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2026年08月04日 10:11

食事をよく噛まない子はストレスを抱えやすい? 専門家が語る、朝食が子どもに与える意外な影響

日本ケロッグとライオンは7月23日、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの協力のもと、「朝のカミカミ・ピカピカ習慣」体験イベントを開催。会場となった渋谷区SDGs協会には地域の子どもたちが参加し、朝食や歯みがきの大切さを楽しく学びました。

「噛むこと」と「共食」の重要性

日本の子どもたちの課題は「自己肯定感の低さ」

イベント冒頭には、日本ケロッグ、ライオン、むすびえ、そして栄養教育学が専門の静岡県立大学教授・桑野稔子先生によるトークセッションを実施。子どもたちの自己肯定感と朝の習慣との関係について語られました。

【左から】日本ケロッグ マーケティング本部 PRマネージャー 山路 真由さん、静岡県立大学 食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 桑野 稔子先生、ライオン コーポレートサポート部総務室 サステナビリティ施策チーム 高橋 典子さん、全国こども食堂支援センター・むすびえ 企業・団体との協働事業ディレクター 小山 秀幸さん
【左から】日本ケロッグ マーケティング本部 PRマネージャー 山路 真由さん、静岡県立大学 食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 桑野 稔子先生、ライオン コーポレートサポート部総務室 サステナビリティ施策チーム 高橋 典子さん、全国こども食堂支援センター・むすびえ 企業・団体との協働事業ディレクター 小山 秀幸さん

イベントのテーマとなったのは、「朝の小さな成功体験」。

日本ケロッグ マーケティング本部PRマネージャーの山路真由さんは、今回のコラボレーションの背景について説明しました。

日本ケロッグ マーケティング本部 PRマネージャー 山路 真由さん
日本ケロッグ マーケティング本部 PRマネージャー 山路 真由さん

こども家庭庁の調査では、日本の子どもたちは諸外国と比べて自己肯定感が低い傾向にあり、「今の自分が好き」と答えた割合は2割未満。その背景のひとつに、「自分でできた」と感じられる成功体験の不足があるとされています。

※当日投影資料より
※当日投影資料より

そこで日本ケロッグとライオンが着目したのが、朝ごはんと歯みがきという毎日の生活習慣でした。

山路さんは、「朝ごはんを食べること、歯みがきをすることは、子どもたち自身が主体的に取り組める行動です。毎朝の『できた!』の積み重ねが、自信や自己肯定感につながるのではないかと考えています」と話しました。

子どもにとって朝の歯みがきは意外と難しい? ライオンが見つめる現状

ライオンの高橋典子さんは、同社が取り組む「おくちからだプロジェクト」について紹介しました。同プロジェクトでは、紙芝居やゲーム、オリジナル歯ブラシづくりなどを通じて、子どもたちが楽しくオーラルヘルスケアを学べるプログラムを全国のこども食堂などで展開しているそうです。

ライオン コーポレートサポート部総務室 サステナビリティ施策チーム 高橋 典子さん
ライオン コーポレートサポート部総務室 サステナビリティ施策チーム 高橋 典子さん

活動の中で明らかになったのが、「朝の歯みがき」の課題。

同社の調査によると、夜はほとんどの子どもが歯みがきをしている一方で、朝に歯を磨かない割合は3~5歳で50%、小学生では15.2%にのぼります。 高橋さん曰く「忙しい朝は、歯みがきが後回しになりやすい時間帯」なのだといいます。

※当日投影資料より
※当日投影資料より

高橋さんは、「歯みがきは子ども自身が自分でできる日々の行動です。できたことを周りの大人に認めてもらう体験が、自信や主体性につながると考えています」と語りました。

「よく噛むこと」は心や学びにも影響する

静岡県立大学 食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 桑野 稔子先生は、「みなさんが思っている以上に、よく噛むことは重要です」と切り出し、「咀嚼(そしゃく)」の重要性について解説しました。

静岡県立大学 食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 桑野 稔子先生
静岡県立大学 食品栄養科学部栄養生命科学科 教授 桑野 稔子先生

未就学児を対象とした桑野先生の研究では、食事中にあまり噛まない子どもは、よく噛む子どもに比べて問題行動のリスクが約3.25倍高い傾向が見られたといいます。また、小学5年生を対象とした別の研究では、あまり噛まない子どものほうがストレスを抱えやすいことも報告されているそうです。

※当日投影資料より
※当日投影資料より

さらに桑野先生は、「成長期に十分な咀嚼刺激がないと、あごや咀嚼筋の成長だけでなく、記憶や学習機能にも悪影響を及ぼす可能性があります」と説明しました。

一方で現代は、柔らかい食品が増えたことで噛む回数が減少。戦前は1食あたり約1,400回だった咀嚼回数が、現在は約600回まで減っているといいます。そのため桑野先生は、「噛み応えのある食材を選ぶことが大切」と強調。朝食の一例としてシリアルを挙げ、「手軽に準備でき、しっかり噛む習慣づくりにも役立つ食品のひとつです」と紹介しました。

※当日投影資料より
※当日投影資料より

朝食は“誰と食べるか”も大切

続けて桑野先生は、朝食の内容だけでなく「共食」の重要性についても言及しました。

自身の研究では、家族と食卓を囲む頻度が高い子どもほどメンタル面の課題が少なく、共食が週1回未満の子どもは週7回(毎日)の子どもに比べメンタル面の課題が4.79倍高いことがわかっているそうです。

※当日投影資料より
※当日投影資料より

「安心できる相手と一緒に朝食をとることは、子どものメンタルヘルスに良い影響を与えます」と桑野先生。家族に限らず、安心できる誰かと食卓を囲むこと自体が、子どもの心の健康を支える大切な要素だと語りました。

また、全国こども食堂支援センター・むすびえの小山秀幸さんは、「『自分でできた!』という毎日の習慣の積み重ねは、子どもたちが自信をつけるための大切なステップ」だとコメント。

全国こども食堂支援センター・むすびえ 企業・団体との協働事業ディレクター 小山 秀幸さん
全国こども食堂支援センター・むすびえ 企業・団体との協働事業ディレクター 小山 秀幸さん

そのうえで、「その自信をさらに育む鍵は、周りの大人の存在と安心できる居場所にある」と語りました。こども食堂でも、地域の大人から「できたね」「すごいね」と声をかけられる経験や、安心して過ごせる場での交流が、子どもたちの自己肯定感につながっているといいます。小山さんは、「小さな成功体験を積み重ね、自分自身を好きだと思える子どもたちが増えてほしい」と期待を寄せました。

みんなで一緒に! 楽しくおいしく学ぶ体験プログラム

トークセッション後は、子どもたちによる体験プログラムを実施。

ライオンによる衛生講座と「噛もっと!ガム」を使った咀嚼体験、ケロッグによる食育講座と「Myシリアルづくり」、さらに歯みがき講座やオリジナル歯ブラシを作る「デコ歯ブラシ工作」などが行われました。

ウェットシートを使った手指の洗い方を実践
ウェットシートを使った手指の洗い方を実践
2色のガムを重ねて口に入れ、40回噛んだ後の色の混ざり具合を確認する「噛もっと!ガム体験」
2色のガムを重ねて口に入れ、40回噛んだ後の色の混ざり具合を確認する「噛もっと!ガム体験」
朝食の大切さや栄養バランスについて学ぶ「食育講座」
朝食の大切さや栄養バランスについて学ぶ「食育講座」
「Myシリアルづくり」では、好きなシリアルが入れ放題!
「Myシリアルづくり」では、好きなシリアルが入れ放題!
Myシリアルにヨーグルトや牛乳をかけて……
Myシリアルにヨーグルトや牛乳をかけて……
みんなでおいしくいただきます!
みんなでおいしくいただきます!
食べたあとは、ライオンによる「歯みがき講座」
食べたあとは、ライオンによる「歯みがき講座」
シールやパーツを貼り付けて自分だけのオリジナル歯ブラシを作る「デコ歯ブラシ工作」では、みんなでシールをわけあいっこ
シールやパーツを貼り付けて自分だけのオリジナル歯ブラシを作る「デコ歯ブラシ工作」では、みんなでシールをわけあいっこ
配布されたシール・パーツの一部
配布されたシール・パーツの一部
どこに何を貼るか……真剣な表情!
どこに何を貼るか……真剣な表情!
キラキラの直線シールを歯ブラシの持ち手部分にぐるぐる巻いてペタリ!
キラキラの直線シールを歯ブラシの持ち手部分にぐるぐる巻いてペタリ!

まとめ

参加した子どもたちからは、「朝ごはんをよく噛んで食べることを心がけようと思いました」「歯みがきは夜しかできていないときもあるので、これからは毎回しっかり磨きたいです」といった声も聞かれました。

毎朝の「よく噛んで食べる」「食後に歯を磨く」という一見当たり前の習慣。その積み重ねが、子どもたちの「自分でできた!」という実感を育み、やがて自信や自己肯定感につながっていくのかもしれません。

(取材・文:マイナビ子育て編集部)

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