パパ・ママ育休プラス制度のメリットは? 利用条件とよくある疑問
働きながら育児するためには、パパとママの協力が不可欠です。「パパ・ママ育児休業プラス」の制度を利用するための条件、受給できる給付金などについて、詳しく見ていきましょう。
パパ・ママ育休プラスってどんな制度?
「パパ・ママ育児休業プラス」は、2010年(平成22年)にスタートした育児休業期間に関する特例の制度です。働くママをサポートしてくれるので、正しく理解して利用につなげましょう。
パパ・ママ育休プラスとは
パパ・ママ育休プラスとは、夫婦で育児休業を取る場合の休業期間の延長のことで、パパの育児参加や、育児休業取得を促すのが狙いです。ママ・パパともに育児休業を取得する場合、従来より育児休業期間を2ヶ月延長でき、1歳2ヶ月まで取得可能となります。
夫婦で育児休業を取る場合は、2人が同時に取る場合だけでなく、交代で育児休業を取る場合も含みます。夫婦それぞれが取得できる休業期間の上限は、1年間が原則。ママの場合は、産後休業と育児休業を合わせて1年間になります。
育児休業は1回のみ連続して取得するのが原則ですが、出産後8週間以内にパパが育児休業を取得した場合、パパは再度育児休業を取得することができます。産後8週間は母体保護が優先される時期のため、このように定められています。
育児休業の期間
育児休業は、子供の1歳の誕生日の前日(1歳到達日)までの期間内で取得できます。つまり、出産日を含めた1年間(365日、うるう年は366 日)ということです。ただし、ママの場合には、産後8週間の産後休業の期間を含めて1年間となります。
パパ・ママ育休プラスが適用されれば、最長で<1歳2ヶ月に達する日まで>、保育所に入所できないなどの理由から休業が特に必要と認められた場合には、最長で<1歳6か月に達する日まで>育児休業の延長が可能です。
パパ・ママ育休プラスを利用した際の育児休業給付金について
休業中の収入についてもチェックしておきましょう。夫婦二人が育児休業をとることになれば、収入についての不安は当然ですね。育児休業給付金の計算や内容を中心に説明していきます。
育児休業給付金は支払われる?
育児休業中、職場からの給料は出ませんが、雇用保険の被保険者で一定の条件を満たしていれば、支給日に育児休業給付金(生活費の補償)が受け取れることになっています。パパ・ママ育児休業プラスを利用している場合の受給期間は、子供が1歳2か月になる前日までの最大1年間です。
育児休業給付金の給付率についても、通常の場合と変わりません。夫婦それぞれ、育児休業開始日から180日目までは賃金月額の67%、181日目から育児休業給付金の支給終了日までが50%です。
家計への影響
パパも育休が取りやすくなり、夫婦が協力して子育てができる環境が整うことはすばらしいことですね。しかし、育休期間中は収入減少になることも注意しましょう。注意したいのは、ボーナスや退職金に影響が出る可能性。ボーナスを出勤日数や休業期間に応じて支給する会社では、育児休業を取得するとボーナスが少なくなることが多いようです。退職金についても、育児休業期間中を勤続年数に算入しない場合もあります。いずれも、育児休業を取得する前にきちんと確認しておきましょう。
パパ・ママ育休プラスをとるには
パパ・ママ育休プラスは、ママとパパの両方が育児休業を取得することが大前提です。そのほかの条件や申請方法についても見ていきましょう。
パパ・ママ育休プラス取得の条件
パパ・ママ育休プラスを利用するには、次に挙げる条件を満たしていることが必要です。
・ママとパパの両方が育児休業を取得すること
・ママまたはパパが、お子さんの1歳の誕生日以前に育児休業を取得していること
・育児休業の開始予定日を、子供の1歳の誕生日以前に設定していること
・育児休業の開始予定日を、ママまたはパパが取得した育児休業の初日以後に設定していること
なお、法律上の夫婦だけでなく、事実婚のような関係でも制度の利用はOKです。
パパ・ママ育休プラスの申請方法
パパ・ママ育休プラスも、育児休業を開始予定日の1ヶ月前までに申請する必要があります。またパートナーが育児休業を取得していることを証明する書類が必要で、基本的な育児休業の申請方法に加えて、以下の書類が必要になります。
・住民票の写しなど、育児休業給付金の支給対象者の配偶者であることを確認できる書類
・配偶者が会社から交付された「育児休業取扱通知書」の写しなど、配偶者が育児休業を取得していると確認できる書類(配偶者の雇用保険被保険者番号がわかる場合は省略できる)
パパ・ママ育休プラスのよくある疑問
ママが専業主婦でも取得できる?
ママが専業主婦の場合でも、パパは育児休業が取得できます。もともとパパ・ママ育休プラスの制度とは、父親の育児参加を促すことが目的で定められたもの。ママが仕事を持っているかどうか、専業主婦であるかどうかには左右されないのです。
以前は労使協定によって、専業主婦の夫は育児休業を取得できないことが多くありました。会社に育児休業の申請をしても拒まれるケースもあったようです。しかし現在では法律の改正により、すべてのパパが必要に応じて育児休業を取得できると理解しておきましょう。
パパの会社に育児休業制度がない場合は?
パパの育児休業は、法律に基づいて労働者に保障されている権利です。つまり、勤務先の会社に育児休業の規定があるかどうかに関係なく、育児休業は取ることができるのです。勤務先の会社によっては、特に男性の育児休業に関する規定がない場合も法律上は認められています。
次の条件を満たしていれば、会社に規定がなくても、育児休業を取得することが可能です。
・現在の会社に1年以上継続して勤めている
・子供の1歳の誕生日以降も、引き続き雇用されることが見込まれている
※子供の2歳の誕生日の前々日までに、契約期間が満了して更新されないことが決まっている場合を除く
育児休業の申請は、休業を開始しようとする日の1か月前までに行うことになっています。期限に注意しましょう。万が一、会社に申請を拒否されたら、法令違反として各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)に相談するとよいでしょう。
休業期間の延長は可能?
原則、育児休業は1歳到達日まで、パパ・ママ育休プラスの場合には1歳2ヶ月に達する日までですが、1歳6ヶ月に達する日まで延長できる場合があります。次の条件を両方とも満たす場合です。
・育児休業の対象となっている子供の1歳の誕生日の前日において、ママまたはパパが育児休業をしていること
・子供が1歳を超えても、休業が特に必要と認められた場合
なお休業が特に必要な場合は、次のいずれかに該当する場合です。
・保育所に入所を申し込んでいるが、1歳の誕生日からの保育先が決まっていない場合(いわゆる「待機児童」になっている場合)
・1 歳の誕生日以降、子供を育てる予定だったママまたはパパが、死亡・負傷・ケガや離婚などで育てることができなくなった場合
急な延長申請にならないように、早めに考えておけるといいですね。
まとめ
パパ・ママ育休プラスは、パパの積極的な育児休業の取得がポイントとなります。しかし現実には、まだまだパパの育児休業の取得は少なく、取得しても短期間であることがほとんどのようです。子育ては、パパとママが協力しておこなうべきもの。制度も使って、上手に活用できるとよいですね。