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2023年01月18日 15:38 更新

1歳の離乳食の量ってどのくらい?判断するためのコツや食事作りのポイントを解説【管理栄養士監修】

1歳頃は離乳食の完了期も始まり、初期と比べて食べる量が増えますよね。1歳児はどのくらいの量を食べるものなのか、量は足りているのか、などが気になるでしょう。食べる量の正解は1つではなくそのお子さんによりますが、ヒントとなる考え方があります。また、味付けや量、栄養バランスなどのポイントもあわせてお伝えします。

1歳頃の食事量や回数は?

赤ちゃん おいしい

1歳の食事量はどのくらいなのでしょうか。離乳食でいうと完了期になってくるころですが、それまでの離乳後期とどんな違いがあるのかを考えていきましょう。

1回あたりの食事量

だいたいの1回あたりの目安量としては、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドでは下記のように記載されています[*1]。

■離乳完了期:1歳~1歳半頃■      
【Ⅰ】 穀類 軟飯90g~ご飯80g
【Ⅱ】 野菜・果物 40~50g
【Ⅲ】
または肉
または豆腐
または卵
または乳製品
15~20g
15~20g
50~55g
全卵1/2個~2/3個
100g

Ⅰの穀類ですが、ご飯の代わりとしてパンなら約50g程度、うどんなどの麺類なら80g程度を目安にしてもよいでしょう。

Ⅲはたんぱく質を摂れる食品群を意味しています。食品によって量が異なるのは、豆腐や乳製品(ヨーグルトや牛乳)は水分などを多く含むことから、肉、魚、卵、大豆と同程度のたんぱく質を摂るには少し多めにする必要があるためです。

しかしこれはあくまでも目安にすぎません。成長には個人差があるうえ、母乳やミルクを飲んでいるかどうかも関係してきます。この数字を守らなければならないということではないので、参考としてとらえましょう。

食事回数は1日3回+補食2回

授乳・離乳の支援ガイドでは離乳完了期の特徴として、「食事は1日3回となり、その他に1日1~2回の補食を必要に応じて与える。」とされています[*1]。補食をどのくらい与えるかは、母乳やミルクをどのくらい飲んでいるかも関係します。母乳やミルクで栄養補給をしなくなったら補食(おやつ)に切り替えていきましょう。補食は1日2回、食事と食事の間に与えるのが目安です。

なお、誤解されやすいですが、完了期には母乳やミルクをやめて補食に切り替えなければならないということではありません。授乳・離乳の支援ガイドでも、「母乳又は育児用ミルクは、子どもの離乳の進行及び完了の状況に応じて与える。なお、離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない」とされています[*1]。

補食の量はどのくらい?

1~2歳の摂りたいエネルギーはだいたい900(女児)~950(男児)kcalとなります。離乳完了期の食事を3回食べても、この量には全く足りません。そのため、不足する分を補食でカバー必要があるのです。1回の補食の量は、1回の食事量の1/3くらいがよいでしょう。

1歳の食事のポイント

離乳完了期

ここからは1歳の子どもの食事づくりで押さえておきたいポイントをお伝えします。

誤嚥などに注意した食品

1歳を過ぎると、たとえば、軟飯ではなく大人と同じ硬さのご飯が食べられるようになったりしますが、まだまだ硬さや形に注意が必要な食品もあります。

■注意が必要な食品■      
【硬くて軽くて小さいもの】
大豆、ピーナッツなど
与えないようにする
【つるっとした丸いもの】
ミニトマト、ぶどうなど
4つ以上に切って与える
【喉に張り付きやすいもの】
パン、海苔など
パン:水分を一緒に用意しておく
海苔:きざみ海苔ならば食べられる
ぶどう 4つ

また、これらの食品でなくても、食事に集中していないと喉に詰まったりすることがあります。大人も子どもと一緒に食卓を囲んで食べてながら、子どもがしっかり噛めているかをチェックしてあげましょう。周りの人と一緒に食べることで、子どもが食事に集中しやすくもなるため、おすすめです。

なお、特に離乳完了期(1歳~1歳半)の食材の硬さなどについて知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

味付けは 「なるべく薄味」

乳幼児の味付けは「なるべく薄味」が基本です。では、薄味とはどのくらいなのか?と思いますよね。もし「薄味」を数字として表すなら、塩分0.75%となります[*2]。しかし、これはあくまでも「濃度」なので、この濃度のものをどれだけ食べるかで塩分摂取量が変わってきます。たとえば、塩分0.75%のお味噌汁を5杯も飲んでしまえば、塩分の摂り過ぎになるでしょう。また、塩分摂取量には、パンやうどん中に練り込まれている、目に見えない部分もあります。

したがって、濃度を細かく計算するよりも、
・大人が薄味だと感じる程度
・塩分の濃いものはなるべく食べない
・味が濃いものと薄いものをかけあわせながら食べる

などを心がけるほうが実は管理しやすく、おすすめです。

なお、日本人の食事摂取基準では1~2歳の塩分摂取の推奨量を1日3.0g未満、大人は6.5(女性)~7.5g(男性)[*3]としているので、1~2歳児は半分くらいといえます。1~2歳だとまだ食事量が大人の半分より少なめなので、そのままの味付けでもいいように感じるかもしれません。しかし実際のところ、大人はこの推奨量よりも多く摂っていると言われています。幼児だけではなく家族全員で減塩するようにしましょう。

食材の種類

食材の種類は旬などによっても異なるため、何種類食べるなどは決めなくてOKです。ただ、もし1~2種類の野菜しか食べたことがないということがあれば、もう少しバリエーションがあった方がいいかもしれませんね。

しっかり食べ切れる好きな野菜などがあれば、それをベースとして少しずつ種類を増やせるといいでしょう。何歳までに何種類ということはないため、くれぐれも焦らないでくださいね。

栄養バランスを簡単に整えるコツ

摂りたいエネルギーは運動量などによって変わりますが、同時に、量だけでなく栄養のバランスを保つ意識も大切です。主食(ご飯など)とおかずはだいたい1:1くらいにするといいでしょう。麺やパンにすると、おかずが少なくなってしまいがちなので、ご飯が主食のときにおかずを多めにとるように意識すると調整しやすいでしょう。

また、おかずについては、たんぱく質(肉・魚など)と野菜類のバランスをだいたい1:2くらいと考えておくとよいですよ。

主食とおかずのバランス

手づかみ食べで大切なこと

手づかみ食べ

1歳頃の食事の特徴の1つに手づかみ食べがあります。手づかみ食べは口と手の連動の練習のようなものなので、そのまま見守ってあげるとよいでしょう。とはいえ、「手で食べ物を触って遊んでいるだけ」、あるいは「手づかみ食べをしない」など悩みを持つ方もいるでしょう。すべて手づかみで食べさせようする必要はありません。できるものだけでも大丈夫です。

大切なのは手づかみ食べをすることより、子どもの食べる意欲を育てることなので、無理して手づかみ食べをさせなくても全くかまいません。食べる意欲を妨げないためには、スプーンで食べさせるときに押し込まないように気をつけることです。赤ちゃんが体を前に出し、自分で口をあけて食べようとする様子が見られるように、サポートできるといいですね。

スプーンやフォークは使える?

スプーンやフォークに興味を持ち始める時期ですが、まだうまく使うことはできないでしょう。食卓に子どもが持つスプーンと、大人があげるためのスプーンの両方を用意しておくことをおすすめします。また、子ども用のスプーンはどれが使いやすいか試せるよう、1つではなくいくつか持っておくとよいですよ。

自分でうまく食べられなくても全く問題ないので、大人がサポートしながら、たくさん経験を積ませてあげましょう。

ごはんを食べないときはどうする?

ごはん 食べない

「ごはん(食事)をたくさん食べてくれない」「量がたりないのではないか」と心配になったときの対処法についてお伝えします。

理由として考えられること

まず、なぜ「食べない」と判断したのか、ということから考えてみましょう。もし、他の子と比べて食べる量が少ないように思って不安になったのなら、実際にお子さんの発育の様子や、元気かどうかということに目を向けましょう。赤ちゃんは体格や運動量などによって食べる量に個人差が大きいため、他の子と比べて少ないようでも、きちんと足りている場合もあります。

ごはんが十分に食べられない要因の1つとしては、母乳やミルク、あるいは牛乳などエネルギーのある飲み物で、お腹がいっぱいになってしまっていることが考えられます。また、お茶や水などのエネルギーのない飲み物でも、飲みすぎると胃が一時的に水分で埋まってしまい、食事がとれない場合があり得ます。過剰に水分をとっていないか、チェックしましょう。また、おやつをたくさん食べていないかなども考えるといいでしょう。

対処のポイント①

まず、次の点を確認しましょう。
・水分やおやつの量が多すぎていないか
・運動や気分転換をしたか
・具合が悪くないか


これらに当てはまるようなら、それぞれに応じて対処します。
【水分やおやつの量が多すぎている場合】
飲み物の量やおやつの量・時間帯を見直します。
【運動や気分転換をしていない場合】
活動量が少ないためお腹が空かないと考えられるので、日中の活動量を増やしてみましょう。
【具合が悪い場合】
病気が疑われるならば、医療機関を受診するなどしましょう。

対処のポイント②

ポイント①の原因が特に当てはまらないようなら、
・家族などほかの人と一緒に食べる
・環境を変えてみる(外で食べるなど)

などが有効でしょう。他にも
・料理を手伝ってもらって味見のようにして少しずつ食べさせる
・「〇〇ちゃんがいっぱい食べたからかっこよくなってる」など、食べたら元気になっていることを誉める

なども試してみるといいかもしれません。食べるようになるスイッチに決まったものはないので、いろいろ試してみてください。

1歳におすすめのレシピ!

栄養満点!野菜たっぷりキッシュ風卵焼き

■材料(作りやすい分量)
・卵 1個
・玉ねぎ 10g
・ほうれん草 10g
・ミニトマト 1個
・バター  小さじ1

■作り方
① 玉ねぎはみじんぎりにし、耐熱皿にのせてラップをして電子レンジ(600W)で約1分加熱する
② ほうれん草はゆでてみじん切りに、ミニトマトは粗みじんに切る
③ ボウルに卵を割り入れ、白身がしっかり切れるまでよくかき混ぜ、①と②の野菜を入れる
④ 熱したフライパンにバターを入れ、③を入れて最初は中火で加熱する
⑤ 裏返して落し蓋をしたら弱火でじっくり焼き、火がしっかり通ったらできあがり
 ※落し蓋がなければ、アルミホイルでも代用できます

鶏そぼろ入りかぼちゃサラダ

■材料(1回量)
・鶏むねひき肉 10g
・かぼちゃ 50g
・スライスチーズ 1/2枚

■作り方
① 水を入れた鍋にひき肉を入れ、菜箸でほぐしながらゆで、鍋から上げる
② スライスチーズを5mm程度に刻む
③ かぼちゃの皮をとり、一口大に切り耐熱皿に並べる。水を大さじ1/2(分量外)程度をふりかけ、ラップをふんわりかけて電子レンジ(600W)で1~2分加熱する
 ※1分で様子を見て、足りなかったらもう1分加熱する
④ ③を熱いうちにつぶし、①②と混ぜ合わせる

まとめ

離乳食も幼児食も必要な量はそのお子さんによるので、目安はあくまで参考として理解しましょう。量が足りているか心配になったら、まずお子さんが大きくなっているか、元気でいるかに着目することが大切です。そして、その成長に不安があるようなら、しっかり食べられるように環境を工夫したりし、1日5回の食事を大人と子どもが一緒に楽しく食べるようにできるといいですね。

(文・監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

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