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2023年01月19日 10:50 更新

【医師監修】赤ちゃんが舌を出す理由とは? 先天性疾患との関連

赤ちゃんが何度も舌を出していると、ご機嫌でも何かのサインではないか、何か意味があるのではないかと気になってくる親御さんもいるのではないでしょうか。赤ちゃんが舌を出す理由や、関わりがある病気についてまとめました。

赤ちゃんが舌を出すのはなぜ? よくある5つの理由

赤ちゃんが意味ありげに舌をだしている様子
Lazy dummy

赤ちゃんが舌を出す理由はいくつかあり、次のようなものが考えられます。

1. 遊んでいる

赤ちゃんは、自分自身の体にもたくさんの発見があります。たとえば、主に生後3~4ヶ月ごろの赤ちゃんにみられる、自分の手をじっと見つける「ハンドリガード」と呼ばれる仕草。これは赤ちゃんが手を自由に動かせるようになったことで目の前に手が出てきて、興味を持って見つめたり、自分で動かすことを楽しんだりしているものです。

舌は哺乳のために生後すぐから使っていますが、ある日、ふと口から出せることに気がつき、おもしろがって舌を出して遊ぶことがあります。こうして自分で舌を動かすことや、口のまわりに舌が触れる感触を楽しんでいるのです。

2. 原始反射

「原始反射」といえば、驚いたときにぱっと両腕を広げる「モロー反射」や、手のひらに触れたものをぎゅっと握る「手掌把握反射」などがありますが、初期の哺乳運動も原始反射によるものです。

哺乳に関する反射にはいくつか種類があり、舌を出すのは「舌挺出反射」です。吸ったり飲んだりできない固形物が口に入ると、舌で押し出して口の外に排除しようとする動きをします。「舌突出反射」、「押し出し反射」ともいわれます。この反射は生後5~6ヶ月ごろ、ちょうど離乳食が始まるころに消失します。

くわしくはこちら ▶︎離乳食初期の進め方 ▷スプーンを嫌がって押し出してしまう

3. げっぷがなかなか出ない

ミルクを飲んでゲップがたまる赤ちゃん

赤ちゃんは自分で上手にげっぷを出すことができません。授乳後にげっぷをさせても、まだ胃の中に空気が残っていることもあります。赤ちゃんが何度も舌を出しながら「ウエ」となっているときは、もしかしたらお腹にたまった空気を出したいサインかも。抱っこしてげっぷを促してみましょう。

げっぷのさせ方について、くわしくはこちら ▶︎ゲップが出ない時の対処法

4. 口の中に違和感がある

乳歯の生え始めや傷やできものがあるなど、歯茎や口の中に違和感があるときにも舌を出すことがあります。赤ちゃんの歯が生え始めるのは生後6~8ヶ月ごろですが、個人差がありもっと早く生えてくる赤ちゃんもいます。歯が生え始めていないか、また、口の中に傷やできものなどの異常がないか確認してみましょう。

くわしくはこちら ▶︎赤ちゃんの「歯ぐずり」の対処法

5. 風邪で呼吸がしにくい

赤ちゃんは鼻呼吸をしていますが、鼻水や鼻づまりで鼻呼吸ができなくなると、口呼吸をします。ただ本来、赤ちゃんは口呼吸をしないので、うまく呼吸ができず、舌が出てしまうこともあるかもしれません。口呼吸になっていると、哺乳を続けることができません。授乳中に何度も口を離して中断してしまうときは、鼻水や鼻づまりがないかチェックを。

くわしくはこちら ▶︎赤ちゃんの鼻づまり原因と対処法

新生児も舌を出す?

新生児模倣

赤ちゃんは新生児のうちから舌を出すことがあります。新生児が舌を出すのは、生後数ヶ月の赤ちゃんとはまたちがった理由が考えられます。

「新生児模倣」かも!?

「新生児模倣」は、生後間もない新生児が、大人が舌を出したり口を開けたりするのを見て、その真似をして舌を出したり口を開けたりすること。この能力は生後2ヶ月ほどで消失するとされています。

1977年にアメリカの心理学者によって報告されましたが、なぜ新生児にこの能力があるのかなどくわしいことはまだ解明されておらず、議論されているところです。

そのほか新生児の特徴について、くわしくはこちら ▶︎生まれたての赤ちゃん|特徴とお世話のポイント

赤ちゃんが舌を出しっぱなしなのは、病気が原因?

舌を出す赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんが舌を出す理由がわかっても、あまりに頻繁に出していると、病気や障害ではないか気になることもありますね。ここでは、舌をよく出しているときに注意したいことを紹介します。

鼻のトラブルで口呼吸になっている

いつも舌が出しっぱなしのとき心配なのは、鼻水や鼻づまり、鼻の病気で鼻呼吸ができていないことです。

赤ちゃんは哺乳しながら息をするため、鼻呼吸が基本で、口呼吸はうまくできず、鼻がつまると苦しくなります。口呼吸になると、頻繁に舌を出して呼吸をしている様子が見られます。

授乳中にも度々口を離してしまうときは、鼻をチェックして、鼻水が出ているようであれば吸い取ってあげましょう。鼻づまりがひどく、母乳やミルクがうまく飲めないようなときは小児科か耳鼻科を受診して相談しましょう。

ダウン症など病気の多くは舌以外の症状も

まれに、先天性疾患によって舌が口に収まらないほど大きくなり、口から出てしまうこともあります。そのような疾患がある場合は、舌以外にも症状が出て、健診などでわかるものです。

たとえば、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)は、新生児期の巨舌のほかに、黄疸の持続、便秘、臍ヘルニアなどの症状があります。その後も知能低下や発育障害がありますが、現在は「新生児マススクリーニング検査」によって、ほとんどが症状が出る前に発見されます。

ダウン症の赤ちゃんでも舌が大きいために口から出ることがありますが、ダウン症の赤ちゃんはみな舌が出るということではありません。ダウン症は特徴的顔貌から疑われ、染色体検査により確定されます。舌を出すからといって、それだけで疑われることはあまりないでしょう。

単に「舌が大きめ」で舌が出ていることもある

病的ではなくても、舌が大きめの赤ちゃんは口から舌を出すことが多いようです。舌が出ていることが多いとよだれも多くなるので、スタイをしてこまめに交換する、ガーゼで拭き取るなどして、衛生面や湿疹に気をつけてあげましょう。

なお、赤ちゃんの機嫌がよくて元気があり、舌を出し入れして遊んでいるようなときは心配ありません。やがて手でおもちゃをつかんで口に運んで遊び始め、寝返りやハイハイができるようになって遊びの幅が広がると、自然とやらなくなっていきます

まとめ

赤ちゃんが舌を出すのは、遊んでいるか、大人の真似をしていることがほとんどです。一時的なことなので、見守っていて大丈夫。舌が出る症状がある先天性の疾患もありますがまれで、その場合はほかの症状もあり、健診などでわかるものです。鼻づまりや鼻の病気で口呼吸になっており、頻繁に舌を出して、母乳やミルクをあまり飲まないときは受診するようにしましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:丘 逸宏先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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