- 掲載
- 2026年10月01日 11:22
- 更新
- 2026年10月01日 11:53
子供のインフルエンザ、心筋炎で急変も。親が見逃したくない重症化のサイン
2026年9月、8歳の女の子が「インフルエンザ罹患に伴う心筋炎」のため亡くなったと報道されました[*1]。インフルエンザでは、まれに心筋炎や脳症などの重い合併症が起こることがあります。心筋炎は頻度の高い合併症ではありませんが、急速に重症化する場合があります。
子どものインフルエンザで注意したい症状や受診の目安、予防法を解説します。
■インフルエンザは「高熱が出るだけの病気」ではない
インフルエンザでは、39度から40度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどが比較的急速に現れます。のどの痛み、鼻水、咳など、一般的な風邪と似た症状もみられます。
子どもではまれにインフルエンザ脳症や肺炎などを合併し、重症化する場合があり、心筋炎もまれに起こりうる合併症として報告されています[*2] [*3]。
■心筋炎とはどのような病気?
心筋炎は、心臓を動かす筋肉である「心筋」に炎症が起こる病気です。ウイルスなどへの感染のほか、特定の薬の服用や自己免疫疾患などをきっかけに発症することがあります[*4]。
心筋に炎症が起きると、全身へ血液を送り出す心臓のポンプ機能が低下して心不全を発症したり、不整脈が起きたりします。症状はごく軽いものから、一部では「劇症型心筋炎」といわれる、急激に症状が悪化して命の危険が及ぶケースもあるため注意が必要です[*5]。
■子どもがインフルエンザにかかったときに注意したい症状
心筋炎では、風邪のような症状から始まり、数日から数週間後に心不全や不整脈による症状(胸の痛み、動悸、息苦しさなど)がみられます[*6]。しかし、小さい子どもは自分の症状を言葉で説明できないことがあるので、重篤な症状を見逃さないためにも次のような変化に注意してください。
•胸の痛みや違和感、動悸がある
•冷や汗が出る
•動いたときや安静にしているとき、寝ているときに息切れする
•めまい、失神がある
•呼吸が速い、肩で息をするなど息苦しそう
•いつもより元気がない、ぐったりしている
•顔色が青白い、唇が紫色に見える
•嘔吐する
•いつもより不機嫌、癇癪を起こす
•食欲がない
これらの症状があるからといって、必ず心筋炎だとは限りません。インフルエンザの症状などでも似た症状が現れることがあります。家庭で診断しようとせず、気になる変化があれば医療機関に相談してください[*7]。
・小児科医 神田貴行先生のコメント
子どもの様子が普段と違って気になる点があれば、躊躇せずに医療機関を受診することが重要です。特に今回のような心筋炎の場合、事前に予想できず、早期に受診したとしても病状が急激に悪化して重篤な状態に至るケースもあります。
■こんな様子があれば、すぐに救急車を
次のような症状がみられる場合は、すぐに救急車を呼んでください。
•呼びかけても反応が鈍い、意識がもうろうとしている
•呼吸が苦しそう、呼吸が弱い
•顔色が悪く、唇が紫色になっている
•突然倒れた、失神した、意識がもうろうとしている
•水分がとれず、食欲がなく意識がはっきりしない
•嘔吐が止まらない
•手足が硬直している
•けいれんが続いている、けいれんが止まっても意識が戻らない
•(3か月未満の赤ちゃんの場合)様子がおかしい
•その他、いつもと様子が違う、様子がおかしいと感じる[*8]
インフルエンザは、ほとんどの場合3日から5日程度発熱が続いた後に自然に治りますが、まれに重症となる場合があります。一度病院を受診して自宅で療養している場合も定期的に子どもの様子を観察しましょう。
症状がなかなかよくならなかったり、悪化しているように感じる場合には再度受診をしてください[*9]。受診時には、発熱や診断の日時、体温の推移、水分や食事の量、尿や嘔吐の回数、呼吸や顔色の変化、服用した薬を伝えましょう。
■ワクチン接種、手洗いなど感染予防策を徹底
インフルエンザワクチンは、インフルエンザへの感染や発病を完全に防ぐものではありません。一方、発病を一定程度防ぎ、発病した場合の重症化を防ぐ一定の効果が期待されています。
子どもをインフルエンザやその合併症から守るためには、子ども自身のワクチン接種に加えて、家族や周囲の人たちのワクチン接種や、手洗い・うがい・咳エチケット、十分な休養や換気などの感染対策の徹底が重要です。また、インフルエンザ流行期には人混みを避けることも大切になってきます[*10]。
まとめ
インフルエンザでは、まれに脳症や心筋炎などの重い合併症が起こることがあります。インフルエンザの子どもを自宅で看病する場合には、熱の高さだけでなく、呼吸や顔色、活気、食欲、尿量などもあわせて確認しましょう。呼吸が苦しそう、意識がはっきりしない、失神したなどの症状があれば、迷わず救急車を呼んでください。
ワクチンはインフルエンザを完全に防ぐものではありませんが、発病や重症化を一定程度防ぐ効果が期待されています。インフルエンザの合併症を必要以上に恐れず、予防接種や手洗い、換気、休養を組み合わせながら、子どもの「“いつもと違う”変化」を見逃さないことが大切です。
※写真はイメージです
(文:マイナビ子育て編集部、監修:神田 貴行先生)
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[*1] 日刊スポーツ「【全文】アイドル練習生8歳女の子がインフル罹患による心筋炎で死去『たのちんで』生前最後のX」
[*2] 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
[*3] 日本医事新報社「(3)インフルエンザの心臓および筋肉合併症[特集:インフルエンザ合併症にいち早く対処する]」
[*4] 日本循環器学会「2023年改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」
[*5] 慶應義塾大学病院KOMPAS「病気を知る 心筋炎」
[*6] 日本小児循環器学会「Review 心筋炎」(Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 40(2): 91-102 (2024), doi:10.9794/jspccs.40.91)
[*7] 厚生労働省「心筋炎の分類評価」
[*8] 消防庁「救急お役立ちポータルサイト:救急車利用リーフレット」
[*9] 厚生労働省・日本小児科学会「発熱したお子さんを見守るポイント こんな症状を認めたらもう一度受診しましょう」
[*10] 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」
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