子どもが小学校入学前に家を購入したほうがいいって、本当? #子育て世代の幸せおうち計画 Vol.4
産後に家が手狭になったとき、子どもが入園・入学するときなど、「ウチもそろそろ家を買ったほうがいい?」と思ったときが、住宅購入を検討する始めどき! 子育て世代が住宅を購入する際に考えておくべきことを、いろいろなプロに教えてもらいます。第4回目もエフピーウーマン公認ライターの續さんに、お金のことについて教えてもらいました。
これまで3回にわたり、お金の面で子育て世帯の住宅購入に関するアドバイスをしてきましたが、子育て世帯にとって住宅購入のタイミングは悩ましいものです。人生でもっとも大きな買い物とも言える住宅は、金利や相場の動向、優遇税制措置などを見ながらタイミングを計ることも大切ですが、子どもの成長に伴う家族のライフプランの変化を重視しながら選択することも必要です。そこで今回は、お金と子どもの成長を織り交ぜながら、子育て世帯が住宅を購入するベストタイミングについて考えていきたいと思います。
子育て世帯が住宅を購入したいタイミングは「妊娠前」と「小学校入学前」
いつ住宅を購入するのが良いのかに決まった正解はありませんが、家を購入するタイミングとして、妊娠前や子どもの就学前に購入したほうがいい、という考え方があるのをご存知でしょうか? 2021年1月の『マイナビニュース』の調査[*1]によると、住宅購入者のうち「住宅を購入するのにベストだと思うタイミング」について、もっとも多い回答が「妊娠前」で30.5%、次いで「子どもが3~5歳(小学校入学前)」が27.7%、「子どもが0~2歳」が14.5%と続きました。
Q.次のうち、どのタイミングで家を購入するのがベストだと思いますか?
その理由をいくつか紹介しましょう。
【妊娠前】
・引っ越しが楽
・手続きが簡単
・出産前に環境を整えられる
【小学校入学前】
・転校させたくない
・保育園・幼稚園は送迎で対応できるが、小学校は通える範囲がある
・小学校入学前に、子どもを地域になじませたい
それぞれのタイミングで購入するメリット・デメリット
では実際に、「妊娠前」と「小学校入学前」のタイミングで購入するのがベストかどうか、それぞれのタイミング別にメリット・デメリットや注意点について整理してみましょう。
妊娠前
妊娠前に購入するメリットとして引越しが楽な点を挙げる人が多いですが、それ以外にも保活を考慮しながらじっくりエリアや物件選びをしやすいことが挙げられます。
保育施設の種類や場所、空き状況などは必要性を感じないと案外確認しようとしないものですが、子どもを持つことを考えた時点でいろいろ調べておくのがおすすめです。実際、子どもができてから探したときに、「こんなにも保育園に空きがないとは思わなかった。すぐに見つかるだろうと安易に考えていたので、育休からの復帰に困った」という人もいます。これが家を購入したあとだったら、預け先が見つからず離職を余儀なくされる可能性もあります。
また、お金の面でも妊娠前では住宅ローンを組みやすいことが挙げられます。共働きの場合は収入合算することも可能で、ローン審査が通りやすいメリットもあります。
一方、妊娠前では将来の家族像がつかみにくいデメリットがあります。子どもができることを想定して住宅選びをする場合でも、たとえば双子が生まれて部屋数が足りなくなったり、あとあと手狭に感じたりする可能性もあります。住宅は家族構成や暮らしぶりに合わないからといって簡単に買い替えられるものではありません。
住宅購入後の間もないうちに、妊娠・出産する可能性があることには注意が必要です。産休・育休と重なって家計のバランスが崩れやすくなるリスクがあります。
実例を紹介しましょう。妊活をしていたAさん夫婦はなかなか子宝に恵まれず、妊活数年後に住宅を購入。その後に幸い子どもに恵まれたものの、年子で続けて出産することになりました。予定していたよりも育休期間を長く取ることになってしまい、家計プランが狂ってしまったのです。幸いこの夫婦は親から経済的なサポートを受けることができたようですが、もしもサポートを受けられなかったとしたら家計は大変なことになっていた可能性も考えられます。
小学校入学前
子どもに転校をさせたくないと考える親は多いものです。その点、小学校入学前のタイミングであれば、学区によるエリアの制約もなく住宅選びができるのは大きなメリットです。
教育費など、子どもにかかるお金もまだ多くないため、頭金や住宅購入にかかる費用を拠出しやすいメリットもあります。また、育休復帰から数年経っている場合は、夫婦それぞれに働き方がほぼ確定している時期です。住宅ローンの返済計画も立てやすいうえ、子育て世帯に優遇特典のある住宅ローンを利用できる可能性もあります。
たとえば、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している住宅ローン「フラット35」では、子育て世帯の住宅購入支援として、最初の5年間、フラット35の借入れ金利から0.25%引き下げる制度があります。ただし、この制度は子育て支援や地域活性化について積極的な取り組みを行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して行うものです。すべての地域で利用できるわけではないですが、当制度を利用できる自治体なら、その他の子育て支援も充実しているかもしれません。当制度を利用できる自治体は住宅金融支援機構のホームページ上で確認できますので、気になる人はチェックしてみてください。
なお、公立小中学校は学区が限定されるため、通わせたい学校がある場合には学区選びや子どもの教育環境などに考慮しておくことが必要です。よく確認しないまま購入したら、実は学区の学校があまり評判のよくないところで、予定外に私立に通わせることになってしまったという人もいます。希望して私立に通わせるのとは異なりますから、家計調整に相当の努力を強いられた例があることも知っておくといいでしょう。
子育て世帯の住宅選びは子どもの通学がポイントに
子育て世代の住宅購入でベストと思われるタイミングについて説明しましたが、どちらのタイミングで買うにしろ、子育て世帯にとって大切なポイントは子どもの通学という観点でエリアや立地を選ぶことと言えそうです。
エリアを選ぶときに考えたいポイントとして大きく次の3点が挙げられます。
・通学にかかる距離
・周辺地域の治安
・職場や実家との距離
保育園や幼稚園の場合は親が送り迎えをしたり、通園バスで通ったりできますから距離に関してあまり問題を感じないかもしれません。しかし、小学校になると自分で登下校をするようになります。子どもの足で歩いて通学するためには距離が短いことが大切です。また登下校や帰宅後にひとりで行動する時間が増えることを考えると治安は重要なポイントです。住宅購入をする前に、子どもと一緒に通学ルートを歩き、学校までの距離やかかる時間のチェックは必ず行いたいものです。
ほかにも、共働きの場合は子どもの急な発熱やケガなどに備えておくことも大切でしょう。職場から学校までの距離や公共交通機関でのアクセス、祖父母に協力してもらいやすい距離かなどのポイントも確認しておくといいのではないでしょうか。
(文:續 恵美子、イラスト:香川 尚子、編集:マイナビ子育て編集部)