを言うときがいちばん、「うるっさ……!」とウザがられますね。
益若 図星なんでしょうね。自分もちょっと「変かな」と思っているのかも。若いときってまだそんなに自信がないですから。
野々村 あと「顔にできものできてるやん」とか指摘すると、むっちゃイヤがられます。「言わなくてもわかってるから自分で!」って。ちょっとした傷とか前髪とか、顔のこと全般は口にしない方がいいんでしょうね。
益若 でもいじわるじゃなくて、客観的に言っているんですよね。私だって本当に変だから言われていたと思います。褒めるのも大事だけど、客観的な目線はありがたいです。
野々村 うちの娘たちはパパとすごく仲がいいんですが、そんなパパでも娘の見た目について指摘すると、「ノンデリ」って言われてイヤがられます。
ーーノンデリ……?
野々村 パパも意味がわからなくてネットで調べたら、「ノンデリ=ノンデリカシー=気持ち悪い」と書いてあって。
益若 えーー!(笑)
野々村 私らが知らん言葉をバンッと言われたとき、わからないから一旦調べるから、怒るのが遅くなるんですよ。
益若 時差があるんですね(笑)。
男子でも体毛を剃るのは当たり前の時代?
ーー思春期の体の変化についても詳しくうかがいたいのですが、野々村さんご自身は生理が友達よりも早かったそうですね。
野々村 そうなんです。生理について性教育で習うより前、小学4年生でしたかね。だから子どもたちには、小学校低学年のころから小児科にある絵本を一緒に読んで「女の子はこういう変化があるんだよ」「生理というものがあるけど、びっくりしないでね」と伝えていました。
生理だけじゃなく、「徐々に体も変化するから、胸が痛くなったりしたら、和らげる布があるから買いに行こうね」とかも積極的に言っていましたね。プライベートゾーンについては、「体の大切な部分に他の人が触ろうとするのはおかしいから、嫌って言って逃げて、教えてね」と伝えていました。
ーーどんなタイミングで伝えましたか?
野々村 一緒にニュースを見て、性犯罪の報道が流れたときとかですね。怖がらせるのではなく「小さい女の子を傷つける大人もいるから、そういう人かもしれないと思ったら逃げなきゃけない」とか。テレビを交えて話していました。
ーー益若さんはいかがですか?
益若 うちは最近は、脱毛に興味があるみたいです。中3くらいのときかな、部活動で半袖ハーフパンツになったときに友達同士で話したみたいで。ある日突然、「カミソリを買ってほしい」と言われて「え! 剃るの!?」と。
ーーやっぱり今は男の子でもそうなんですね。すね毛をカミソリで剃る子は多いと聞きます。
益若 以前から「大きくなると体毛が生えてくるよ」という話はしていたんです。最近では未成年のうちに家族が脱毛をサポートするという情報も目にしていたので、もし息子が体毛に悩んで脱毛したいというときがきたら調べようと思っていました。
でもまだ成長途中なので、とりあえず使いやすそうなカミソリを調べつつ、脱毛を行っている病院の先生と話す機会があったので「未成年の脱毛ってどうなんですか? 危なくないですか?」と聞いてみました。「親御さんの承諾があればOK」とのことでしたが、デメリットとして、もしかしたらやけどする可能性もあるし、まだ生えきっていなければ脱毛しても新しく生えてくることなども教えてもらえました。それから自分でも調べてみて、本人が望んでいるなら検討してみてもいいのかなと思いました。
ーー親世代は大人になってから脱毛したという人が多いですよね。子どもの頃にはそんなこと考えもしなかったというか。
益若 そうですよね。でもカミソリの刃を当てる回数が肌に対して多ければ多いほど肌が傷ついて色素沈着にもつながるし、大人になったいま、「もっと早く脱毛したかった」と思っています。私自身、読者モデルを始めてお金が貯まったとき、最初にやったことが脱毛だったんですよ。
脇毛は恥ずかしい? それとも必要?
ーー洋服やアクセサリーではなく、まっさきに脱毛にお金を使ったんですね。
益若 やっぱり気になるんですよ。それでいろいろ検討したのですが、息子にはまず家庭用脱毛器での脱毛をしてみました。夜中にふたり、サングラスをかけながら足に光を当てて「ふたりで夜中になにやっているんだろうね」なんて(笑)。
でも何度かやるうちに「これはプロに頼んだほうがいいかも」となり、結局、クリニックで脱毛するようになりました。息子は友達と「ヒゲ脱毛はどうだろう」という話もしているそうで、「将来ヒゲが似合うか似合わないかわからないから、まだやらないでおこう」「ヒゲは男のロマンだから生やしたくなるかもしれないし」なんて言っているそうです。
ーー親世代が子どもだったときからは考えられないくらい、子ども同士で踏み込んだ会話をしているんですね。子ども自身がコンプレックスを話してくれるのはいいことだと思いますが、親が子どもに対して「脇毛は恥ずかしいから剃ったほうがいい」と指摘するのを見たことがあります。個人的に違和感を持ったのですが、いかがでしょうか。
野々村 私も益若さんと同じで、子どもが言ってくるまでは放っておきました。言ってきたら出そうと思っていたものがあったんですよ。10年くらい前、私も家庭用脱毛器を自分のために買って、高いけど娘たちもいつか使うだろうと思ってカートリッジも多めに買ったんです。だから言われたら「これ、あるよ!」と言おうと思っていましたが、親から「恥ずかしいから脱毛しなさい」なんて言うのは違うかなと思いますね。
ーーそれはなぜでしょうか。
野々村 本人が気にしたときが“そのとき”だと思うからです。生え具合やコンプレックスは個人差がありますしね。長女が小学校高学年のころにプールの授業中に、女子同士で「脱毛しないの?」という会話をしていた子もいたようで、「脱毛ってなに?」と聞かれたことがありましたが、実際に体毛を気にしだしたのは中学生くらいでした。
ーー剃ったり脱毛したりしたい子はそれができますが、別に生えていることは悪いことでも恥ずかしいことでもないんですよね。
益若 親自身も情報をアップデートしなきゃいけないですよね。その人にとってはムダ毛かもしれないけど、別の人にとっては意味のあるものだったりしますし。個人の自由だから、ひとくくりに「生えていることは恥ずかしい」と決めつけるような言い方をせずにいたいですよね。自分の中の常識が他の人にとっての常識とイコールじゃないと気づくことは本当に多いんだな、と大人になるにつれ思います。
野々村 子育てをしていると特に思いますよね。いまの時代に子どものほうが適応しているし、子どもから学ぶことってとても多いです。
野々村友紀子さん/放送作家
1974年8月5日生まれ、大阪府出身。コンビ芸人、会社員を経て放送作家に転身。2002年2丁拳銃の川谷修士さんと結婚し、2006年に主婦業に専念するため仕事をセーブ。放送作家をしていた2016年、バラエティ番組で夫の相方である小堀裕之さんへの歯に衣着せぬダメ出しで話題になると、テレビ出演が急増した。現在はコメンテーターとしても活躍中。2児の母。
益若つばささん/モデル・タレント・実業家
1985年10月13日生まれ、埼玉県出身。高校生の頃から読者モデルとして雑誌『Popteen』で人気を博し、ティーンのカリスマ的存在に。現在はモデル、美容関連商品のプロデューサーとして活躍。2021年6月、自身のYouTubeチャンネルで子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」の装着手術を受けたことを告白し、話題となった。1児の母。
(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)