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2021年09月29日 12:30 更新

【医師監修】妊娠中期にお腹パンパンで苦しい!原因&不快感を和らげる方法

妊娠中期に、胃のあたりや下腹部など、おなかがなぜかパンパンになって苦しくなる……ということがあります。妊娠中期にこのような状態になりやすい理由と、お腹の圧迫感をやわらげる方法を紹介します。

妊娠中期にお腹パンパンになる原因

妊婦のイメージ

おなかがパンパンになる原因はいくつか考えられます。順に紹介していきましょう。

大きくなった赤ちゃんが胃を圧迫している

ひとつめとしてあげられるのが、成長した胎児が胃を圧迫している可能性です。

妊娠中期の終わり頃になると、赤ちゃんの身長は約30cm、体重は約1,000g、「およそメロン1個分」に相当する大きさになると言われています 。

妊婦さんのおなかには、その大きさの赤ちゃんだけでなく、胎盤や赤ちゃんを守る羊水も入っているわけですから、胃などの周辺の臓器が圧迫され、苦しさを感じることもあるでしょう。

胃腸内にガスがたまっている

2つめの可能性が、胃腸内にたまったガスです。妊娠すると、出産が終わるまで「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という女性ホルモンの一種が多く分泌され続けます。

黄体ホルモンには腸の動き(ぜん動運動)を悪くさせる働きがあります 。腸の動きが悪くなれば、便がなかなか腸を通過しないため、ガスが発生しやすくなり、その結果、おなかがパンパンに張ることもあるでしょう。

便秘になっている

胃腸内のガスの発生とも関係しますが、腸の動きが悪くなると、便がなかなか腸を通過しないため、便の排せつが困難になり、便秘を引き起こすこともあります。

便が腸の中に長くとどまると、水分が腸に多く吸収されていき、便が硬くなってさらにひどくなることもあります。

便秘が続き、便がたまっていくと、おなかがパンパンに張っていくこともあるでしょう。

子宮の収縮でお腹が張っている

子宮を構成している「平滑筋」という筋肉には、刺激に敏感に反応し、収縮しやすいという特徴があります。このため、子宮は自律神経の指令を受けて収縮したり緩んだりするほか、ホルモンの影響や、外からの刺激によっても収縮しやすいのです。

子宮が収縮すると「お腹の張り」として感じられます。お腹の張りは早産の兆候として心配な場合もありますが、妊娠中期になると「ブラクストン・ヒックス収縮」といって心配のないお腹の張りも増えてきます

この場合の張りは、早産とは関係なく起こるもので、不規則に起こって1~2分間程度で治まり、痛みは感じないことが多いです。すべての妊婦さんに起こるわけではありませんが、「妊婦さんが動き回った時」「胎動がある時」「疲れた時」「便秘がある時」「排尿をガマンした時」「強いストレスを感じた時」などに起こりやすくなると言われています。

妊娠中期のお腹の張りで注意したいもの

エコー検査を受ける妊婦さん

このように妊娠中期のおなかの張りは、大きくなった胎児の影響や子宮の収縮によるものであることが考えられますが、中には注意が必要な張りもあります。

安静にしても張りが続く際は受診を

もしもおなかの張りを感じた場合は、横になるなどして体を休めましょう。少したつとやわらぐようであれば、受診の必要はないと考えられますが、安静にしても症状が治まらなかったり、出血を伴ったり、下記のような症状が見られたりする場合は、かかりつけ医に相談のうえ、受診することをおすすめします。

お腹の張り|こんなときは産院に連絡を

・30分ほど休んでも治まらない
・胎動がない、いつもより弱い
・張りが規則的になってきた
・張りとともに腹痛がある
・張りとともに出血がある
破水したかもしれない(腟から水が出ている感じがある)

お腹パンパンによる食後の不快感を和らげる食事法

さまざまな食品のイメージ
Lazy dummy

胎児に胃が圧迫されておなかが張っている場合は、食事の内容や方法を改善すると不快感を多少やわらげるのに役立つこともあります。

胃の膨満感なら逆流性食道炎予防の食事に

胃が張ったような感じになることを「膨満感」といいます。このような症状がある場合は、胃酸の逆流により胸やけなどが生じる「逆流性食道炎」対策の食事が役立つかもしれません。

妊娠中は胎児に胃が圧迫されるため、逆流性食道炎を発症しやすい時期でもあります。逆流性食道炎を予防する意味でも、お腹の張りを感じている時は下記のような食事は避けると良いでしょう。なお、何のトラブルも感じてない人は、このような食事制限をする必要はありません。

胃の膨満感がある時に避けたほうがよい食べ物・飲み物

・脂肪分の多い食べ物
・柑橘類や酢の物など酸味が強いもの
・あんこ、ケーキなどの甘い食品
・チョコレート、コーヒー、炭酸飲料など

また胃腸の調子が悪い時は、おかゆ、うどん、食パン、白身魚、ささみ、赤身肉、卵、納豆、豆腐など、消化によいとされる食べ物 を選ぶようにするとよいでしょう。

便秘気味なら食物繊維を十分に摂る

便秘が続いておなかが張っている場合も、食事の工夫が改善に役立つことがあります。便秘対策には「食物繊維を十分に摂る」ことが大切です。

食物繊維は、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などに多く含まれているので、これらの食品を多めに摂取することで、効率良く摂取することが可能です 。日本人はもともと食物繊維の不足している人が多いと言われています。

ただし、便秘で腸の動きが低下している人が「不溶性」と呼ばれる、水に溶けにくく、便の量を増やす働きがある食物繊維をとりすぎてしまうと、逆効果になることもあります。増えすぎた便が腸の中で動けなくなってしまい、便秘がよりひどくなってしまうことがあるのです。

不溶性食物繊維を多く含む食品には大麦や玄米、さつま芋、ごぼう、にんじん、ほうれんそう、小松菜などがあります。 食物繊維の積極的な摂取は大切ですが、極端に多くならないよう、バランスのよい食生活を心掛けていきましょう。

胃の不快感・便秘は悪化する前に医師に相談を

便秘や胃の不快感は、日常的に生じやすい症状のため、自己流での対処に頼りがちです。しかし、悪化していると感じたら、恥ずかしがらず医療機関に相談しましょう。

食事はゆっくり時間をかけて

ゆっくりよくかんで、時間をかけて食事をすると、食べ物が消化しやすくなり、胃腸にかかる負担を減らすことにつながります。ガスの発生なども減らせるため、おなかの張りもやわらぐでしょう。

寝る前は食べない

胃の中に未消化の食べ物が残ったまま寝ると、寝ている間も消化のために胃腸が働き、睡眠の妨げになります 。睡眠の質の低下がストレスとなり、おなかの張りの原因になることも考えられるため、できるだけ避けましょう。

お腹パンパンな妊娠中期は楽な姿勢でリラックス

横になっている妊婦さん
Lazy dummy

おなかがパンパンになりがちな妊娠中期は、以下のようなことに気を付けておくと、なおよいでしょう。

お腹が張るときは横になって休む

先ほども説明したように、おなかがパンパンに張った時は、まず横になってゆっくり休みましょう。少したてば張りや痛みが落ち着くようであれば、問題はないでしょう。

同じ姿勢を長時間続けない

立ちっぱなし、座りっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続けると血流が妨げられ、肩や背中のこりをまねきます 。全身の血行が悪くなるとお腹の張りにもあまりよくないので、可能な範囲で定期的に体を動かすなどして、同じ姿勢を続けないように気を付けましょう。

クッションを活用する

クッションを利用して腰を支えると、楽な姿勢がとりやすくなります。お腹の張りを感じて少し休みたい時は、クッションなどをうまく活用してみましょう。

まとめ

妊婦さんのお腹

妊娠中期は胃の圧迫や子宮の張り、腸の働きの低下などの影響で、おなかがパンパンになりやすいもの。そうなった時は、まず横になるなど安静にしてみましょう。おなかがパンパンになることが頻回に続くようであれば、ここで紹介した産院に連絡が必要な症状がないか、まず確認を。心配なさそうであれば、食事の内容や摂取方法を見直したり、できるだけ体を休めたりするようにして対処しましょう。

(文:山本尚恵/監修:太田寛 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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