【医師監修】排卵日は予測できる? 排卵日を知る主な4つの方法
妊活でタイミングを計りたいとき、いつ排卵をするのか、排卵日がいつなのかを知ることがポイントになります。排卵の機会は限られているので、できるだけ正確に予測したいですね。ここでは排卵日の予測について主な4つの方法を紹介します。
妊娠しやすいタイミングと排卵日
排卵日は、女性の卵巣にある卵胞から卵子が排出される「排卵」が起こる日のこと。排卵は約1ヶ月に1度、片方の卵巣で起こります。排卵した卵子は卵管に取り込まれて卵管膨大部へ進み、もし精子がいればここで出会います。
排卵日の2日ほど前から当日まで
卵子の寿命は約24時間[*1]で、受精が可能な時間は排卵が起こり始めてから10数時間ともいわれています。また、体外受精のデータからすると、受精後も順調な発育するのは、排卵後数時間以内と言われています。そのため、受精の確率をあげるには、排卵の前に精子が卵管膨大部に到着していることが理想的です。
精子の寿命は約72時間[*1]といわれており、また、精子が膣に射精されてから、受精の場所である卵管膨大部に到達する時間は1時間ぐらいといわれている[*2]ので、排卵日と排卵日1~2日前に性交をすることがベストなタイミングとなります。排卵日の2日ほど前から当日までを中心に、性交を行うと良いでしょう。
排卵日を正確に知ることはできる?
妊娠するうえで重要な排卵日ですが、残念ながらどんな方法を使っても排卵する時をあらかじめ正確に知ることはできません。生理(月経)周期が安定している人でも体調の変化やストレスの影響で生理が早いなどずれる可能性があります。そこで、下記の方法を使い、適宜併用して排卵日をある程度予測することになります。
排卵日を予測する4つの方法
排卵日を予測するにはどのような方法はあるのか、主な4つの方法を紹介します。
生理周期から計算する
生理周期には個人差がありますが、排卵してから生理が始まるまでの期間は一般的に約14日といわれています。そのため、次の生理が始まる14日前あたりが排卵日だと推測できます。
このように生理周期から排卵日を予測する方法をオギノ式といいます。しかしながら、上述のように生理周期はちょっとした体調不良やストレスでずれることがあるため、確実な方法とはいえず、あくまで大まかな予測となります。また生理不順の場合は次の生理開始日がわからないため、この方法で計算することはできません。
基礎体温をつける
基礎体温は、生命維持の必要最小限のエネルギーしか消費していない安静時=寝ている間の体温のこと。それに一番近い「朝起きた直後の体を動かす前の体温」を測ります。目が覚めてすぐに婦人体温計を口に入れ、毎日決まった時間に測定。数値をグラフに記録します。まずは2ヶ月ほど記録をとって自分の周期を把握しましょう。
陥落=排卵日?
基礎体温のグラフをつけると、排卵日に体温がガクンと下がってグラフが陥落してから高温期に入るといわれますが、体温が下がった日と排卵日は必ずしも一致しません。むしろ一致しないことの方が多いことがわかってきました。また高温期の前に体温が陥落するかどうかも個人差があり、絶対に下がるとは限りません。
基礎体温でわかるのは、排卵が「あったかどうか」
排卵をすると、ホルモンの影響で0.3〜0.5度以上体温が上がります[*3]が、高温期に入ったときにはすでに排卵は終わっています。基礎体温だけで排卵日を「予測」することはできませんが、毎日記録をつけることで、排卵が「あったかどうか」がわかります。また、排卵が定期的に起こっているか、遅れていないか確認することができるほか、次の生理開始日が予測できることから、体調やスケジュール管理に役立ちます。医療機関を受診する際に参考にもなるので、できれば毎日測定をして記録しておきましょう。
排卵検査薬(排卵日予測検査薬)を使う
排卵検査薬はおよそ1日前に排卵を予測するもの。正式名称は「排卵日予測検査薬」です。排卵を促す黄体形成ホルモン(LH)は排卵の前に急激に増えるため、その量の変化から排卵日を予測します。
薬局などで購入し、自分の尿で検査
排卵検査薬は薬局やドラッグストア・インターネットで購入でき、妊娠検査薬と同様に尿をかけるなどして検査をします。
判定方法は商品によって異なり、色の濃淡やラインの本数で判定します。それぞれの商品の説明書の内容にしたがって検査をしてください。排卵日が近くなったら、1日に1~2回、数日間検査をして量の変化を確認します。初めて陽性が出た時から間もなく排卵が起こります。
経腟超音波検査で調べる
卵子が入っている卵胞は、排卵に向けて日ごとに大きくなります。直径が20㎜くらいになると排卵するといわれており、検査時点の大きさをもとに「あと何日ぐらいで排卵するか」を推測する方法です。
不妊治療のために医療機関で受けられる検査で、経腟超音波検査で卵巣の中の卵胞の大きさを計測します。
排卵日と体調やおりものの変化について
体の中で排卵が起こっていても、それに気づかないことが多いですが、人によっては排卵日付近に体調が変化することがあります。また「おりもの」の量や性状も変化することがわかっています。
排卵日と体調の変化
排卵にはさまざまなホルモンが関係しているため、排卵日の前後でその影響を受けて体調を崩すことがあります。主な症状は、眠気やだるさ、吐き気、ほてり、胸が張るなどです。また、排卵に伴い性器出血(排卵期出血)や痛み(排卵痛)が起こることも。
排卵による出血の場合、量は少量で2~3日で自然に止まります。排卵痛は片側の下腹部痛や、下腹部がつっぱるような痛み、違和感、膨満感などで、痛みは軽く一過性のものです[*3]。これらの体の変化も排卵のサインといえますが、個人差があり、同じ人でも毎回症状が同じとは限りません。体調の変化によって排卵日を予測することは難しいでしょう。
排卵日とおりものの変化
おりものもまた、生理の周期に合わせて量や状態が変化します。排卵期には最も量が多くなり、水っぽく透明でのびがある水のりのような性状になります。とはいえ、下着についたおりものの状態だけから排卵日を知ることは難しいでしょう。
不妊治療の検査で排卵期のおりものを採取して調べる「頸管粘液検査」もありますが、この検査でも正確な排卵日を予測することは困難といわれています。体調の変化と同様に、おりものの変化も上記の予測とあわせて参考程度に考えておきましょう。
まとめ
妊娠の確率を上げるためには、排卵日把握してベストなタイミングで性交を行うことが大切です。正確な排卵日を知ることは難しいものですが、ある程度予測することはできます。まずは生理周期から計算して予測し、基礎体温をつけていつ排卵が起きたのか確認しながら、必要に応じて排卵検査薬も併用してできる限り正確な予測につなげましょう。
(文:佐藤華奈子/監修:齊藤英和 先生)
※画像はイメージです
[*1]一般社団法人日本生殖医学会「Q1. 妊娠はどのように成立するのですか?」
[*2]Am J Obstet Gynekcol 47; 407-411,1944
[*3]公益社団法人日本産婦人科医会「排卵の予測」
[*4]内山明花ほか「排卵期出血・排卵痛の診断と治療」産科と婦人科11(59)1331-5,2018
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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