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2024年10月22日 07:31 更新

「出来ていない子どもたちが悪いのではなく親が悪い」アプローチを変えたら叱る回数が激減した!『ホームレスパパ #1』

2007年『ホームレス中学生』で話題になった麒麟の田村裕さん。あれから17年、45歳の現在は三児の父となりました。

10歳と8歳の女の子と、4歳の男の子を夫婦で育てる田村さんが綴った新刊『ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた』(KADOKAWA)から一部をお届け。

第一回は、親なら誰でも悩む「子どものしつけ」についてです。子どもたちに誠実に向き合う田村さん流の「叱り方」とは?

直らないことを叱り続けてもストレスが溜まるだけ

子供をちゃんと躾けたい。家の中のルールを守ってほしい。学校のルールを守ってほしい。社会のルールを守れる人間になるためには、まず家の中のルールをちゃんと守らせないと、と思いますよね。

ちゃんとしてほしい思いが強ければ強いほど、出来ていない時に叱りつけてしまいます。そして叱った夜に一人で「叱り過ぎたかな……」とか変に落ち込んでしまったりして。でもそうやって落ち込んだわりには、また同じシチュエーションに遭遇した時に叱りつけてしまう。それを繰り返す。しかも叱っても大概直らないんですよね。

叱るのにもかなりの体力を使います。
直らないのに叱り続けなければいけないなんて、新手の地獄ですよ。何度か叱っても改善されないならば、そのまま叱り続けても改善されないケースがほとんどです。

そういう時は、僕はアプローチを変えた方が良いと思っています。

我が家であった実例です。

(田村裕さん提供写真)

子供達が帰ってきて、手を洗い、カバンやランドセルを所定の場所に置き、中から水筒や洗うものなどを出して、制服をハンガーに吊るすこと。これをしないことを何回も叱っていたのですが、改善する気配がありませんでした。子供達は、家に帰ると手は洗うもののランドセルは置きっぱなし、着替えもしないままにお菓子を食べていました。お菓子を食べ満足するとそのまま遊んだり友達と遊びに行ったりしてしまいます。そうなるとランドセルは夜になっても所定の位置に置かれず、出すものも出されないまま、下手したら次の日の朝に出てくる。これでは洗うものが間に合わなかったり、次の日の準備にモロに影響が出てきたりします。

気になるので何回も奥さんにそれを言うと、奥さんも何度も何度も注意しているのに改善しないんだからどうしようもないと呆れていました。そしてまた自分が気になった時だけ注意する。毎回は注意出来ない。子供達からすると昨日は叱られなかったのに何で?となる。叱られない時もあるから、とルールが曖昧になる。

こういう時に僕は、教えたことが出来ていない子供達が悪いのではなく、教えきれていない親達が悪いと思うようにしています。

それで、奥さんと話し合って、お菓子を入れている引き出しと冷蔵庫に、次のような貼り紙をしてみることにしました。

「お菓子を食べる時は手洗いを済まし、制服を着替えてハンガーに吊るし、ランドセルを所定の位置に置き出すものを出してから食べてください」

我が家はこれで、叱る回数が激減しました。貼り紙が目に入る度に思い出してくれて、先に済ませるようになりました。

今ではかなりの時間が経ってしまい、その貼り紙も景色の一つとして馴染んでしまったのでもう読んではいないんですが、それでも根付いた習慣は簡単には消えません。制服がハンガーに掛かっていないことはほぼ無くなりましたし、ランドセルもだいたいは所定の位置に。たまに、他にやらなければいけないことがあったり、親のサインもらい待ちでランドセルをしまえなかったりなどの理由で定位置に収まっていない時はあるものの、自分が大人になった時にはちゃんと出来るくらいの習慣は十分に身に付いていると思います。出すものもある程度はちゃんと出してくれています。

アプローチを変えたことで本人達の意識も高まり、お互いに注意しあったりもしてくれています。

こうなると楽なルーティンに入り、お互いを見張ってくれているので親が居ない時でもちゃんと出来るようになっていきます。

今も叱り続けていたらと思うとゾッとします。果たしてそのことでどれだけのカロリーを使っていたんだろうと。運動なんかしなくても痩せていく勢いです。その体力を子供達と遊ぶのに使ってあげたいものです。あとは僕が奥さんに叱られるストレスをどう解消するかだけが問題です。

麒麟 田村裕さん/芸人

1979年生まれ。大阪府出身。1999年、川島明さんと共にお笑いコンビ・麒麟を結成。2001年に『第1回M-1グランプリ』で決勝に進出し、2003年から2007年まで『M-1グランプリ』決勝戦に連続出場。2007年、自伝的小説『ホームレス中学生』(ワニブックス)がミリオンセラーに。現在は麒麟としてバラエティ番組などに出演するほか、俳優としても幅広く活躍。芸能界を代表するバスケ通で、関西を中心にバスケットボール教室をプロデュースしている。2011年に一般女性と結婚、10歳と8歳の女の子、4歳の男の子のパパ。

ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた(田村裕著、KADOKAWA刊)
(2024/10/22時点)

(写真:本人提供 構成:マイナビ子育て編集部)

※本記事は、『ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた』著:田村裕/KADOKAWA より抜粋・再編集して作成しました。

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