「離乳食の量がわからない……」判断するためのヒントや時期ごとの目安量を解説【管理栄養士監修】
赤ちゃんの離乳食づくりは悩みが尽きないですよね。「目安量があるけれど、どのように増やしていったらいいの?」、「少なすぎる?多すぎる?」など、量がわからないという場合も多いのではないでしょうか。今回は離乳食の量の考え方や離乳期ごとの目安量、増やすときのポイントをお伝えします。
離乳食の量の考え方
赤ちゃんとは言葉でコミュニケーションがとれないため、「もっと欲しいのか、いらないのかがわからない」、「なんで食べないのか」と悩んでしまうものですよね。離乳食の量がわからないときに役立つ考え方のポイントを解説します。
どれだけ食べさせたらいいの?
離乳食の量には目安量がありますが、これは「食べなければいけない量」ではありません。したがって目安量は「準備する量の参考」と捉え、赤ちゃんの食欲に合わせましょう。食べ切れないときがあってもいいですし、おかわりする日があってもいいでしょう。
「もう一口!」のサインはココを見る
「スプーンを差し出せば食べるけれど、赤ちゃんがごはんを欲しがっているのか、はっきりわからない」というような方もいるかもしれません。食事の切り上げ時に判断がつかないと、食事時間が1時間にも及んでしまうこともありますよね。
赤ちゃんがお腹が空いていているときには食べ物を目で追いかけたり、食器に手を伸ばすことがあります。また、スプーンを差し出すときに口元まで運ぶのではなく、顔の手前で止めてみて、自らスプーンをくわえにくるかどうかも、欲しがっているかどうかの見極めに有効です。
食べムラがあっても大丈夫?
大人にも食欲の波があるように、赤ちゃんにも食欲があるときとないときがあります。食べムラがあるのは自然なことです。よく動いた日とそうでない日や、母乳・ミルク、おやつの量でも離乳食を食べる量は変化します。1ヶ月ごとに体重の推移を確認し、食べムラを振り返ってみるとよいでしょう。
栄養バランスの考え方
離乳食の目安量は食材の種類ごとに設定されていますが、作るたびに量を確認するのはとても大変ですよね。覚えやすいバランスは、ご飯(お粥):おかず=1:1、おかずの肉・魚(主菜):野菜(副菜)=1:2です。肉・魚の代わりに豆腐や乳製品を用いる場合には主菜:副菜=1:1くらいのバランスになります。このバランスで量を調整してみてくださいね。
グラムで考える?大さじで考える?
レシピにはグラムで書いてあることが多いですね。スケールがあればグラムで細かくはかれますが、多めに作って小分けする際などは目分量で小分けしても大丈夫です。
また、食材にもよりますが、大さじ1杯は15mlなので重さにすると1杯10〜15gです。盛り方によって多少量は変わりますが、その誤差を気にする必要はありません。大さじでざっくり計量してもOKですよ。
離乳期ごとの目安量
「離乳食は初期、中期、後期、完了期の4つに分けられ、「授乳・離乳の支援ガイド」ではそれぞれの時期の目安量が示されています[*1]。順番に確認していきましょう。
初期(5~6ヶ月)
離乳初期には目安量が設けられておりません。色々な食材を体験しながら、少しずつ量が増えていくといいですね。「1さじずつ増やす」という決まりなどはなく、また、「○○が△さじ食べられないと新たな食材を試してはいけない」というルールもありません。決まっている量を強いて挙げると、アレルギーの心配がある食材については、最初は小さじ1杯程度の少量にとどめ、食後様子を見るようにします。
赤ちゃんの「好きな食べ物」を探す期間と思って、ペーストにしやすい食材から色々なものを試してみてくださいね。
中期(7~8ヶ月)
中期の食事1回分の目安量は以下のとおりです。この量を1日に2回食べます。Ⅲのたんぱく質を含む食材は種類によって量が変わるのがポイントです。
【Ⅰ】 | 穀類 | 全がゆ(5倍かゆ)50〜80g |
【Ⅱ】 | 野菜・果物 | 20〜30g |
【Ⅲ】 | 魚 または肉 または豆腐 または卵 または乳製品 |
10〜15g 10〜15g 30〜40g 卵黄1個~全卵1/3個 50〜70g |
※穀類はご飯(おかゆ)を参考に記載されています。麺類なら40g、パンなら20gくらいを目安にするといいでしょう。
後期(9~11ヶ月)
後期の食事1回分の目安量は次のとおりです。後期になると食事回数が増え、この量を1日に3回食べることが目安になります。
【Ⅰ】 | 穀類 | 全がゆ(5倍かゆ)90g~軟飯80g |
【Ⅱ】 | 野菜・果物 | 30〜40g |
【Ⅲ】 | 魚 または肉 または豆腐 または卵 または乳製品 |
15g 15g 45g 全卵1/2個 80g |
※穀類はご飯(おかゆ)を参考に記載されています。麺類なら60g、パンなら35gくらいを目安にするといいでしょう。
完了期(1歳~1歳半)
後期の食事1回分の目安量です。この量を1日に3回食べましょう。また、これらとは別におやつ(補食)でも栄養を補います。
【Ⅰ】 | 穀類 | 軟飯90g~ご飯80g |
【Ⅱ】 | 野菜・果物 | 40~50g |
【Ⅲ】 | 魚 または肉 または豆腐 または卵 または乳製品 |
15~20g 15~20g 50~55g 全卵1/2個~2/3個 100g |
※穀類はご飯を参考に記載されています。麺類なら80g、パンなら50gくらいを目安にするといいでしょう。
おやつはどのくらい?
おやつは完了期頃(1歳頃)から、食事だけでは摂り切れない栄養を補う「補食」として、午前と午後の2回食べると良いとされています。おやつの量は1回の食事の1/3程度で、果物やさつまいもに牛乳を組み合わせるなど、食事に近いものを選びます。
赤ちゃんのおやつといえば、赤ちゃんせんべいを思い浮かべる人も多いでしょう。さくさくとした食感は食事で体験できないものなので、赤ちゃんも楽しく食べられる食品です。おやつに取り入れてもOKですが、その場合は栄養を補えるものと一緒に摂りたいですね。たとえばヨーグルトやチーズなどの乳製品を組み合わせてもよいでしょう。
離乳食の量の増やし方
離乳期ごとの目安量をご紹介しましたが、食べる量を増やしていくときに悩みはつきもの。増やし方や授乳とのバランスについてポイントをお伝えします。
赤ちゃんを観察して量を増やす
食べられる量は徐々に増えて行くため、月齢が上がったからといって急に量が増えるわけではありません。目安量で準備をしてみて、おかわりを欲しそうにしていたら次回から少し多めにしてみるなど、赤ちゃんの様子から調整できるとよいでしょう。
離乳食の量が増えないとき
赤ちゃんが1回に食べられる量は徐々に増えていきますが、胃の容量は1歳頃でも300ml程度ととても小さく、離乳食の前に少し食べたり飲んだりしただけで、お腹がいっぱいになってしまいます。食事前のタイミングで母乳やミルク、水分を飲んだ、移動中におやつを食べたなどの行動がないか、振り返ってみましょう。
また、赤ちゃんが「ママはおっぱいをくれる人」と認識していると、ママが食べさせようとしてもなかなか食べないこともあります。パパや他の人が食べさせてみるのも1つです。
食事量が多すぎるサイン
赤ちゃんによっても、その時々によっても食べる量は変化しますが、いつも目安量の2倍以上食べている場合には、食べるスピードが早いために量が多くなっている可能性があります。その場合、咀嚼せず丸呑みしているケースが多いです。スプーンをゆっくり近づけるようにしましょう。また、食べさせる人も一緒に何か口にしながら食事介助すると、自然とゆっくりになるかもしれませんね。
母乳やミルクとのバランス
母乳やミルクは1歳を目処に食事に置き換えられるとよいですね。離乳後期頃から徐々に離乳食の量を増やしてみましょう。それにともない、食後の母乳・ミルク量も減ってくるかと思います。離乳食だけでお腹が満たされている様子で、体重が成長曲線のカーブに沿って増えていっていればOKです。
ただし、離乳食の完了までに必ず母乳やミルクを卒業しなければならないということではありません。焦らずに進めていけば大丈夫ですよ。
まとめ
離乳食の量は赤ちゃんのペースに合わせて、体重の増加を1ヶ月ごとに確認しながら、授乳・離乳食・生活を振り返り、調整できるとよいでしょう。赤ちゃんも大人と同じで、日によって食欲が変わったり、お腹が空いていると食べたくなったりするものです。量にこだわり過ぎずに進めていきましょう。
(文:奥野由 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです