妊婦ならメロンは洗って食べるべき!? 胎児に影響するリステリア菌とは【管理栄養士監修】
メロンといえばジューシーな果肉とフルーティな甘みがおいしい夏の果物ですね。 実は妊娠中に必要な栄養成分も含まれており、食べるとうれしい効果が期待できることも。どんな効果があるのか、見ていきましょう。
妊婦にうれしい効果?メロンに含まれる栄養素
メロンといえば高級品のイメージがありますが、近年では多くの品種が開発され、比較的手に取りやすいものも増えてきていますね。妊娠中にうれしい効果も期待できる栄養素はどんなものがあるのでしょうか。
妊娠中のむくみ予防に役立つ「カリウム」
カリウムは、ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、むくみ予防に効果があります[*1]。妊娠中はむくみ易い人が多いので、嬉しいですね
100gあたりの含有量はすいかが120mg、きゅうりが200mgに対し、メロンは350mgと夏野菜の中でもカリウムが豊富です[*2]。
赤ちゃんの健康な成長に必須の「葉酸」
赤ちゃんの成長に必要な栄養素である葉酸は、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させる働きがあり、非常に重要です。葉酸はサプリメントなどをしますが、食事から摂取することもとても大切です[*3]。
必要な分だけビタミンAに変換される「βーカロテン」
β-カロテンは抗酸化作用や免疫賦活作用がある栄養素で、体内ではビタミンAに変換しビタミンA不足を補ってくれる作用もあります。特に赤肉種の夕張メロンなどに多いです[*4]。
ビタミンAは妊娠中も大切な栄養素ですが、特に妊娠初期にレバーなどの動物性食品やサプリメントから摂りすぎることは避けなければなりません。一方、緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンであれば過剰摂取の心配なく摂れるのです。
妊娠中の便秘予防に役立つ「食物繊維」
食物繊維は消化吸収されずに、小腸を通って大腸に働く栄養成分で、便の体積を増やしたり、腸内環境を改善する腸内細菌の栄養になって排便を促してくれる、とてもうれしい成分です。
他にも、血糖値の上昇抑制や血中コレステロール濃度の低下などの作用もあります[*5]。
妊婦がメロンを食べるときの注意点
メロンには妊婦にうれしい栄養素がたくさん含まれていましたね。栄養素が豊富でも、食べるときには気を付けなければならないこともあります。注意点を確認していきましょう。
糖分が多いので食べ過ぎに注意
メロンは糖分が多いので食べ過ぎには注意が必要です。
妊娠中は生理的に血糖値が上がりやすい状態となっています。妊娠中は味覚の変化などで甘いものが無性に食べたくなる妊婦さんも少なくなりませんが、食べ過ぎには注意しましょう。
1日の果物の摂取量の目安は、妊娠初期で2SV、妊娠中期〜後期は3SV※とされています[*6]。メロンの場合1SV=1/6個となっていますので、みかん(1SV=1個)やりんご(1SV=1/2個)など季節の果物と併せて食べられるといいですね。
※SV:食提供量の単位
アレルギー症状に注意
メロンは食物アレルギーの原因物質となる場合があります。おもに口腔内に症状が現れる「口腔アレルギー症候群」です[*7]。
アレルギーというと子供がなるものというイメージがあるかもしれませんが、口腔アレルギーは成人に多いとされています。妊娠期に多いということではありませんが、「大人だから大丈夫」と過信せず、口に違和感があったら食べるのをやめるなどの注意が必要です。
メロンのリステリア菌は大丈夫?
メロンは外皮にリステリア菌が付着している可能性があります。リステリア菌は妊婦にとって、とても気を付けたい食中毒菌の一種です。
リステリア菌とは
河川や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌で、健康な成人では発症しても比較的軽症で、自然に治るとされています。しかし、妊婦が感染するとリステリア菌が胎盤や胎児に感染し、流産や新生児に影響が出ることがあるため注意が必要です[*8]。
妊娠中は特によく洗ってから食べる
リステリア菌は外皮に付着しているので、切る前によく洗いましょう。また、食べる前には手を洗うなど、基本的な食中毒予防も効果的です。
まとめ
メロンには妊婦にうれしい栄養や効果がたくさんありましたね。体を冷やす効果や糖分は気になるところではありますが、保存や量に気を付ければ食事の楽しみも広がりますね。
甘くておいしいメロン、デザートにいかがでしょうか。
(執筆:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
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