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掲載
2026年10月13日 11:11

子どもの「いつも眠そう」は怠けじゃないかも。見逃されやすい睡眠障害「ナルコレプシー」とは

「ナルコレプシー」は、十分に睡眠が取れているのに、昼間に耐えがたい眠気に襲われて突然眠ってしまい、1日に何度も繰り返す病気です。小児期から思春期にかけて発症することが多く、学校生活に大きな影響を及ぼすこともあります。2026年9月25日、武田薬品工業本社でナルコレプシーの実態と治療についてのセミナーが開かれました。

思春期に発症のピーク。学業や生活にも影響が

ナルコレプシーは、中枢性過眠症という睡眠障害の一つで、日中何度も強い眠気に襲われる病気です。睡眠専門医の白濱龍太郎先生は、その症状が生活に大きな影響を及ぼすと指摘します。

「ナルコレプシーは、本人の眠気や体調不良だけにとどまらず、日中に強い眠気が出ることで、学校生活や家族との関係など生活全体に影響が広がってしまいます。発症ピークは14歳から16歳ごろ。つまり、学業や進学、就職など人生の重要な時期に、強い眠気に襲われ学習や仕事への影響が生じます。気分の変化や注意力・集中力の低下も起こり得ます。大切なテスト中に強い眠気が出てしまって本来の能力を発揮できなかったり、部活の試合前に眠気に襲われて参加できなかったり、というケースもあります」(白濱先生)

白濱龍太郎先生

子どもの場合、自分から症状をうまく訴えられないため、病気が見逃されてしまいがちです。

「授業中に眠る、集中できない、イライラする、やる気が出ないといった状態がみられます。子どもが『学校で眠い』と訴えたとき、多くの保護者は『前日にスマートフォンやゲームをしていたからだろう』と、まず生活習慣の問題を考えるでしょう。もちろんそれも間違いではありませんが、子どもの睡眠障害が背景にある可能性も考える必要があります。

ナルコレプシーは本人のやる気や気持ちの問題でなく、根性や努力だけで克服できるものではありません。生活習慣を十分改善しても、自分ではコントロールできない眠気が生じることがあり、医学的な診断と治療が必要になる病気なのです。日本での有病率は低くなく、10万人あたり37.5人と言われています。大規模な学校であれば1〜2人いても不思議ではない頻度でしょう。ですから、ぜひこのような状態が病気として存在することを知っておいてほしいと思います」(白濱先生)

適切な診療にたどり着くまでに時間がかかる

睡眠総合ケアクリニック代々木理事長の井上雄一先生からは、ナルコレプシーの病態について解説がありました。

「ナルコレプシーの特徴の一つは非常に強い眠気です。断続的に現れ、人によっては1日に5回、10回、多い場合には15回も強い眠気に襲われることがあります。また、カタプレキシー(情動脱力発作)も特徴です。笑う、怒る、驚くなど強い感情が動いた瞬間に、膝や腰、顔面、顎などの力が突然抜けてしまいます。さらに、レム睡眠が異常に出現しやすくなるため、寝入りばなや目覚め際に夢のような体験や幻覚が現れたり、金縛りを経験したりすることもあります。

ナルコレプシーにはタイプ1とタイプ2があります。タイプ1では、覚醒状態を維持する働きのあるオレキシンという神経伝達物質が減少するために、起き続けることが難しかったり、カタプレキシーの症状が現れたりします。タイプ2は、強い眠気があることはタイプ1と共通しますが、オレキシン値が正常なケースも多く、まだ解明されていない部分があります」(井上先生)

井上雄一先生

井上先生は、ナルコレプシーの大きな課題となっているのが診断の遅れだと指摘します。

「2023年の調査では、発症から診断までの平均期間は約8.7年に及ぶとわかっています。診断が遅れる要因の一つとして、16歳未満で発症した人ほど見逃されやすい傾向がありました。中学生くらいの年齢で居眠りをしていても、『よくあること』『寝不足だろう』と考えられてしまい、病的な眠気として認識されにくいのです。

さらに、カタプレキシーの症状が目立たない人も診断が遅れやすくなります。加えて、地域差も大きな問題です。都市部には睡眠専門の診療施設が数多くありますが、地方では睡眠医療機関が十分に整備されていない地域もあるため、適切な診断にたどり着くまでに時間がかかるのです」(井上先生)

「やる気の問題」と決めつけず、病気の可能性にも目を向けて

ナルコレプシーによる眠気は、本人の意思や努力だけでコントロールできるものではありません。しかし、子どもの居眠りや集中力の低下は、怠けや寝不足と誤解されやすく、病気だと気づかれないまま過ごしてしまうケースがあります。では、実際に子どものころから症状があった当事者は、周囲の反応をどのように受け止め、どんな困難を経験してきたのでしょうか。

後編では、小学生のころから眠気に悩まされ続けてきたという、ナルコレプシー患者当事者の駒沢典子さん(NPO法人日本ナルコレプシー協会副理事)にお話をうかがっています。

(取材・文:早川奈緒子/マイナビ子育て編集部)

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