- 掲載
- 2026年10月13日 11:12
- 更新
- 2026年10月13日 12:11
「トイレで隠れて眠っていた」子ども時代。両親には怠けと思われ……ナルコレプシー患者・駒沢典子さん【体験談】
NPO法人日本ナルコレプシー協会副理事でナルコレプシー患者の駒沢典子さん。駒沢さんは、小学生のころから突然眠ってしまう症状があり、「だらしない」と誤解され続けたといいます。高校生のときに自ら精神科を受診し、ナルコレプシーと診断されますが、その後も周囲に病気を理解してもらえず、学校生活や人間関係に悩まされました。
「ナルコレプシー」は睡眠の病気のひとつで、十分に睡眠が取れているにもかかわらず、昼間に耐えがたい眠気に襲われて突然眠ってしまうことを、1日に何度も繰り返す病気です。小児期から思春期にかけて発症することが多く、学校生活に大きな影響を及ぼすこともあります。
ナルコレプシーを発症すると、生活でどのような悩みや困りごとが出てくるのでしょうか。NPO法人日本ナルコレプシー協会副理事でナルコレプシー患者の駒沢典子さんにお話をうかがいました。
■トイレで隠れて眠っていたことも……ナルコレプシーの症状に悩んだ子ども時代
――駒沢さんの症状はいつごろからどんなふうに出ていたのでしょうか。
駒沢典子さん(以下、駒沢) 小学校高学年のころから、両親と話しているときに眠くなったり、家に友人が来ているのにトイレで隠れて眠ったりしていました。ピアノのレッスンに行くのに友だちが迎えに来てくれても「ちょっと待ってて」と言ったままいつまで経っても出てこない、ということもあったそうです。私はその出来事を覚えていないんですが、きっと寝てしまっていたんだと思います。
――突然眠くなることに対して、ご両親の反応は?
駒沢 家で過ごしたり親と話しているときに眠くなってしまうことに対して、「また寝ている」とか、「人が真剣に話しているのに寝るのは失礼だ」とよく叱られていました。だから、眠っている姿を人に見せるのは失礼なことだという感覚だけはあったんです。
親がとても不機嫌な顔をするのもわかっていましたし、「これはいけないことなんだな」と理解していました。だから眠ってしまうたびに、「また失敗した」と思い、でも「どうしてなんだろう」と理由はわからずにいました。親からすると、私は不注意で気持ちがたるんでいるように見えていたのかもしれません。だから、眠いと思ったら隠れて寝ようとしていました。
■もしかしたら病気かも、という視点を持ってほしい
――駒沢さんが副理事を務める日本ナルコレプシー協会では、ナルコレプシーのお子さんをもつ保護者から相談を受けることもありますか?
駒沢 はい、よくあります。親御さんとしては、「どう対応したらいいのかわからない」という悩みが多いです。先日お電話で相談を受けたのは、成人したお子さんをもつ方でした。ナルコレプシーがあるお子さんがフルタイム勤務を始めて3年ほど経つけれど、休日になるとほとんど寝てばかりで大丈夫だろうか、と心配していました。
私は、「毎日フルタイムで働くだけで精一杯なのだと思います。休日に疲れて寝てしまうのは自然なことではないでしょうか」とお伝えしました。ナルコレプシーの患者は、強い眠気や疲労感によってすぐに行動できないことが多く、休日にずっと寝ているような状態はよくあることです。親御さんでも、なかなか理解しづらい部分だと思います。
――もし自分の子どもの様子が気になったら、親はどのように対応したらいいでしょうか。
駒沢 年齢が低い場合は、自分が眠いのかどうかさえ理解できていないことがあります。小さければ小さいほど、その傾向は強いと思います。眠さによって機嫌が悪くなることもあります。単に機嫌が悪いように見えても、実は眠いことが原因かもしれません。
私自身も、当時は自分の状態をうまく言葉にすることができませんでした。親御さんにとっても難しいとは思いますが、まずは子どものサインをこまかく観察する必要があると思います。そしてある程度、自分の状態を言葉にできる年齢になったら、「どうしてほしいのか」「今どんな状態なのか」を本人に聞いて、できるだけ本人の望む形にしていくのがいいのではないでしょうか。そして、生活に支障が出たり、困りごとが多い場合には、小児科に相談したり、できれば睡眠障害を専門とする医療機関などを受診してみてほしいです。
■まずは子どもの困りごとに耳を傾けて
駒沢さんは、「ナルコレプシーの眠気は本人の意思や努力だけではコントロールできません」と訴えます。そして、「病名よりも、その人が何に困っているのかを知ってほしい」と話しました。もし子どもの眠りに気になる様子が見られたら、よく観察し、まずは子どもの声に耳を傾けること、そして必要に応じて専門家の力を借りることが大切です。
(取材・文:早川奈緒子/マイナビ子育て編集部)
