【医師監修】妊娠11週に起こる体内変化は? この時期の過ごし方
妊娠11週ごろにはお腹が少し膨らんできた妊婦さんも多いことでしょう。 このころ、体内では赤ちゃんの主な器官が形成されています。つわりは軽くなってくるママもいますが、流産しやすい時期はもう少し続きます。妊娠中のセックスのことなど、早めに知っておいてほしいことをまとめました。
妊娠11週ってどんな時期?
妊娠11週は「妊娠3ヶ月」の最後の週にあたります。つわりのピークがくることもあれば、このころにはつわりの終わりかけで少し楽になってきたと感じるママもいます。また、急に子宮が大きくなるために膀胱が圧迫され、頻尿になることもあります。流産しやすい時期はあと少し続くので、無理せずに毎日を過ごしましょう。
妊娠11週っていつから?
妊娠11週というときの週数は、最終の生理が始まった日から数えて満11週という意味です。これに対して「妊娠3ヶ月」というときの月数は、「満」でなく「数え」なので、0週から3週までが妊娠1ヶ月になります 。妊娠3ヶ月は妊娠8週~11週までのことで、妊娠12週~15週までが妊娠4ヶ月です。
妊婦健診の際などは妊娠週数を基本にいろいろな話をされると思いますが、月数で数えるのが普通だった上の世代の女性と話すときなど、週数ではなんとなく話が伝わらないこともあるので、月数も知っておくと便利ですね。
妊娠11週に体内で起きる変化
赤ちゃんの変化
頭が大きく、約4cmの頭殿長(頭からお尻までの長さ)[*1]の半分を占めます。ついに尻尾が消えて、ヒトの形になります。
また、このころには赤ちゃんはおしっこを膀胱にためることができるようになります。赤ちゃんはおしっこを羊水(赤ちゃんをとり囲む液体)中に排泄しますが、老廃物は胎盤を通してママが排泄しているので、おしっこは水に近い状態です。
自分がしたおしっこを含む羊水を赤ちゃんはまた飲み込んで、水のようなおしっこをする、を繰り返します。妊娠中期(16~27週)以降、羊水のほとんどは胎児の尿であるそうです。赤ちゃんが飲み込んだ羊水は、赤ちゃんの肺を成長させるのを助けています。
この時期、ようやく外陰部の性差が出てきますが、超音波診断で性差が見分けられるようになるのは、まだ数ヶ月先です 。
ママの変化
子宮が大きくなるので、膀胱が圧迫されて頻尿になることが多いでしょう。また、ホルモン分泌の増加により腸の筋肉の動きが悪くなり、お腹にガスがたまったり、便秘しやすくなったりします。
つわりがピークに達するママもいます。つわりの時期は食事ができないなど、胃腸のトラブルも多いのですが、こういったイライラも一因となってメンタル面の不調を感じる 人もいます。また、「流涎(りゅうぜん)」といって異常につばの量が増えることがありますが、これはとくに害はありません 。
妊娠11週に知っておきたいこと
辛いつわり…だけど自己判断で薬を飲むのはちょっと待って!
つわりがつら過ぎて、胃腸薬や頭痛薬を飲みたくなるママもいることでしょう。でも、このころの赤ちゃんは重要な器官が作られている時期で、薬の影響を受けやすいと言われています。薬が欲しくなるような不調がある場合は、まずはかかりつけの医師、薬剤師に相談を。必要な場合は、妊婦さんの体の状態を改善するのに合っていて、かつ赤ちゃんへの影響を考えた薬を処方してもらえるでしょう。
辛いときは休む、食べられるものを少量食べる、また部屋の換気をよくしたり、好きな音楽を聴く、ストレッチをするといったお気に入りのリラックス方法を試してみて、それでも辛いときが続くようであれば、かかりつけ医に相談しましょう。
妊娠中のセックスって平気なの?
米国産科婦人科学会(ACOG)は「産科医などの医療従事者からとめられていない限り、妊娠期間を通じてセックスをしてもよい」との見解を示しています[*2]。
ただし、過去に流産や早産の経験がある、性器からの出血やお腹の張りが続いている、多胎(双子、三つ子など)などの場合は、セックスしても問題がないかどうか事前に主治医に相談してください。
また、妊婦は感染症にかかりやすいので、必ずコンドームを使い、オーラルセックスやアナルセックスは避けましょう。また、途中でお腹の張りや痛み、腟からの出血など異常な症状があった場合は、中断して医療機関を早めに受診。セックスの後も下腹部の違和感や痛み、お腹の張りが続くようなら、早めに診察を受けましょう。
妊娠中のセックスに限らず大切なことは、一方が望まないときは、強要してはいけないし、無理に応じなくてもよいということです。スキンシップの方法には抱きしめる、手をつなぐ、マッサージするなど、多様な形があります。セックスについてお互いにオープンに気持ちを語り合い、コミュニケーションを深めるきっかけにしましょう。
妊娠11週の注意点
流産の約80%は「妊娠12週未満」に起こる
流産の約80%は「妊娠12週未満」で起こっています[*3]。その中で最も多いのが、赤ちゃんの染色体になんらかの異常があることが原因で起こる、防ぐことができない自然流産です。もし流産となってしまっても、妊婦さんが自分を責めないことが大切です。
なお、「切迫流産」とは流産の傾向がある状態のことで、妊娠を継続できる可能性があります。ただし、切迫流産の治療でこれさえ使えば流産を予防できるという薬剤はなく、状況に合わせて安静や入院などを指示されたり、週数が進むと子宮収縮抑制薬などの薬を処方されることもあります。
この時期に子宮からの出血があった場合は、少量なら様子を見て医師の診察を受けましょう。一方、出血量が生理より多いときや腹痛を伴うときは、異所性妊娠(子宮外妊娠)や進行流産など、治療を要する状態と考えられます。この場合は、夜間や時間外であっても医療機関を受診しましょう。
まとめ
妊娠11週ごろまでは、赤ちゃんの主要な器官が形成される時期です。つわりがピークのママは薬に頼りたくなってしまうかもしれませんが、くれぐれも自己判断での服用はしないようにしましょう 。つわりがおさまりかけるママもいますが、12週ぐらいまでは流産しやすい時期なので、急に活動的になるのは避け、徐々に体を慣らしていくようにしましょう。セックスは経過が順調で主治医から止められていない妊婦さんでは問題ないとされています。体の負担にならない範囲で、夫婦のきずなを強めましょう。
(文:山崎ひろみ/監修:中林稔先生)
※画像はイメージです
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます