キムチの食べ過ぎに注意!1日の目安は〇g⁉ キムチの効果を得るポイントも【管理栄養士監修】
キムチはそのまま食べるのはもちろん、キムチを使ったレシピも豊富なので食べる機会も多いと思います。ほどよい辛みや酸味がおいしく、つい箸が止まらなくなりますよね。しかし食べ過ぎてしまうとリスクも。どんなリスクがあるのか、注意点や1日の適量をお伝えします。
キムチを食べ過ぎることのリスクは?
体に良さそうなイメージのあるキムチですが、どんな食べ物も食べ過ぎるのは良くありません。どういった影響があるのでしょうか。
リスク① 塩分の摂り過ぎ
商品にもよりますが、一般的なキムチには100gあたり2.9gの食塩(塩分)が含まれています[*1]。塩分の摂取量が多い日本では、目標値として成人男性は1日7.5g未満、成人女性は1日6.5g未満が掲げられています[*2]。
100gでも目標量の1/3以上の塩分を摂ることになりますが、仮にスーパーなどで見かける少し大きめのパック(300g入り)を一度に食べ切った場合には8.7gとなり、キムチだけで1日の目標量を超えてしまいます。
塩分の摂り過ぎはむくみの原因になったり、高血圧のリスクを高めてしまうため、キムチをたくさん食べることには注意が必要です。
リスク② カプサイシンによる胃腸のトラブル
キムチを漬ける際に使用するトウガラシには、カプサイシンという成分が含まれています。カプサイシンは刺激作用があるため、摂り過ぎると粘膜が傷つきやすくなり、のどや胃が荒れてしまうことがあります。
また、涙や鼻水が出たりするほか、排尿障害や胃食道逆流といった症状を引き起こす可能性も。特に子どもやカプサイシンの感受性の強い人では、粘膜炎症や吐き気、嘔吐、高血圧などの症状が出ることがあります[*3]。
リスク③ 口臭が気になる可能性
キムチの薬味に使用するにんにくやねぎなどは独特のにおいがあるので、摂り過ぎると口臭が気になるかもしれません。また、にんにくのにおい成分は生の状態の方が強いですが、キムチでは生のにんにくを使用するので、にんにく臭さを感じやすいという側面もあります。
キムチは1日どのくらい食べていい?
塩分の摂り過ぎや胃腸への負担が気になるキムチですが、日常的に食べたい人もいるでしょう。どのくらいを目安に考えるのがいいのでしょうか?
1日30g程度
決まった目安量が存在するわけではありませんが、塩分の高い食材なので、1日30g程度にするとよいでしょう。この量で塩分は約0.9gになります。
なお、キムチを料理に使うときには、キムチの塩分を利用して塩などその他の調味料の量を調整するのがおすすめです。余分な塩分摂取を控えることができますよ。
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キムチのうれしい健康効果
食べ過ぎには注意したいキムチですが、まったく食べないようにするのはもったいないかもしれません。適量であれば体にうれしい効果が期待できます。
乳酸菌|腸内環境を整える
韓国産などの伝統的なキムチは、塩漬けにした白菜にトウガラシやにんにく、ねぎ、しょうが、塩辛など、さまざまな薬味を加えて漬け込む発酵食品の一種です。そのため、善玉菌である乳酸菌が含まれています。
乳酸菌は腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑えるため、腸内菌のバランスが良くなり、便秘の改善も期待できるので[*4]、積極的に摂取したい存在です。また、免疫機能を高める働きなども期待されています。
なお、スーパーで売られている商品にはキムチ風調味料で野菜を漬けた非発酵のものもありますが、乳酸菌を摂取するなら発酵タイプの物がおすすめです。韓国産の発酵キムチには「キムチくんマーク」というものがついているのでわかりやすいですが、国産の場合はそうした目印がありません。「発酵」や「熟成」などと書かれているか、パッケージをよく見て選ぶとよいでしょう。
カプサイシン|代謝アップ
過剰摂取すると体に何らかの症状が現れるリスクのあるカプサイシンですが、適量であればメリットもあります。辛い物を食べると汗が出やすいですが、発汗作用はカプサイシンによるものの1つ。また、脂質の代謝を促進する働きもあります[*3]。ダイエット中にもよいかもしれませんね。
妊娠中・授乳中にキムチを食べてもよい?
妊娠中はつわりの影響などで辛いものが食べたくなる人もいることでしょう。キムチは食べても大丈夫なのでしょうか。授乳中はどうなのかも併せてお教えします。
基本的には食べてもOK
妊娠中でもキムチを食べることができます。辛み成分であるカプサイシンは胎盤まで届くことはないので、胎児への影響はありません。また、母乳が辛くなるということもないので、授乳中も食べて大丈夫です。
発酵キムチの乳酸菌は便秘になりやすい妊婦さんにとってもメリットがあるでしょう。また、カプサイシンは適量であれば食欲を増進させるので、食欲がないときにキムチを食べてみるのもよいかもしれませんね。
食べ過ぎには注意
キムチで塩分を摂り過ぎないようには注意しましょう。特に妊娠中はむくみも気になりますよね。妊娠中や授乳中も、1日30g程度を目安にするとよいでしょう。
ただし胃腸が弱っていたりすると、いつも食べているキムチでも胃腸に負担をかける場合があるので、体調を見ながら食べるようにしましょう。
まとめ
発酵キムチには乳酸菌が含まれていたり、辛み成分のカプサイシンが代謝を促したりしてくれます。しかし、食べ過ぎると胃腸を傷つけることも。一度にたくさんの量を食べるのは控え、食事の箸休めにしたり和え物にしたりして、量を調整するとよいですね。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版
[*3]農林水産省:カプサイシンに関する詳細情報
[*4]厚生労働省:e-ヘルスネット「乳酸菌」
[*5]農林水産省:カプサイシンに関する情報
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます