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2022年12月05日 12:42 更新

意外と知らない「妊婦はサラミに注意」の事実!知っておきたいトキソプラズマのリスクとは【管理栄養士監修】

妊娠中は色々なものを食べて元気に過ごしてもらいたいものですが、注意が必要な食品もいくつかあります。今回はサラミについてお伝えします。

妊娠中も食べたくなる「サラミ」

「妊娠して味覚や食事の好みが変化した」という人は少なくなく、中には濃いめの味付けのものが無性に食べたくなるというケースも。

サラミはコンビニやスーパーなどで手に入り、簡単につまめる食品なので、おやつとして食べたくなる妊婦さんもいるのではないでしょうか。

サラミってそもそもどんな食べ物?

サラミはソーセージの一種で、ドライソーセージに分類されます。畜肉ひき肉をケーシングに詰めて、水分が35%以下になるように乾燥させたものです[*1,2]。

サラミは非加熱なことも多い

意外に思うかもしれませんが、ドライソーセージは加熱の工程がないものもあることはご存知でしょうか。また、ドライソーセージと比較して水分量が多いセミドライソーセージでも、加熱工程がない場合があります[*1]。

非加熱の肉に潜むトキソプラズマ感染のリスク

非加熱の肉はそもそも食中毒のリスクがあり、妊娠中は避けたいものですが、サラミのような加工品だと気付きにくい場合があり注意が必要です。また、トキソプラズマへの感染は胎児に影響があるため避ける必要があります。

トキソプラズマとは

トキソプラズマはネコに寄生する寄生虫です。ネコの糞便を介して主に土壌などの環境中に生息しており、人が食べる食肉動物が感染していることもあります。

人への感染経路として、
 ・トキソプラズマに感染した食肉を非加熱で食べる
 ・ペットなどのネコの糞便を触る
 ・ガーデニングなどで土を触る

といったことが挙げられます[*3] 。

トキソプラズマ感染による症状

トキソプラズマに感染しても、多くの場合で妊婦自身には症状が現れません[*3]。

トキソプラズマ感染による赤ちゃんへの影響

妊娠中のトキソプラズマ感染で問題となるのが、胎児への影響です。

妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、そのうち約30%の割合で胎児も感染することがわかっています。感染した胎児のうち最大20%の割合で先天性トキソプラズマ症を発症し、死産・流産・水頭症・視力への影響・精神運動機能障害などが現れます。また、出生時に症状がなくても、その後何らかの症状が出ることもあります[*3,4] 。

トキソプラズマについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊婦がトキソプラズマに感染したら? 症状や母体・胎児へのリスク

妊婦がサラミを食べるときの注意点

サラミを使いたい場合のポイントは加熱と塩分です。

生サラミは避ける

トキソプラズマは加熱により感染力を失います※ので、加熱したものを食べるようにしましょう。

薄切りのサラミをのせたピザ、おいしいですよね。ピザを加熱する前にサラミをトッピングして、一緒に加熱しましょう。


※中心温度67度以上でトキソプラズマを死滅させられます[*5]。

サラミの塩分の量に注意

感染症のほかに、サラミに含まれる塩分の量にも気をつけたいところです。塩分の取り過ぎはむくみや血圧上昇の原因となりえますので、嗜好品と考えて少量に留めておけると良いですね。

まとめ

妊婦がサラミを食べる時に気をつけること

お腹に赤ちゃんがいることで色々な制限がある中で、お食事は是非楽しんで頂きたいものの、妊娠中だからこそ注意が必要なものが少しあります。サラミは注意が必要な食品の一つです。ご紹介した通り、加熱をすると食べられますので、そのまま食べるのではなく、お料理のアクセントとして加熱したサラミを使ってみてくださいね。

(文:奥野由 先生、監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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