
つわり中カップラーメンなら受け付けるけど食べて大丈夫?オススメの食べ方と注意点【管理栄養士監修】
つわりの時期は食事に悩みますよね。「カップラーメンなら食欲がわくけれど、妊娠中だし身体によくなさそう……」と不安になっている方もいるのではないでしょうか。ちょっとしたことですが、つわり中にカップラーメンを食べる際に知っておくとよいポイントがあります。
つわりの時にカップラーメンを食べてもいい?

つわりで濃い味のものが食べやすくなり、カップラーメンが食べたくなるという方もいるのではないでしょうか。簡単に食べられるので、気づいたら毎日食べている、ということもあるかもしれません。一方で、健康によくないイメージもあるため、食べててもいいのか気になりますよね。
食べてもOK!まずは食べられるものを
つわり中はなかなか思うように食べられず偏食がちになることで、赤ちゃんのために健康的な食事ができていないのでは、と心配になることもあるかもしれません。しかし、つわりでつらい時は食べられるものを食べればとよいと考えるのが大前提です。もちろん、塩分が少なく身体によいものを食べることが一番ですが、考えすぎてさらにつらくなったり、何も食べられなくなってしまっては大変です。
つわりがおきやすい妊娠初期は、おなかの赤ちゃんはこれまでに母体に蓄えられている栄養だけでも育つので[*1]過剰な心配はいりません。食べたいものを食べたいときに食べるようにしましょう。
吐き気や嘔吐などの症状でなかなか食べられない時には、一度にたくさん食べなくても大丈夫です。回数を分けて少しずつ摂るとよいでしょう。
つわりでキッチンに立つのがつらいという時でも、お湯さえあれば作れるカップラーメンは手軽に食べられるので、妊婦さんの強い味方になりますね。カップラーメンが食べやすいのであれば食べても大丈夫です。ただし、食べ方には少し工夫も必要です。ポイントを見ていきましょう。
つわりの時におすすめのカップラーメンの食べ方は?

つわり中にカップラーメンを食べる時のおすすめの食べ方を紹介します。ポイントは「足す」と「引く」です。
1. 野菜をプラス|ビタミン・ミネラルを摂る
カップラーメンだけではビタミン・ミネラルが不足していますので、野菜を足して食べるのがおすすめです。カップラーメンの具としてプラスしたり、副菜として添えてみてください。なお、一緒に卵(※)や豆腐などのタンパク質を含む食品を加えると、さらにバランスがよくなりますよ。
※卵は生卵ではなく茹で卵など加熱したものを。生卵にはサルモネラ菌の食中毒のリスクがあるため、妊娠中は注意しましょう。
関連記事▶【医師監修】妊婦が生卵を食べるのはNG? 生食のリスクと注意点とは
野菜には妊娠中にうれしい栄養が豊富
野菜を食べることで、妊娠前後から摂りたい葉酸や、妊娠後に必要量の増える鉄、また、食塩に含まれるナトリウムを尿と一緒に排出する作用があるカリウムを摂取することができます。
葉酸はアスパラガス、ブロッコリー、モロヘイヤ、枝豆などに、鉄は、小松菜、大根葉など多く含まれています。カリウムは切り干し大根や、里芋、さつまいもなどの芋類に多いです。また、ほうれん草はこれらの栄養素がいずもれも多く含まれています[*2,3]。
ちなみに、日本人女性の平均野菜摂取量は摂取目標量の350gに足りていません。特に若い女性層で不足しています[*4]。日頃からいろいろな種類の野菜を組み合わせて摂るように心がけましょう。
手軽に野菜を摂るなら冷凍食品が便利
生の野菜でももちろんいいですが、つわり中は買い物に出たり調理するのが負担になるので、冷凍食品を使ってもよいでしょう。野菜の冷凍食品は、栄養成分が生とほとんど変わらないうえ、比較的価格も安定しています。下処理の必要もなく手軽にさっと使えるので、利用してみてもいいですね。
2. スープをマイナス|塩分の摂りすぎを防ぐ
日本人の食事摂取基準では、妊婦の食塩相当量(塩分)の目標量は成人女性と同じく1日6.5g未満とされています[*5]。塩分の摂りすぎは高血圧のほか、むくみの原因にもなります。
一般にカップラーメンには塩分が多く、製品によっては5~6gほどの塩分量になるものも。カップラーメンの塩分の半分はスープが占めていることが多いです。スープまで飲み干してしまうとそれだけでかなりの塩分量となってしまうので、スープは残すようにしましょう。
また、減塩タイプのカップラーメンもありますが、それでもスープまで飲んでしまうのは気をつけましょう。小ぶりの減塩タイプのものでも、3g程度の塩分が含まれていたりします。
製品によって違いがありますから、容器の側面にある栄養成分表示で「食塩相当量」を確認してから買うようにするとよいですね。
つわりの時のカップラーメンで注意したいこと3つ

カップラーメンのおすすめの食べ方をお伝えしましたが、それ以外に、注意できるとよいこともあります。参考にしてくださいね。
食べたあとに胃もたれを感じないか注意
妊娠中は、特に食べすぎたりしていなくても胃もたれを感じることがあります。妊娠により分泌量が増えるホルモンの1つ、黄体ホルモン(プロゲステロン)には、胃の動きをにぶくさせる作用があるためです。
一方、消化に時間のかかる油脂の多い食品を食べることも胃もたれを起こしやすくなります。カップラーメンは油脂の含有量も少なくありません。
そのため妊娠前はカップラーメンで胃もたれすることがなかったとしても、妊娠中は胃もたれを感じることもありえます。カップラーメンを食べたあとに胃もたれを感じるようなら、注意しましょう。
また、ラーメンなどの麺類はあまり噛まずに飲み込みがちですが、よく噛んでゆっくり食べることで、消化を助けることにつながります。
頻度が多すぎないか意識して
どのくらいの頻度でカップラーメンを食べるとよくない、と言うことは難しいですが、頻度が多くなることで塩分の摂りすぎにつながりやすくなります。
また、カップラーメンなどの加工食品には、食品添加物としてリンが多く含まれています。リンは骨や歯をつくるほか、身体の中の多くの機能を担う欠かせないミネラルですが、摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害してしまいます[*6]。リンの摂りすぎも気をつけたいところです。
つわり中は食べたいものを食べるのが第一ですが、食べられるものの選択肢が複数持てるとより安心です。カップラーメン以外にも食欲が向く時には、ほかのものを選べるように意識できるとよいですね。
カップうどんやそばも同様に考える
カップ麺にはうどんやそばもありますよね。ラーメンよりヘルシーなイメージがあるかもしれませんが、カップラーメン同様、カップうどんやカップそばも全般的に塩分や脂質が多く、ビタミン、ミネラルが不足がちになります。カップラーメンと同じように考えてくださいね。
まとめ
つわりは多くの場合、長くは続かないものなので、無理をしないで食べられるものを見つけていきましょう。
妊娠中にカップラーメンを食べても問題はありませんが、塩分の摂りすぎに気を付け、野菜などを加えて足りない栄養素を補いながら食べるようにするとよいですよ。
(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
関連記事▶妊婦の食事にラーメンはあり?注意点とおすすめの食べ方【管理栄養士監修】
[*1]堀口雅子『食事療法シリーズ8 妊娠・授乳期の食事 第2版』医歯薬出版(2003年)
[*2]厚生労働省:妊娠前から始める妊産婦のための食生活指針
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)・第2章(データ)
[*4]厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査の結果の概要
[*5]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*6]厚生労働省: e-ヘルスネット「リン」