
離乳食のトマト|写真で分かる各時期の形の目安、初期~完了期レシピ【管理栄養士監修】
身近な野菜の1つで栄養価も高いトマト。生でも食べられるジューシーな野菜ですが、初期から食べられるのでしょうか? 皮や種はどうする? ミニトマトでもOK? トマト缶・トマトジュースは使える? など、離乳食にトマトを使う際の気になる点について、管理栄養士がお教えします。
トマトは離乳食の初期からおすすめの食材
トマトは離乳初期から使えるおすすめの野菜です。ただし、皮と種は取り除いてあげましょう。初期、中期、後期、完了期、それぞれの調理のポイントと注意点をお伝えします。
初期から完了期の調理のポイント




実をやわらかく茹で、裏ごししてペーストに。
中期の調理
皮やワタ、種は食べにくいので、取り除いてあげると食べやすくなります。
後期・完了期の調理
皮を嫌がらなければ皮もワタもそのままでも大丈夫でしょう。
■ワンポイントアドバイス■
注意点として、後期以降、ミニトマトを生のまま食べられるようになっても、そのままあげるのはいけません。実際、ミニトマトで誤嚥・窒息などの事故が起こっています[*1]。窒息防止のため、ミニトマトやブドウなどの球体でなめらかな食べ物は、必ず4分割にカットして「丸くない形」にして与えましょう。
トマトの下ごしらえ・ペーストの方法

皮と種の処理方法
トマトの皮や種は口当たりが悪く飲み込みにくいため、取り除くと食べやすくなります。皮をむく方法は湯むきが代表的ですが、電子レンジや冷凍でもできます。
湯むき:皮に切れ目を入れて熱湯にくぐらせ、冷水に入れると皮が取れやすいです。
電子レンジ:切れ目を入れて電子レンジで20秒程加熱して皮を取ります。
冷凍:冷凍しておいたトマトを水で洗うと皮が取れます。
皮をむいたらスプーンなどで種を取り除きます。
トマトをペーストにする方法
加熱して裏ごすのがオススメ
ミニトマトなら半分に切り、トマトは角切りにし、ラップをして電子レンジで30~40秒加熱し、熱いうちに裏ごしをします。裏ごしをしているうちに、皮と種は自然と取り除かれ、ペーストが出来上がります。
トマトの種が食べられるのはいつから?


種を食べても大丈夫かどうかは、いろいろな考えがあります。
まず、硬いので、消化されずに便に出てくると思います。しかしながら、便に出ても問題があるような(胃腸の負担になるような)大きさのものではありません。
一方、種が口の中でざらついてしまうと、トマト自体を苦手になってしまうことも。
作る側の手間もありますし、完璧でなくていいので、トマトの味に慣れるころ(離乳後期に入る頃?)までは、簡単にでも種を取り除いてあげるといいかもしれませんね。
ミニトマトは離乳食に最適?

普通サイズのトマトでももちろんいいのですが、離乳食にミニトマトが使いやすいでしょう。それにはいくつかの理由があります。
ミニトマトが離乳食に使いやすい理由
サイズが便利
離乳食には時期ごとに1回の目安量があるため、調理をする時は、切り分けて分量を量ることも多いでしょう。それが毎度となるとなかなか面倒なものです。
その点、ミニトマトは1個が10~15gくらいなので、個数でおおよその分量が把握できます。
各離乳期ごとのビタミン・ミネラル源の目安量は以下になります。
・離乳初期(5~6ヶ月):小さじ1から少しずつ増やす
・離乳中期(7~8ヶ月):15~20g
・離乳後期(9~11ヶ月):30~40g
・離乳完了期(12~18ヶ月):40~50g
皮がむきやすい
ミニトマトは、大きいトマトよりも皮と実がはがれやすいことが多いです。へたの部分から手でむけることもありますので、試してみてください。
種がやわらかい
ものによりますが、ワタの部分にある種が小さくやわらかいので、切っただけで食べやすいです。
「トマト缶」や「トマトジュース」を使ってもいい?
缶詰のトマトやトマトジュースも、是非積極的に使ってみてください。なお、トマト缶は味がついていないものを、トマトジュースは食塩無添加のものを選んでくださいね。
トマト缶は、やわらかく煮てあるので種も食べやすく、煮る時間がないときやトマトソースを手早く作りたいときなどにもオススメです。
ビタミンCなどをたくさんとりたい!と思えば生のトマトに負けますが、他の栄養素ではトマト缶やジュースの方が多く含まれているものもあります。生で食べたり、缶詰・ジュースを利用したり、トマトのペーストやあらごししたトマトなど離乳食に使いやすいものもあるので、使い分けられるといいですね。
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川口先生おすすめ!トマトの離乳食レシピ
トマトには昆布や味噌と同じ「グルタミン酸」という“うまみ物質”が含まれています。今回のレシピの1つにあるかつおぶしには、別のうまみ物質である「イノシン酸」が含まれているので、相乗効果でさらにうまみたっぷりになります。
初期|トマトがゆ

・ミニトマト 10g(1個)
・つぶしがゆ
■作り方
① ミニトマトの皮をむいて半分にカットし、ラップをして電子レンジで40秒ほど加熱する
② 裏ごししてペーストにし、つぶしがゆの上に①をのせる
■ワンポイントアドバイス■
中期|トマトと豆腐のだし煮

■材料(1回量)
・豆腐 3cm角程度
・トマト 1/2個
・かつおぶし 小さじ1
・水溶き片栗粉 小さじ1
■作り方
① トマトの皮をむく(上の「トマトの下ごしらえ」参照)
② 種をとりだし、実を5mm~1cm程度に切る
③ 鍋に②、かつおぶし、水100ml(分量外)、1cm角に切った豆腐を加え、火にかける
④ 全体にふつふつしてきたら水溶き片栗粉を加えて、ひと煮立ちさせてとろみがついたら出来上がり

後期|トマトと豆腐の味噌汁

・トマト 40g
・豆腐 40g
・だし汁 大さじ3
・味噌 小さじ1/4
■作り方
① トマトの皮をむき、種を除いて5mm~1cm 程度に切り、豆腐は5mm角程度に切る
② ①、だし汁、味噌を容器に入れて混ぜ、ラップをかけて電子レンジで1分~1分30秒加熱し、混ぜる
■ワンポイントアドバイス■
完了期|アレンジいろいろミートソース

■材料(5回分)
・豚ひき肉 75g
・ホールトマト 100g
・たまねぎ 100g(皮をむいたもの)
■作り方
① 玉ねぎは粗みじん切りにする
② 鍋に①を入れて炒め、たまねぎに火が通ったら豚ひき肉を加えて炒め、ホールトマトを加えて約1分ほど加熱する

まとめ
栄養豊富で一年中手に入りやすいトマトは、離乳初期から取り入れられ、後期以降からは生でも食べられる食材です。トマト缶やトマトジュースも活用すると、さらに便利になります。トマトに含まれるうまみ物質は、濃い味を付けられない離乳食期の食欲upにも貢献してくれるでしょう。ただし、ミニトマトなどはその形状から窒息のリスクもあるので、必ず4分割などしてからあげましょうね。
(文・写真:川口由美子先生)
※クレジットありイメージ写真:getty