ラムネの食べ過ぎは血糖値を上げる?糖尿病になる?1日のおやつとしての適量【管理栄養士監修】
ラムネは甘くておいしいお菓子のひとつですね。小さく持ち歩けるので手軽なお菓子として食べやすく、小腹が空いたときなどについたくさん食べてしまいやすいでしょう。お菓子なので食べ過ぎるとデメリットもありそうですが、体への影響はあるのでしょうか? ラムネの栄養成分の特徴と、食べ過ぎにならない適量をお伝えします。
ラムネは血糖値を上げる食べ物
ラムネは糖類とコーンスターチなどのでんぷん、酸味料が主な成分となっている製品が多いです。甘いお菓子は血糖値を上げやすいですが、特にラムネは他のものより血糖値を上げやすいという特徴があります。
ラムネはブドウ糖でできている
糖質はいくつかの糖類に分けられますが、ラムネの主成分となっているのはブドウ糖という糖類です。ブドウ糖は一番小さな糖質の1つ(単糖類)であり、ショ糖(砂糖の主成分)と比べて体内に吸収されるスピードが速いという特徴があります。
また、ショ糖やでんぷんなどの糖質も、最終的にはブドウ糖に分解されてから小腸で吸収されます。ブドウ糖は体内でそれ以上分解する必要がないため、吸収が早いのですね。
血糖値を上げるのはブドウ糖
糖質は血糖値を上げるということはよく聞くかもしれませんが、正確に言うと、糖質の中でもブドウ糖が血糖値を左右しており、他の糖質は血糖値には直接、影響していません。
血糖値とは血管内に吸収されたブドウ糖の濃度を示しており、血液中のブドウ糖の量が増えると血糖値も上がることになります。分解する時間がかからないブドウ糖を摂取した場合、ショ糖を摂取した場合と比べて、食べた後に血糖値が上がるまでのスピードが速くなります。
ラムネの食べ過ぎのリスク
ラムネに含まれるブドウ糖が血糖値に影響することがわかりましたが、食べ過ぎるとどのようなリスクがあるのでしょうか?
1.血糖値の急上昇
お伝えしたとおり、ブドウ糖を多く含むラムネは、砂糖を使った他の甘いものよりも、食べた後に血糖値が早く上がりやすい食べ物です。ラムネを一度にたくさん食べると、多くのブドウ糖が血液中に吸収されることになり、血糖値の急上昇が起こります。
血糖値の急上昇が繰り返されると、血管への負荷が増したり、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなることが考えられます。そのため、ラムネを毎日、大量に食べるような食習慣には注意した方がよいでしょう。インスリンの働きが低下し、血糖値が下がりにくい状態が続くと、糖尿病のリスクを高めてしまいます。
糖尿病の場合はより注意して!
糖尿病になっている場合は、医師と相談のうえ、ラムネは食べないか、食べるとしても少量にするのが良いでしょう。糖尿病ではインスリンの効き目が悪くなっているため、ラムネを食べたときの血糖値の急上昇のダメージが大きく、糖尿病を悪化させてしまいます。十分に注意しましょう。
2.カロリーの摂り過ぎで太る
ラムネはパクパクと食べ進んでしまいがちなお菓子ですが、100gあたり373kcaⅼあります[*1]。たとえば、100g入りの大袋を1人で食べてしまうと、大盛りご飯(200~240g程度)と同じくらいのカロリー摂取になります。おやつでラムネをたくさん食べてしまうとカロリーの摂り過ぎとなり、太りやすくなるでしょう。
3.栄養バランスが偏る
ラムネは糖質が主成分であり、たんぱく質も脂質もほとんど含まれません[*1]。ラムネをたくさん食べる分、他の食べ物からのカロリー摂取を抑えようとして、ラムネ以外の食品を減らしてしまうと、糖質以外のたんぱく質や脂質、ミネラルやビタミンといった栄養素が不足する恐れがあります。
4.むし歯
ブドウ糖やショ糖などの糖類はむし歯のリスクを高めます。むし歯の原因菌が糖類を取り込んだときに出す酸によってむし歯が起こるためです。虫歯を予防する観点からも、糖類の多いラムネの摂り過ぎには気を付けるとよいでしょう。
また、ラムネをずっとなめていると糖類が口の中にとどまる時間が長くなり、より歯のリスクを高めます。ラムネがずっと口の中にあるような食べ方も避けたいですね。
子どもは4歳以上になってから
日本小児科学会では、ラムネなどの「丸いもの・つるっとしたもの」は、子どもが窒息を起こしやすい食品として注意喚起しています。食べるなら4歳以上になってからにし、小さいお子さんが間違ってラムネを食べないように注意しましょう[*2]。
ラムネの1日の適量は?
ラムネの適量を決めることはとても難しいですが、糖質・カロリーの摂り過ぎやむし歯の原因となることから、ラムネは楽しむ程度の量にとどめておきましょう。
適量の目安|成人なら1日20~30g程度
食事バランスガイドでは、嗜好品は1日200Kcalまでが目安とされています[*3]。1日に食べる嗜好品がラムネだけであれば、30g程度の製品なら200kcalの範囲に収まりますが、他にも間食をするとオーバーする可能性が高くなります。全体で200kcalになるように考えて摂取できるとよいでしょう。
なお、ラムネは子どものお菓子としても人気がありますが、子どもの間食は食事で摂りきれない栄養素を補う意味(補食)があるため、カルシウムやビタミン、ミネラルなども摂取できることが望ましいです。ラムネのみが間食になることは避けましょう。
まとめ
甘くておいしいラムネは食べると笑顔になれたりしますよね。しかし、食べ過ぎると糖質やカロリーの摂り過ぎにつながる危険があります。栄養バランスの偏りも気になるので、たまに楽しむお菓子として考えましょう。また、小さな子どもの場合は窒息のリスクがあるので、間違って口に入れることがないように大人がしっかり見守ってあげてくださいね。
(文:木下麗子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます