【助産師監修】授乳中に辛いものを食べてもいい?おっぱいの味は変わる?
カレーやキムチ、エスニック料理など、辛い味の料理が好きな人は多いですよね。でも、赤ちゃんに母乳を飲ませている時期は、自分の口にするものが「授乳中に食べても大丈夫?」「おっぱいへの影響は?」と不安になることもあります。今回は、授乳中の辛い食べものについて坂田陽子先生に解説いただきます。
授乳中も辛いものは食べてもいいの?
まずはシンプルに「授乳中に辛い料理は食べてもいいか」について考えてみましょう。
授乳していても辛いものを食べてOK
授乳中に辛いものを食べたからといって、母乳まで辛い味になるわけではありません。食欲をそそる程度の辛さの料理を楽しむ分には問題ないでしょう。
乳腺炎との関係は?
乳腺炎と辛いものには直接的な因果関係はありません。なので、常識的な範囲で食べる分には、それが原因で乳腺炎になることは考えにくいです。
また、乳腺炎の時に避けた方がいい食事というものもありません。ただし、乳腺炎の症状として高熱や全身の倦怠感・頭痛や関節痛などの症状が現れることもありますので、消化しやすく食べやすいものを選ぶことをおすすめします。
お尻トラブルには注意を
妊娠・出産がきっかけで痔になってしまうママは少なくありません。また、産後は会陰切開の傷が怖くていきめなかったり、授乳で水分不足になったりして便秘になりやすくなっています。便秘も痔のリスクのひとつです。
辛いものは痔の天敵
辛いものの代表格である唐辛子は、キムチの材料やカレーの辛さ増しに使われていますが、唐辛子に含まれるカプサイシンは消化されずにうんちで出てきます。なので、辛いものをとりすぎてしまうと肛門を刺激したり、うっ血させたりすることで、痔を悪化させるリスクがあります。
辛いもののとりすぎは、胃にも負担をかけます。辛さも量も無理のない範囲にしておきましょうね。
辛いもので母乳の味は変わる?
授乳中でも辛いものを無理のない範囲で食べるのは問題ありませんが、赤ちゃんの飲み具合には影響しないのでしょうか。
においが変わることがある
ママが食べたものは母乳の中にある程度は出てくるようで [*1]、特に「食べたもののにおい」に関しては母乳からも感じられたという研究結果があります。具体的には、ニンニクを食べたママの母乳からニンニクの香りがした、というもの[*2]。
だからといって「辛いものを食べたら母乳も辛くなる」わけではなく、また、においの変化に関しても、かえって赤ちゃんの飲みが良くなるケースがあるなど、必ずしも悪い影響が出るわけではありません。
母乳の味は常に同じではない
母乳の味の変化という面でいうと、産後すぐの母乳(初乳)は甘味が少なくしょっぱいですし、1回の授乳中でも初めと終わりごろで味が違います。
ママが健康に気づかい、栄養バランスのとれた食事をとることはとてもいいことですが、「母乳の味」を気にして食べるものを制限したり、精神的な負担になったりすることはよくありません。おいしく食事をとって、心も体も元気でいられるようにしましょうね。
授乳中にダメな飲食物は?
妊娠中は胎児への影響を考え、避けた方がいい・食べてはいけない飲食物がありましたが、授乳中はどうなのでしょうか。
授乳中のお酒はNG
ママがアルコールの含まれる飲み物を飲んだ場合アルコール成分は母乳に移行し、それを赤ちゃんが飲めば発達を阻害するリスクがあります[*3]。加えて、アルコールを摂取すると母乳の出る量も減ってしまうとされています。
また、もしアルコールのせいで授乳中などに強い眠気に襲われて寝てしまったら、赤ちゃんに覆いかぶさってしまう危険もあります。授乳中はアルコールを控えましょう。
授乳中のアルコールについては以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎授乳中のアルコール(お酒)は大丈夫?飲酒量とタイミング
カフェインはほどほどに
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインについて、授乳中も妊娠中同様に摂取する量には気をつけましょう。
一切ダメということではないので、いつもはノンカフェインの飲み物メインで水分をとるようにして、ほっと一息つくときにコーヒーを1杯楽しむというような飲み方であれば問題ありません。
授乳中のカフェインについては以下の記事で詳しく解説しています。
▶授乳中のカフェインはどれぐらいまでOK?摂取基準と注意点
そのほか気になる授乳中の飲食物については以下の記事を参考にしてください。
▶授乳中の刺身
▶授乳中のお寿司
▶授乳中のはちみつ
▶授乳中の牛乳
▶授乳中のチーズ
▶授乳中のケーキ
まとめ
辛い食べ物は、ママの体の負担にならない範囲であれば授乳中でも楽しんで大丈夫です。疲れやストレスがたまる日々、赤ちゃん連れでは外出もなかなかむずかしいもので、せめて食べることなど身近なことで気持ちを上向きにできたらいいですね。食べすぎ・飲みすぎにさえ気をつければ、授乳中でもほとんどの飲食物をとることができます。楽しい食生活で元気に過ごしてくださいね。
(文:マイナビ子育て編集部/監修:坂田陽子 先生)
※画像はイメージです
[*1]水野克己「これでナットク 母乳育児」(へるす出版)p.82
[*2]FAU「Knoblaucharoma in Muttermilch nachgewiesen“Stoffwechselprodukt AMS verantwortlich für typischen Geruch”」
[*3]厚生労働省「e-ヘルスネット 飲酒のガイドライン」
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます