
【医師監修】頭痛は妊娠超初期の兆候?薬の服用や対処法
妊活中、もうそろそろ次の生理が来るというタイミングで、頭痛に悩まされたら……体の変化に敏感な時期、いろいろな可能性を考えるかもしれません。ここでは、妊娠超初期と頭痛の関係や対処方法などについて解説します。
生理予定日前に頭痛が。妊娠と関係あるの……?


頭の全体や一部、後頭部と首の境目などが痛む ……頭痛はよくある症状ですが、妊活中に頭痛が起こった時、もしかして妊娠と関係する場合もあるのでしょうか?
妊娠の影響で頭痛が起こる可能性もあり!
実は、妊娠による体の変化が頭痛を引き起こすこともあります。
プロゲステロン増加の影響
妊娠すると「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が増えますが、これが自律神経に作用して脳内の血管を拡張させることで起こる頭痛です。
つわりによる低血糖の影響
また、つわりにより食事があまり摂れないと低血糖となり、これが頭痛を起こすこともあります。
その他の妊娠超初期症状


妊娠超初期は妊娠検査薬を使うにもまだ早すぎる時期ですが、人によっては妊娠によって、頭痛以外に下記のような症状を感じることもあります。
妊娠超初期に起こる可能性がある症状
妊娠超初期(※)に起こる可能性がある症状は、頭痛以外にも以下のようなものがあります。
・少量の出血(着床出血)
・おりものが増える
・乳房の違和感
・吐き気、おう吐、食欲や味覚、嗅覚の変化
・頻尿、便秘
・眠い、だるい、微熱っぽい
・むくみ
・気持ちが落ち込む
・めまい
・腰痛 など
※「妊娠超初期」:俗に、生理予定日(妊娠4週)より前の時期を指す言葉。妊娠超初期には、妊娠2週はじめに「排卵」、その直後に「受精」、妊娠3週ごろに「受精卵の子宮への着床=妊娠の成立」が起こる。
妊娠以外で生理前に頭痛を起こす原因は?

妊娠によって頭痛が起こることもあると解説しましたが、頭痛の原因は妊娠に限りません。妊娠以外に考えられる頭痛の原因には、どんなものがあるのでしょうか。
PMS(月経前症候群)が原因の場合も
生理(月経)の3~10日前 には、「月経前症候群(PMS:Pre Menstrual Syndrome)」と呼ばれる不快な症状が出る場合もあり、それによって頭痛が引き起こされることもあります。
PMSの症状には、頭痛だけでなく、「腹痛」「腰痛」「胸の張り」「むくみ」などの身体的症状や、精神的症状である「イライラ」「集中力の低下」「眠気」「落ち込む」「不安」などがもあります。
PMSによって起こる可能性がある症状は、妊娠によって妊娠超初期に起こることのある症状にそっくりですね。これらの症状が妊娠によるものか、PMSによるものか判別したい時には妊娠検査薬を使ってみましょう。
なお、PMSが原因の頭痛だった場合は、生理が始まると消えたり軽くなったりすることが多いでしょう。
子育て世代の女性は頭痛持ちの人が多い
また、女性はもともと「片頭痛」持ちの人が多く、30歳代女性では約20%にみられるとされています[*1]。片頭痛では、脳の中に頭痛を起こすはっきりした病気がみられないにもかかわらず、痛みが起こります。
なお、片頭痛は、妊娠中には普通、症状が軽くなる傾向があると言われますが、そうでない妊婦さんもいます。また、妊娠中に改善したとしても、半分以上の人で産後1ヶ月以内に発作が再発すると言われています[*2]。
最近はスマホやPCをよく使用することで、頭の周りや首の後ろから肩、背中にかけての筋肉が緊張するために起こる「緊張型頭痛」 を起こす人も増えています。
貧血や風邪などで起こる頭痛
女性は生理があるので、貧血になりやすいものですが、貧血の症状として頭痛が現れることもあります。
貧血は、血液中のヘモグロビンが減少する状態のことですが、ヘモグロビンは酸素を全身に運搬する働きがあるため、貧血になると全身に十分な酸素が行き渡らなくなります。その結果、脳が酸素不足となり、頭痛などの症状が起こることがあるのです。
また、発熱や鼻水、咳などの症状もある場合は、風邪などの感染症による頭痛の可能性もあります。
その他、睡眠不足やストレス、水分不足により頭痛が起こることもあります。
妊娠超初期に頭痛薬は飲んでも大丈夫?


頭痛が起こったらなんとかして治したいですよね。ただし、確定はしていないけれど妊娠の可能性があるとき、自己判断で頭痛薬を飲んでも問題ないのでしょうか?
ほとんど心配ないが専門家に相談して
ごく一部の薬を除いて、妊婦さんが使用したとしても「受精前または受精~2週間の間(妊娠3週末)まで」は「薬によって赤ちゃんの先天異常のリスクが上がる心配はほとんどない」と言われています[*4]。
それは、この時期は薬によって赤ちゃんがダメージを受けても「流産する」または「そのダメージは修復される」かのどちらかになると言われているからです。
ただ、薬の中には一度使うと長期間体内にとどまる種類もあり、妊娠の可能性があるときは不必要な服薬は避けたいところ。妊娠中でも比較的安全性が高いとされている成分もあるので、頭痛薬を使いたい時は「前もって薬剤師や医師に相談したうえで服用する」ようにすれば安心です。
症状がひどい場合は、まず医療機関に相談しよう
また、頭痛がひどい場合は、産婦人科を受診しましょう。症状の程度などを考慮して相談に乗ってくれるはずです。貧血が原因の場合は、鉄剤による治療が行われることもあります。 受診の際は妊娠の可能性があることを必ず伝えてください。
もし、「突然殴られたような痛み」を感じたり、「吐き気」や「おう吐」を伴うなど、頭痛以外の症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
自分でできる頭痛への対処法


頭痛はストレッチをしたり、生活習慣に注意することで、予防したり和らげたりすることもできます。
ストレッチなどで血行を改善する
片頭痛や緊張性頭痛は、首や肩周りの筋肉の血行を改善するストレッチも有効です。肩や首回しを簡単にできるストレッチを日本頭痛学会で紹介しています。頭痛で辛いときに試してみると良いでしょう。
その他、水分も不足しないよう、こまめに摂るようにしましょう。
まとめ
早く赤ちゃんに来て欲しいと心待ちにしている時に、何か不調があると不安になりますよね。たしかに妊娠初期の症状で頭痛を起こす可能性もあります。ただ、それが妊娠によるものかPMSによるものかは、適切な時期に妊娠検査薬を使って調べる必要があります。
ただ、頭痛はよくある症状なので軽く考えがちですが、妊活中の大事な時だからこそ、原因は何であれ、頭痛で辛かったら我慢せず医療機関を受診しましょう。その際は妊娠の可能性があると伝えるのを忘れないでくださいね。
(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
[*1]日本頭痛学会 頭痛の診断と治療の概説
[*2]日本神経学会・日本頭痛学会: 慢性頭痛の診療ガイドライン, p139, 医学書院, 2013.
[*3]厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動
[*4]日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会:産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2020 – CQ104-1 医薬品使用による胎児への影響について尋ねられたら?
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます