子どもが道路に飛び出しそう! 大声で止めたあとにかけるべき一言は?『「親のひとこと」言い換え辞典』vol.3
3~6歳児の現役パパママ300人が太鼓判を押した「親のひとこと」ベスト50が一冊に!『子どもがやる気になる!「親のひとこと」言い換え辞典』(三笠書房)から、つい子どもに言いがちな言葉のベストな言い換えを紹介。今日からぜひ使ってみてくださいね。
子どもが道路に飛び出しそう!
子どものとっさの行動に対して、子どもの身を案じたとはいえ、思わず大声を出してしまった場合、どんなフォローをすればいいのでしょうか。
家の前の道路に飛び出しそうになったマリちゃんに、
ママが大きな声を出して怒って止めました。
「マリ! 危ない!」
マリちゃんはびっくりして、怖くて泣いてしまいました。
ショックだったようで、泣き止みません。
「飛び出したマリが悪いんでしょ!」
マリちゃんはもっと悲しくなって大号泣です。
「あなたを守るために怒った」ときちんと説明しよう
言葉を発する時は、言葉を話すこと以外の行為も同時に実行しています。たとえば、「ごめんなさい」と言うのは、単に言葉を発しただけではなく、「謝罪」という行為を実行していることになります。
このように、言葉を発することによって実現される行為を「言語行為」といいます。同時に2つ以上の言語行為を実行していることも少なくありません。
注意しなくてはならないのは、「非難」や「命令」などのネガティブな言語行為を重ねてしまうこと。言いがちフレーズの例はその典型です。単に「質問」をするだけではなく、「非難」、そして裏の意味として泣くのをやめなさいと「命令」もしています。
一方、おすすめフレーズでは、まず「びっくりしたね」と子どもに共感を示したうえで、非難をせずに注意を促していることがポイントです。子どもがびっくりしていることをわかったうえで、「そういう気持ちなんだね」と寄り添い、道路に飛び出すと危険なこと、道路に飛び出してはいけないことを伝えてあげると、子どもはきちんと理解をしてくれます。
注意を促したい、危険なことを教えたい時ほど、言語行為がポジティブになるような声かけを意識するといいでしょう。
お母さん、お父さんへのアドバイス
子どもは怒られてしまった時に「嫌われてる」と感じてしまうものです。「言わなくてもわかってくれるだろう」ではなく、「大事だから怒っている」ことをきちんと伝えないとダメ。
「大事だから、守るために、つい怒っちゃったんだよ」ということを、言葉にして説明してあげて。そうすることで、愛情が伝わったり、嫌われてなかったと安心することにつながって、子どもは落ち着きやすくなります。
泣いてる子に何を言っても響かないので、時間が経って落ち着いたら、道路にはどんな危険があるのか、しっかりと教えてあげたい。
もっとやる気にさせる応用フレーズ
●車や自転車とぶつかったら大変だから飛び出さないように気をつけようね
●君がケガして、パパと一緒に遊べなくなったらパパは悲しい
(子どもの声かけ検討委員会・著、堀田秀吾・監修『子どもがやる気になる!「親のひとこと」言い換え辞典 』(三笠書房)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
>>『子どもがやる気になる!「親のひとこと」言い換え辞典』の
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書籍『子どもがやる気になる!「親のひとこと」言い換え辞典』について
3~6歳までの子どものパパ、ママ300人にアンケートを行い、「どのような声かけをすれば、子どもがやる気になるのか」を徹底調査。
現役のパパ&ママが太鼓判を押したベスト50の声かけが掲載されています。
「ありがとうが、言えない」「嫌いな野菜が、食べられない」「できるのに、やりたがらない」……など、誰もが経験する育児シーンで、言いがちな言葉を効果的な言葉に言い換えて、お悩みを解決。親子のコミュニケーションを楽しめるようになります。
言いがち 「早く起きないと、遅れちゃうでしょ!」
おすすめ 「10数えるうちに起きないと、くすぐっちゃうぞ」
言いがち 「静かにしなさい!」
おすすめ 「ママにだけお話聞かせて?」
言いがち 「ほら、眠いんでしょ」
おすすめ 「じゃあ1分、とりあえず目をつぶってみよう?」
などなど、具体的な声がけの例と先輩パパ&ママのアドバイスが満載です。
堀田秀吾先生のプロフィール
明治大学法学部教授。法と言語科学研究所代表。
専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。アイドルのプロデュースから全国放送のワイドショーのレギュラー・コメンテーターなど、研究以外においても多岐に渡る活動を見せている。