【医師解説】赤ちゃんの体重は?新生児~1歳までの体重の目安
1歳未満の赤ちゃんは、1年間で体重がおよそ3倍になるなど、目覚ましく成長します。そんな時期、母子手帳に体重を書き記す中で「標準に比べたら軽い?」「増えがよくない?」などと不安に思うこともあるでしょう。今回は、新生児~1歳までの体重の目安を、発育曲線の見方ともに解説します。
1歳までの赤ちゃんの体重目安
無事に赤ちゃんが生まれてほっと一息……も束の間。「赤ちゃんは問題なく成長しているのかしら?」と心配なママも少なくないのではないでしょうか。赤ちゃんの成長具合をチェックする上で、身長と並んで指標となるのが「体重」です。まずは月齢別に、体重の目安をチェックしていきましょう。
月齢別の体重目安
赤ちゃんの成長の目安となる「身体発育曲線」は母子手帳にも掲載されています。ここでは、その曲線の元データともなっている「乳幼児身体発育調査」の結果をもとに、各時期の体重の身体発育値[*1]を示します。
単位:kg | 男の子 | 女の子 |
---|---|---|
出生時 | 2.10~3.76 | 2.13~3.67 |
生後30日 | 3.00~5.17 | 2.90~4.84 |
~生後2ヶ月未満 | 3.53~5.96 | 3.39~5.54 |
~生後3ヶ月未満 | 4.41~7.18 | 4.19~6.67 |
~生後4ヶ月未満 | 5.12~8.07 | 4.84~7.53 |
~生後5ヶ月未満 | 5.67~8.72 | 5.35~8.18 |
~生後6ヶ月未満 | 6.10~9.20 | 5.74~8.67 |
~生後7ヶ月未満 | 6.44~9.57 | 6.06~9.05 |
~生後8ヶ月未満 | 6.73~9.87 | 6.32~9.37 |
~生後9ヶ月未満 | 6.96~10.14 | 6.53~9.63 |
~生後10ヶ月未満 | 7.16~10.37 | 6.71~9.85 |
~生後11ヶ月未満 | 7.34~10.59 | 6.86~10.06 |
~生後12ヶ月未満 | 7.51~10.82 | 7.02~10.27 |
発育曲線の枠内に入ってないと、何か問題?
体重や身長など、発育が明確な数字となって示されてしまうと、他の赤ちゃんと比較したり、細かな増加具合を意識することでしょう。
生まれた時の体重、母乳かミルクか、体の状態はどうかなど、様々なことで赤ちゃんの発育具合には差が出るものです。体重は、赤ちゃんの発育を見る上で指標のひとつではありますが、その増え方には個人差があるのです。
一時の計量結果で過剰に心配をするのではなく、定期的に継続して計測することで、その成長に関して判断することが重要です。
1日の増加の目安
1歳までの時期の赤ちゃんの体重はどんどん増えていきますが、具体的にどんなペースで増るのでしょうか。ここでは、体重増加の1日の目安とともに、体重の増え方を3タイプご紹介します。
月齢別に見る1日の体重増加目安
乳児の一日当たりに期待される体重増加目安は、 月齢によって以下のように変化します[*2]。
●生まれてから3ヶ月まで:1日あたり25〜30g
●3ヶ月から生後半年まで:1日あたり15〜20g
●生後半年から生後1年まで: 1日あたり10〜15g
これはあくまでも目安なので、「増えるペースが速すぎるから」などの理由で授乳量を減らすということは決してせず、不安がある場合は医師や助産師などに相談しましょう。
なお、1ヶ月健診で体重増加量をみる場合は、生まれた時からではなく、生まれた病院を退院するときに計測した体重を基準に計算します。
増え方にもタイプが?
すでにお伝えしたように、赤ちゃんの発育には様々な要素が絡み、成長の度合いやペースには個人差があるものです。体重の記録を線で結んだとき、描く曲線もみな同じわけではないのです。
赤ちゃんの発育には、大きく分けて以下の3タイプがあります。
●一般型
生後半年からの発育は緩やかだが、 それまでの発育は急激。 一般的な発育タイプ。
●立ち上がり型
一般型よりも、序盤の発育がさらに急で、その後は成長が横ばいとなるタイプ。
●追いつき型
序盤の発育が緩やかであるものの、その後は一般型などに追いついていくタイプ。
立ち上がり型や追いつき型の成長ペースが切り替わる(横ばいになる・追いついていく)タイミングとしては、離乳食の開始があります。母乳やミルクの飲みはあまりよくなく、体重があまり増えなかったという赤ちゃんでも、離乳食はもりもり食べて体重がグーンと増える、ということもあるのです。
正常・異常の判断はどうすればいい? 発育曲線の見方
乳児身体発育曲線は「パーセンタイル曲線」とも呼ばれます パーセンタイル曲線は、文字通り、パーセンタイルと呼ばれる指標のひとつを用いて作成されていますが、ここではその見方を確認しましょう 。
正常・異常の判断基準になる成長曲線のパーセンタイル値とは
パーセンタイル値とは「データ分布度を示す指標」です。例えば、100人の体重を計測した乳児身体発育曲線における「10パーセンタイル」とは、「軽い方から10人目(10%)」ということになります。なお「50パーセンタイル」は、 曲線における中央値となります。
問題があるかどうかはどうやってわかる?
比較的短い間に、下向きにパーセンタイル曲線を2つ以上横切る場合には、栄養摂取不良などから体重増加に問題があると考えられます。適切な対応をすれば体重の増えもよくなることも多いので、この場合は小児科などを受診しましょう 。
体重は毎日量るべき?測定頻度と方法
赤ちゃんの体重の増え方について解説してきましたが、では、どのような頻度で計測するのがいいのでしょうか。
体重測定は月に1回が目安
新生児~1歳までの体重を測定する目安は、月に1回程度を目安とするといいでしょう。計測したら母子手帳の該当箇所に印をつけておきます。
母乳栄養で哺乳量が気になる場合などは、可能であればもっと頻繁に計測してもいいでしょう。体重計が自宅にない場合は、一定期間レンタルする方法もあります。そのほか、産院・小児科等の医療機関で計測できたり、商業施設などの授乳室にベビースケールが置いてあることもあります。保健センターに体重計があることも多いですので、お住いの市区町村のHPで調べてみましょう。
体重の量り方
普段、ママが赤ちゃんの体重を量るタイミングとしては、以下のようなときがいいでしょう。
・授乳直後ではない
・おむつ替えの後(うんち・おっしこを出した後)
・おとなしく落ち着いている(暴れていると正確な数値が出ないため)
外で計るときなど、赤ちゃんを裸にするのは大変なので、おむつや服の重量を計測重量から引くといいでしょう。おむつなどの重さは、自宅のフードスケールなどでも量れます。
まとめ
赤ちゃんの発育具合を知る上で、体重の増え方を把握しておくことは重要です。正常な増え方かを判断する上で「乳児身体発育曲線」などが役立ちますが、あまり頻繁に量りすぎる必要はありません。基本的には1ヶ月に1回程度を目安としましょう。心配なことがあれば自己判断せず、かかりつけの医師や専門家に相談してください。
(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修:梁尚弘先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査結果の概要」
[*2]「乳幼児身体発育評価マニュアル」p.24
・Casey PH. Failure to thrive. Developmental-Behavioral Pediatrics 4th eds. Carey WB, Crocker AC, Coleman WL, Elias ER, Feldman HM eds. Saunders Elsevier Philadelphia PA. pp.583-1,2009
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます