離乳食初期(生後5〜6ヶ月)の基本を解説!よくある悩み・疑問も【管理栄養士監修】
初めての離乳食は不安だらけ…という方も多いはず。そこで、開始の目安やあげるタイミング、調理法と食べさせ方、うまくいかないときの対応まで、離乳初期の進め方について専門家が詳しくお伝えします。
離乳食開始はいつ? どう進む?
離乳食開始は5~6ヶ月ごろが目安
離乳食の「離乳」とは、母乳やミルクなどでは不足してくる栄養を補うために、幼児食へと移行していくことで、そのときの食事のことを「離乳食」といいます。
離乳食は、エネルギーや栄養素をとるためだけでなく、食べる練習をしながら“食への意欲や楽しさを育てる”という目的もあります。
離乳食初期はその最初の段階となります。月齢の目安としては生後5~6ヶ月ごろから※となりますが、月齢だけでなく、子供の発達や発育の状況も踏まえて開始時期を判断していきましょう。
具体的には、生後5~6ヶ月ごろ、首すわり・寝返り・一人座り(5秒間程度)などの発達具合や、食べ物への興味(家族の食事を見てよだれを垂らすなど)、スプーンを口に入れても舌で押し出さない等が離乳開始のOKサインになります。
※早産で生まれた赤ちゃんの場合は、修正月齢の方を目安にしてください。
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離乳食の段階は4つ
離乳期(離乳食を与える時期)はその段階ごとに以下のように分けて考えます。
このように、「授乳・離乳の支援ガイド」(厚生労働省)では、「離乳初期」というように示されていますが、今回はわかりやすいように「離乳食初期」と書きます。
■離乳食初期=ごっくん期
離乳食をスタートさせたばかりの離乳初期は、まだ口の中でつぶしたり噛んだりできず、舌の上の食べ物を奥に押し込んで飲み込みます。なめらかにすりつぶし、とろとろのポタージュ状にした離乳食を「ごっくん」と飲み込むので、一般的に「ごっくん期」と言ったりします。
離乳食初期の進め方
離乳食のスタート、最初は何をどのように食べさせればいいのでしょうか。離乳食初期の基礎知識や「ごっくん期」に最適な調理法などをお伝えします。
始める前に知っておきたい基本
調理法や食べさせ方など詳しい進め方について見ていく前に、離乳食を始めるうえで知っておきたい3つのポイントを押さえておきましょう。
1. 始める日と時間は「赤ちゃんの体調と機嫌」を見て
離乳食は、赤ちゃんの体調の良い日に始めましょう。あげるタイミングは、赤ちゃんの機嫌が良い頃合いを見計らって。
万が一食後に体調が悪くなってもすぐに対処できるよう、病院が開いている平日の午前中がベストです。毎日の授乳リズムに沿って、午前中のちょうど良いタイミングにまず離乳食を与え、その後にミルクや母乳を飲ませましょう。
2. 焦らず「慣らすこと」から
離乳食は、赤ちゃんが母乳やミルク以外に初めて口にする食べ物。赤ちゃんにとっては大きな変化です。そのため、最初はスプーンや食べ物が口に入るのを嫌がり、押し出したり吐き出してしまうこともあるかもしれません。
離乳初期はエネルギーと栄養のほとんどを母乳やミルクから得ているので、上手に食べられなくても栄養に関する心配は不要。なかなか食べてもらえなくても焦らず、まずは母乳・ミルク以外のものに慣れさせることから始めましょう。
3.離乳初期の授乳は「これまで通りの量と間隔」で
このころの栄養は、まだまだ母乳とミルクから得ています。授乳は離乳食を始める前と同じリズムで、ほしがるだけあげましょう。離乳食を与えた直後も、量を少なくする必要はありません。
1日のスケジュール例
離乳初期ははじめての食材を食べさせることが多いので、できるだけ夜ではなく午前中など昼間にあげるのがいいでしょう。何かあったときに病院に行きやすい時間だと安心ですね。
<スケジュール例>
起床
母乳・ミルク
お昼寝
ごはん
母乳・ミルク
母乳・ミルク
母乳・ミルク
母乳・ミルク・・・
母乳やミルクは欲しがるままに与えて構わない時期ですので、午後のスケジュールは臨機応変で構いません。
量・大きさ・かたさの目安と調理法
離食乳初期は「つぶしがゆ」から。おかゆを裏ごして、とろっとヨーグルト状になったものから始めます。
おかゆを問題なく食べられ、慣れてきたころ(およそ1週間後くらい)からは、野菜も始めていきましょう。
食べること・食べさせることに慣れてきたら、豆腐や白身魚、かた茹で卵の卵黄などのたんぱく質も始めましょう。
■初めては1さじから
初めて食べさせるものは、1さじ程度にできるといいでしょう。特に問題がなければ2~3日は同じ食材をあげると、食材に慣れて食べやすくなることもあるのでおすすめです。
量は徐々に増やしていき、1ヶ月を過ぎるころには小さじ10くらい(野菜・果物類は20gを超えない程度、魚などのたんぱく質は30gを超えない程度)を目安に増やしていきましょう。
■とろとろのペーストに
このころは、すべてとろとろのペースト状に調理します。パンや麺類などの炭水化物、卵・豆腐・白身魚などのたんぱく質、根菜や果物類は、茹でた後にすりつぶし、さらに裏ごしして水分やとろみで調節しましょう。
葉野菜はやわらかく茹でた後、葉先や穂先などのやわらかい部分を細かくきざんですりつぶし、茹で汁・だし汁などの水分でのばします。1ヶ月ほど経ったら少し水分を減らし、ヨーグルト状を目安に調理しましょう。
量と大きさ・かたさの目安
時期 | 分量 | 大きさ/かたさ |
---|---|---|
米のおかゆからスタート (食パン・麺類は離乳初期の後半以降〜離乳中期) |
・始めたころ:赤ちゃん用スプーン1さじ。3~4日ほどかけて小さじ3程度に増やす ・1ヶ月過ぎ:小さじ10程度 |
つぶしがゆ とろとろのヨーグルト状に |
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時期 | 分量 | 大きさ/かたさ |
---|---|---|
おかゆに慣れたころから (スタートから1週間後くらいが目安) |
赤ちゃん用スプーン1さじから徐々に増やしていき、慣れてきたら20gを超えない程度を目安に増やす | すりつぶして裏ごしし、ヨーグルト状になめらかにする 1ヶ月を過ぎるころには水分を少なめにしてヨーグルト状に |
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時期 | 分量 | 大きさ/かたさ |
---|---|---|
おかゆや野菜に慣れたころから 絹ごし豆腐、かた茹で卵の卵黄部分、しらすや鯛などの白身魚などが最適 |
赤ちゃん用スプーン1さじから徐々に増やしていき、慣れてきたら30gを超えない程度を目安に増やす | すりつぶしてとろとろに とろみをつけて飲み込みやすくする |
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離乳食初期の味付け・調味料
作る側もはじめて離乳食に取り組む時期なので、難しいことを考えずにやっていきましょう。あるものをつぶせればいいので、味付けしなくても大丈夫です。
少しだけ青のりを足したり、かつおぶしを足せば十分な味付けになりますよ
2回食への進め方
なお、1回の食事をほとんど食べず、量が足りないと思った場合にも、回数を2回に増やして食べられるチャンスを増やしてあげてもいいでしょう。
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離乳食初期の食べさせ方
どのように食べさせたらいいのか迷いますよね? 食べるときの座らせ方や食べさせ方、スプーンについてなどみていきましょう。
座らせ方は?
赤ちゃんをベビーチェアに座らせてあげたいですが、なかなか腰が座らず安定しにくいかも。そんなときは、赤ちゃんを膝にのせて片手でささえながらあげたり、ベビーチェアを少しだけ傾けてもいいです。
ただ、食べたものがのどに詰まらないように、お背中はなるべく起こした状態で床と垂直になるようにしましょう。ミルクや母乳を飲むときは体が横になっていますが、食べ物は起こして食べさせます。
食べさせ方・スプーンの扱い方
■うまく口を閉じられないようならとろみを
離乳食初期にはまだ「ごっくん」と飲み込むだけです。しかし、今まで口を開けて母乳やミルクを飲んでいたところから、口を閉じて飲めるようになるという成長がみられます。
うまく口を閉じられないと、口からだらっと出てきてしまいます。そうしたときには、少しとろみをつけると要領をつかみやすいかもしれません。調整してみてもいいですね。
■スプーンに乗せるのは半分くらい
また、スプーンに山盛りのせてしまうと口の中でいっぱいになってしまうので、スプーンの半分量にして、あまり奥まで入れないようにしましょう。
離乳食初期のレシピ例|ほうれん草のペースト
・茹でほうれん草 60g
■作り方
①ほうれん草は葉先のみを切り分け、葉先のみを茹でてやわらかくする
② 取り出したほうれん草をブレンダーなどで裏ごしをする
③ 硬くなり過ぎたらお湯で薄める
ヨーグルトのようにポターっとなるくらいが目安です。
炭水化物 | つぶしがゆ |
---|---|
ビタミン・ミネラル (野菜・果物) |
にんじん・かぼちゃ・かぶ・大根・トマト・小松菜・キャベツ・ブロッコリー・さつまいも
りんご・バナナ・スイカ |
たんぱく質 | 豆腐・高野豆腐 |
離乳初期によくある悩みQ&A
最後に、このころのよくある疑問や悩みをご紹介します。多くの赤ちゃんに見られることなので、自分の子だけ?と心配しなくても大丈夫。
離乳食の進み具合には個人差があり、赤ちゃんによって千差万別なので、うまく進まなくても焦らないでくださいね。赤ちゃんの気持ちを優先に、ゆっくり慣らしてあげましょう。
スプーンを嫌がって押し出してしまう
赤ちゃんには生まれつき、固形物が口に入ると反射的に押し出してしまう「舌突出反射」というものが備わっています。多くは生後5ヶ月ごろ以降に自然になくなっていくのですが、赤ちゃんによってはまだ残っていることも。
ほどなく消える反射なので、どうしても押し出してしまうときは一度中断し、日を置いてから再チャレンジしてみたり、大人の指につけて舐めさせてみるなど、抵抗の少ない方法から試してみてもいいでしょう。
なかなか食べてくれないのはなぜ?
かたいつぶつぶが残っているなど、もしかしたら調理法に理由があるかもしれません。赤ちゃんの舌はとても繊細で、大人がまったく気にならないつぶつぶも敏感に感じとります。
食べるのを嫌がるときは、とろとろの状態になっているか見直してみましょう。裏ごしをしっかりすることで、とろとろのペースト状をつくることができます。
加減がわからないときは、一度市販のベビーフードを味見して感触を確かめてみるとわかりやすいでしょう。
もっとほしがるときは?
離乳食を嫌がらず、よく食べる子に多い悩みです。よく食べるからと間をおかずにどんどんあげてしまうと、もっともっととほしがることも。一口あげたら「おいしいね」など話しかけながら、次の一口までちょっと間をおいてみましょう。
せっかくの離乳食の時間ですから、ゆっくりと味を確かめながら、食べるひとときを一緒に楽しめる工夫もしてみたいですね。
離乳食を始めたら便秘・下痢になった
離乳食を始めたタイミングは、赤ちゃんの便が変化しやすい時期です。離乳食に慣れると普通のうんちに戻ってくることがほとんどなので、赤ちゃんの機嫌がよく食欲もあるようなら様子を見ても大丈夫です。
ただし、機嫌が悪い、食欲がない、いつまでも水っぽいうんちを繰り返すなど、気になる様子が見られるときはかかりつけの小児科を受診しましょう。
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まとめ
離乳食に限らず、初めてのことには不安や心配がつきもの。いくつかの注意点をおさえたら、あまり神経質になりすぎず、少しずつ進めていきましょう。進み具合も赤ちゃんによって違うので、思ったようにいかなくても大丈夫。まずは離乳食に慣れることが大切なので、赤ちゃんのタイミングを待ってあげながら、焦らずに進めていってください。
(文:マイナビ子育て編集部、監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです