【医師監修】排卵検査薬はいつから陽性になる? 使うタイミングを解説
計画的に妊娠したいときに役立つのが「排卵検査薬」。最近ではドラッグストアなどで購入できますが、いざとなると使い方や結果判定の方法がよく分からない、ということも。排卵検査薬の正しい使い方を知っておきましょう。
排卵日を予測できる排卵検査薬とは?
お子さんが欲しいと願う2人にとって、自分で排卵日を予測できる「排卵検査薬」はとても便利です。
ですが、いざ使おうと思ったときに使い方がわからなかったり、誤った使い方をしたりしていたら、意味がありません。
そこで、人にはなかなか聞けない排卵検査薬の仕組みや使い方などについて、わかりやすく紹介していきたいと思います。
排卵検査薬ってどんなもの?
一般に「排卵検査薬」「排卵日検査薬」などと略されていますが、正式名称は「排卵日予測検査薬」です(以下、排卵検査薬)。そもそも、排卵検査薬とはどのようなものなのか。「妊娠と排卵日」という視点から見ていきましょう。
女性の生理周期のなかで、最も妊娠しやすい時期は排卵期です。この時期に性交をすることで、妊娠の可能性が高まります。事実、排卵日を狙って性交をした場合、1回の排卵で約3 割が妊娠、6回までに約8割、12 回までに約9割の女性が妊娠した、というデータもあります[*1]。
そうした背景から排卵日を予測するために開発されたのが、「排卵検査薬」です。
排卵検査薬のしくみ
排卵検査薬にもいくつか種類はありますが、一般的に多く市販されているのは採尿で調べる排卵検査薬ではないでしょうか。採尿タイプの場合、尿の中に含まれる黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測定することで排卵日を予測することができます。
しかし、排卵日だけに 黄体形成ホルモンは分泌されるわけではありません。黄体形成ホルモンは通常、排卵日の前後にもまたがって分泌されるため、妊娠の可能性をより高めたいと思ったら、排卵検査薬で陽性反応がでたタイミングに、継続的に性交することが大切となります。
排卵検査薬はどこで売っているの?
近年、女性の晩婚化や女性の社会進出によって、より計画的に妊娠・出産をしたいと考える傾向が強くなっています。このような背景もあって、排卵検査薬は妊活に重要な役割を果たすようになっています。
排卵検査薬は現在、「第1類医薬品」という位置づけで、薬局やドラッグストア、ショッピングサイトなどで販売されています。
第1類医薬品は、購入時には薬剤師による説明を聞くことが条件となるので、薬剤師のいない店では買うことができません。ショッピングサイトの場合は、メールなどで薬剤師の説明内容の確認が必要になります。
製品は、「チェックワンLH・II」や「ドゥーテストLHa」、「クリアブルー排卵日予測テスト」、「ハイテスターH」などで、数社から発売。製品によって異なりますが、4~14回分で1セット、3000円前後の価格帯が多いようです。
排卵検査薬の仕組み
実は、基礎体温をつけているだけでも、排卵を確認することはできます。これは「生理(月経)後の低温相から高温相に移ったそのタイミングで排卵が起こる」と考えられているためです。
ただし、基礎体温の変化からは「排卵したこと(=事後)」はわかっても、「排卵日を事前に予測すること」はできません。
これに対し、排卵検査薬は女性ホルモン(LH:黄体形成ホルモン)の変動から、排卵日を「事前」に予測できるとされています。その仕組みは次の通りです。
排卵前になると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に増え、脳の下垂体からLHが一気に放出されます。
これが「LHサージ」と呼ばれる現象で、その約40時間後に排卵が起こるとされています。
排卵検査薬は、このLHサージを検知することで排卵を予測します。排卵日の1日前にわかるため、事前に排卵日を知ることが可能なのです。
排卵検査薬の種類は?
現在、「第1類医薬品」として市販されている排卵検査薬は、いずれも尿に含まれる成分を調べることでLHサージを確認するものです。
尿で検査する方法とは?
前述したようにLHサージを確認することで、排卵を予測します。
方法は、スティック状になった検査薬に尿をかける(あるいは尿を紙コップに溜め、そこにスティックを漬ける)だけ。これにより、尿中に含まれるLHの濃度を測定して、LHサージがあるかどうかを判定します。
いずれの製品も陽性か陰性かの判定がわかりやすい反面、使い捨てなのでコストがかかるのがデメリットでしょう。漫然と使うのではなく、適したタイミングで使いたいものです。(使用のタイミングについては後述します)
間違わないで! 排卵検査薬の正しい使い方
赤ちゃんが欲しい2人が、排卵日のタイミングに合わせて性交するという方法は「タイミング法」ともいい、もっとも負担が少ない不妊治療として知られています。
せっかく排卵検査薬を使うのであれば、赤ちゃんを授かるという結果に結びつけたいもの。そのためにも使うタイミングについて、正しい知識を持っておきましょう。
排卵検査薬を使う時期・タイミング
排卵検査薬は使い捨ての検査薬です。生理周期を理解せず、むやみに毎日使い続けるのは得策ではありません。
では、どのタイミングで使うのがベストでしょうか。
ポイントは、「排卵日のおおよその予測ができるかどうか」。その手がかりとなるのは、自分の基礎体温です。基礎体温によって生理周期が分かるだけでなく、排卵日を知る目安にもなります。また、正常に規則的な排卵があるかどうかの確認もできます。
・生理周期が規則的な場合
基礎体温を何サイクルか測り続けると、自分の生理周期がわかってきます。まずは2サイクル測ってみて、そこから排卵日を予測してみましょう。
排卵は次の生理が始まる14日前の前後数日に起こるため、多くの検査薬では「次の生理が始まる予定日の17日前から1日1回(判定に悩む場合は2回)」の使用を推奨しています。
その日は陰性でも翌日に陽性になることもあるので、検査薬は連日、使ってみるとよいでしょう。
排卵は、排卵検査薬で陽性判定になった日か、その翌日にあると考えられているので、この時期がもっとも妊娠しやすい時期となります。
・生理周期が不規則な場合
基礎体温から排卵日を予測しにくいため、排卵検査薬を使う際にはコツが必要です。また、まずは治療を受けた方がいいケースもあります。
例えば、基礎体温で低温相が続き、高温相が訪れないときは、排卵が起こらない「無排卵周期症」の可能性が。生理周期が50日以上と長い人や、19日以内と短い人も同様です。
このようなケースでは、一度、婦人科で相談したほうがよいでしょう。
排卵検査薬のルール
簡単な方法で確認できる排卵検査薬ですが、より正確な判定を得るために、守っておきたいことがあります。
まず、同じ時間帯に測定すること。また、たくさんの汗をかくような運動をした後や、水分をたくさん摂った後などは不向きです。
使い方は検査薬によって異なるので、詳しくは購入時の薬剤師の説明や、各検査薬の取り扱い説明書などで確認しておきましょう。
排卵検査薬の判定について
「陽性判定が出た日=LHサージがあった日」ですから、間もなく排卵が起こるというサインになります。
検査で陽性だった場合
LHサージが検出されたということで、間もなく排卵があります。
初めて陽性と判定された日かその翌日に排卵があると考えられるため、この両日が最も妊娠しやすい時期となります。
検査してもずっと陰性の場合
基本的には、LHサージが確認できないと検査薬は陽性となりません。
生理周期が何らかの理由でずれた場合、検査のタイミングと排卵のタイミングが合わずに陰性になることがあります。一度、基礎体温で確認してみましょう。
何回か試して陽性にならない場合は、婦人科で相談しましょう。
判定に悩む……
LHは微量ながらも常に分泌されています。そのため、うっすら陽性のような色が付いている場合は、陰性と見なします。
また、妊娠中や分娩・流産後、あるいは絨毛疾患があるケース、すでに不妊治療を始めているケースなどでは、正確な判定が出ない場合があります。
まとめ
自宅で簡単に使えるようになった排卵検査薬は、妊活に向けた力強い味方になるでしょう。まずは正しい使用方法やタイミングを知り、基礎体温などと併せて参考にしましょう。また、検査薬で知った排卵タイミングに合わせて性交してもなかなか妊娠に至らない場合もあります。妊娠しにくい原因は排卵の有無だけではないので、不安がある場合は婦人科で早めに相談することをお勧めします。
(文:山内リカ/監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます