
離乳食の基本「おかゆ」の作り方|つぶしがゆ~5倍がゆ【管理栄養士監修】
離乳食で基本となるおかゆの作り方、知っているようで「実はちょっと自信がない、かも?」という人もいるのではないでしょうか。離乳食の序盤はおかゆが炭水化物の大きな柱となります。時期に合わせた作り方をマスターして、おいしく食べてもられるおかゆを作りましょう!
赤ちゃんのおかゆは生後いつから? どう進める?
赤ちゃんのおかゆは生後5~6ヶ月から
離乳食がスタートするとき、基本となるのがおかゆです。離乳食の「離乳」とは、母乳やミルクなどでは不足してくる栄養を補うために、幼児食へと移行していく期間のことをいいます。離乳食の開始の目安は生後5~6ヶ月ごろ。この時期にまず最初に与える食べ物としてよいとされるのがおかゆです。
関連記事▶離乳食初期(生後5〜6ヶ月 ごっくん期)の進め方
赤ちゃんへの最初のおかゆは大人が食べるようなおかゆではなく、「つぶしがゆ」といって、おかゆをつぶしたものになります。その後、離乳食が進むにつれて、粒のあるおかゆ、やわらかいごはん、ふつうのごはんへと移行していきます。
なお、おかゆを問題なく食べられ、慣れてきたころ(およそ1週間後くらい)から、野菜も始めていくとよいでしょう。


・中期の調理:「全がゆ(5倍がゆ)」米1に対して水5くらいの割合で炊いたもの
・後期の調理:指でつぶせるくらいのものは食べられるように。全がゆ〜軟飯を
・完了期の調理:普通のごはんも食べられるにように。軟飯〜ごはんを
■ワンポイントアドバイス■
10倍がゆから離乳食を始めればいい?
「つぶしがゆ」から始めましょう
厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドでは、10倍がゆという表記ではなく「つぶしがゆ」と書いてあります。
初めは「つぶしがゆ」とし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め、軟飯へと移行する。
また、10倍や8倍などと水の量を計って作っても、浸水時間や鍋の大きさや火の強さなどで仕上がりは大きく変わります。
つぶしがゆは、文字通りつぶしたおかゆのことです。10倍がゆくらいで作って米の部分を多めにとりわけてもいいですし、8倍くらいで作ってもいいでしょう。離乳初期あたりに食べるおかゆとして大切なのは、ヨーグルト状にボタボタっと落ちるくらいのかたさにすることです。
7倍がゆはいつごろに食べさせるのがいい?

育児書などでみかける「7倍がゆ」という言葉は、離乳食の支援者が使う「授乳・離乳の支援ガイド」には掲載されていません。つまり、育児書を作る方が中間としてあるといいのではないかという配慮から設定されているものです。
離乳食はつぶしがゆから始めて、徐々につぶさないおかゆにしていけばいいので、その過渡期には一時的に7倍がゆくらいのかたさになることもあるかもしれませんね。そのころとはだいたい6〜7ヶ月ごろといえるかもしれません。
■ワンポイントアドバイス■
おかゆは冷凍保存できる?
おかゆは冷凍保存OKです。おかゆは少量を作るより、ある程度の量を一気に作った方がおいしく仕上がります。一気に作り、まとめて冷凍保存しておくといいでしょう。
おいしさをキープするコツは熱々のうちに1食分ずつ小分け、密閉して冷ますことです。ラップや保存容器に入れ冷凍保存しておきましょう。
鍋で作るおかゆレシピ! 初期・中期
ここからはおかゆのレシピ。まずは基本となる、鍋で炊くおかゆの作り方を時期別にご紹介します。
米から作るつぶしがゆ|離乳初期

■材料(作りやすい分量)
・米 大さじ2
・水 230〜300ml
■作り方
① 米を洗って水と一緒に鍋に入れ、30分ほど浸水させる
② 鍋に蓋をして弱火にかけて30分程度加熱し、20分ほど蒸らす
③ ②で作ったおかゆを、裏ごししてできあがり

米から作る全がゆ|離乳中期

■材料
・米 20g
・水 100ml
■作り方
① 米を洗って水と一緒に鍋に入れ、30分ほど浸水させる
② 米と水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で30分ほど加熱する
③ 蓋をしたまま20分ほど置き、蒸らす
ごはんから作る全がゆ|離乳中期
■材料
・ごはん 50g
・水 100ml
■作り方
① ごはんと水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で10分ほど加熱する
② 蓋をしたまま20分ほど置き、蒸らす

電子レンジで作るおかゆレシピ! 初期・中期
鍋を使わず、電子レンジを使っておかゆをつくることもできます。
電子レンジでつぶしがゆ|離乳初期
■材料(作りやすい分量)
・ごはん 小さじ1と1/2
・水 大さじ2
■作り方
① 大きめの耐熱ボウルに炊いたごはんと水を入れ、端を少し開けてラップをする
② 電子レンジ(500W)で2分加熱し、取り出してそのまま10分蒸らす
③ ②で作ったおかゆを、裏ごししてできあがり

電子レンジで全がゆ|離乳中期
■材料
・ごはん 大さじ3
・水 大さじ6
■作り方
① 大きめの耐熱ボウルにごはんと水を入れ、端を少し開けてラップをする
② 電子レンジ(500W)で5分加熱し、取り出してそのまま5分ほど蒸らす
炊飯器で炊いてもOK
炊飯器のおかゆモードを使って、まとめてつくる方法もあります。残りは冷凍保存しておくことができ便利です。
また、大人のごはんを炊くときに一緒におかゆを少量、作るという手段もあります。おかゆカップや耐熱カップ、湯のみ、マグカップなど、少し深めの容器に米と水を入れて、ごはんと一緒に炊飯器で炊けばOK。
炊飯器で作るおかゆについては、以下の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。
▶炊飯器で作る離乳食のおかゆ!容器は?保温できる?【管理栄養士監修】
離乳食のおかゆで気になるポイント

離乳食において柱ともいえるおかゆ。おかゆって大事なの? 赤ちゃんはおかゆをおいしいと思っているの? といった気になる点についてお伝えします。
離乳食のおかゆの役割
離乳食の基本の栄養は、おかゆをメインとした「糖質」のほか、「たんぱく質類」と「野菜類」の3つを摂れるといいでしょう。糖質の中でもおかゆは、やわらかく食べやすいことからよく利用されます。おかゆがなくてもいいのではないかと思われますが、おかゆにはとろみがあって食べやすい、消化しやすいという利点があります。
おかゆの栄養は?
おかゆの栄養は、糖質(でんぷん)などが特徴的です。便秘がちの場合は、おかゆに含まれる難消化性でんぷんが食物繊維と同様の働きをすることによって便が出やすくなることもあります。便通改善には、おかゆのほどよい水分も役立ちます。
赤ちゃんはおかゆをおいしいと思っている?
おかゆは、糖質として消化がしやすいものです。でんぷんは、口の中の唾液に含まれるアミラーゼによって分解されます。口の中で良く噛むとごはんが甘くなるように、赤ちゃんも口の中の唾液と合わせるとごはんの甘味を感じることができます。ほのかな甘みは赤ちゃんも好みやすいです。
まとめ

日本人にとってのごはんは、味のバランスの調整役。肉や野菜に味をつけたとしても、ごはんには味を付けずにいることで、全体的に薄味を保つことにも役立ちます。塩分を摂らなくてもエネルギー(カロリー)を摂りやすいごはんは、やはり和食の基本。ごはんの味を好きになってもらうためにも、毎日用意できるといいですね。
(文:茅野陽 先生、監修:川口由美子 先生)
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